MotoGP初開催となったタイGPで、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が優勝を飾った。今季何度か繰り広げられた、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)との激闘を制しての勝利。2018年シーズンのチャンピオン獲得に王手をかけた。
フリー走行3回目で転倒を喫し、Q1から予選を戦うことになったマルケス。このときの転倒はフロントにユーズド、リヤにニューのタイヤを履いたことによりバランスが崩れたためだというが、マルケスにとっては大きな障害ではなかったようだ。Q1をあっさりと突破すると、Q2でポールポジションを獲得した。
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決勝レースはマルケスがポールポジションからトップを快走、とはいかなかった。ホールショットを奪い数周はレースをリードするが、その後は2番手スタートのバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)にトップを奪われる。さらに3番手スタートのドヴィツィオーゾにも交わされ、序盤、マルケスは3番手で様子を伺っていた。
11周目にトップがドヴィツィオーゾに変わると、マルケスも続いて2番手に浮上。「僕とドヴィツィオーゾは同じくらいのタイムだった」とマルケスは言う。その言葉通り、ドヴィツィオーゾが独走することはなく、周回が重ねられていった。
レース終盤、マルケスが動いた。何度もドヴィツィオーゾに勝負を仕掛ける。しかしドヴィツィオーゾもやすやすとトップを譲らない。マルケスが前に出ればクロスラインでドヴィツィオーゾが抜き返す。まさに今シーズンのマルケス対ドゥカティを象徴するような激しい攻防が続いた。
「僕の戦略は、ギャップを広げるために攻めることだったんだ。それから、最終ラップまで戦いをもつれさせないことだった。でも、ドヴィはとてもいいペースで走っていたし、僕はフロントタイヤに苦しんでいたから、それができなかった。その代わり、タイヤをマネージメントしてドヴィについていったよ」
マルケスが思い描いていたレース展開に反し、勝負は最終ラップの最終コーナーまでもつれた。最終コーナーを迎えたとき、トップに立っていたのはマルケス。しかしコーナー飛び込みではドヴィツィオーゾがインを抑える。対するマルケスは立ち上がり重視のライン。クイックに旋回すると最終コーナーの立ち上がりでドヴィツィオーゾより先にホンダRC213Vを加速させたマルケスは、トップでチェッカーを受けた。ドヴィツィオーゾとの差は、僅か0.115秒だった。
「正直なところ、最終ラップに入ったときにはあまり自信がなかったんだ。過去にドヴィツィオーゾと激しい戦いを繰り広げて、敗れてきているから。でも今回は、それが逆転した。僕は『ドヴィ・スタイル』を使い、ドヴィは『マルケス・スタイル』を使ったんだ! だから、コーナー出口でドヴィツィオーゾをオーバーテイクできたんだよ」
タイGPでの優勝により、マルケスはチャンピオンシップでのポイントを271に積み上げた。ランキング2番手のドヴィツィオーゾとの差は77。日本GPを含め残り4戦であることを考えると、マルケスはチャンピオン獲得に王手をかけたと言っていいだろう。
「(タイトル獲得に向けた)最初のレースは日本GPだ。日本はホンダにとって最も重要なレースだし、ホームグランプリでもある。もちろん、ベストを尽くすよ。けれど、もし日本でタイトルを獲得できなかったとしても、どこかでチャンピオンになることが今の目標なんだ」
タイGPでついにドヴィツィオーゾとの戦いを制したマルケス。残る仕事はMotoGPクラス3連覇、通算5度目のタイトルを手にすることだけだ。
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