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STCC最終戦:タイトル争い決着はコース上で。クリストファーソン再逆転で2度目の王座に

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STCC最終戦:タイトル争い決着はコース上で。クリストファーソン再逆転で2度目の王座に

 選手権を席巻していたPWRレーシングの“違法エキゾースト騒動”で揺れた2018年のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権は、9月22~23日の週末にスウェーデン・マントープパークで最終戦を迎え、ランキング2位で臨んだヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)がレース1で勝利を挙げ、コース上での決着という清々しい逆転劇で自身2度目のSTCCチャンピオンタイトルを手にした。

 第4戦カールスクーガの週末に発生し、シリーズ全体を揺るがす大騒動に発展した違法エキゾースト使用問題は、セアト・クプラTCRを使用するPWRレーシング・セアト・ディーラーチームの控訴と、TCRテクニカル・ワーキング・グループの第三者調査により“シロ”と判定。それを受け9月18日にはSBF(スウェディッシュ・モータースポーツ・フェデレーション)からも「優勝剥奪(リザルト除外)の裁定を取り消す」との声明が発表されていた。

北欧ツーリングカーSTCCのエキゾースト騒動に幕。失格に控訴のPWRが勝利取り戻す

 これにより、最終戦を前に第4戦の両レースを制していたPWRレーシングの勝利が復活。さらに、ディフェンディングチャンピオンとして2018年もシリーズを引っ張ってきたロバート・ダールグレン(セアト・クプラTCR)は、ふたたびポイントリーダーの座に返り咲いて最終戦を迎える形となった。

 しかし、この裁定にふたたび異を唱えたのは、そのカールスクーガの週末で“疑義”を提出していた古豪WCR(ウエスト・コースト・レーシング)と、ホンダ・レーシング・スウェーデンのMA:GP(マティアス・アンダーソンGP)の当該2チームで、これにより最終戦の結果は審議が終わるまで「暫定扱い」となり、ふたたびタイトルが法廷で決まる可能性を残しての最終戦勝負という泥沼の展開に。

 また、TCRスカンジナビアのプロモーター代表とSTCCチェアマンは、かつてSTCCとチームズアソシエーションが分裂し、TTA(レーシング・エリート・リーグ)にシリーズが二分された歴史の再現を恐れて、双方の連名で「STCCは今後もTCR規定の採用を維持し、長期的な協力関係の元に発展を目指していく」との異例のステートメントが発表される事態ともなった。

 そんな不穏な空気を反映するかのように、スウェーデン南部マントープパークの予選は大荒れの展開となり、Q1はセッション開始10分でストームが襲い上位勢がタイム更新機会を逸し、レストラップ・レーシングの23歳、アンドレアス・ウェルナーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)がキャリア初のポールポジションを獲得。

 その後も吹き荒れる暴風雨は勢いを増し、グランドスタンドはもとよりチームのパドックやテント類などを吹き飛ばす事態となり、ドライバーズミーティングでの決議によりQ2中止が決定。7ポイント差で選手権首位のダールグレンが3番グリッド、KMS(クリストファーソン・モータースポーツ)のクリストファーソンが7番グリッドから、翌日のレース1を戦うこととなった。

 迎えた日曜のスタートは、ポールシッターのウェルナーソンが無難にホールショットを奪ったものの、3番手ダールグレンを抑える使命を担っていたKMSのヒューゴ・ネルマン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が早々にセアトを前に出すと、そのまま1コーナーを止まりきれずにグラベルに撃沈。

 これで援軍なく王者争いに挑むこととなった現WorldRX世界ラリークロス選手権王者のクリストファーソンは、2周目にマティアス・アンダーソン(FK2ホンダ・シビック・タイプR)をかわして5番手へ。すぐさまウェルナーソン、ダールグレン、フレデリック・エクブロム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/WCR)、そしてPWRレーシング代表も務めるダニエル・ハグロフ(セアト・クプラTCR)の先頭4台に迫っていく。

 5周目には首位を守っていたウェルナーソンが陥落し、ついにダールグレンがトップへ。しかし同じラップで、もっとも攻略が困難と見られていたハグロフをクリストファーソンがオーバーテイクすると、6周目にエクブロム、7周目にウェルナーソンと、シケインでまったく同じ動きを見せパッシング。いよいよダールグレンとの直接対決の舞台が整う。■王者争うダールグレンとクリストファーソンに意外な結末が訪れた

 するとチャンスは早々に訪れ、9周目のバックストレートでサイド・バイ・サイドに並んだクリストファーソンは、続く中速ライトハンダーのイン側を奪取しついに首位浮上に成功。

 その後、ストレートラインスピードが伸び悩んだダールグレンは、2周後に接触の攻防を見せながらもウェルナーソンに、続くラップのシケインでエクブロムにも先行され4番手までドロップ。このまま14周のチェッカーとなり、クリストファーソンが正真正銘の今季2勝目をマーク。

 2.4秒差の2位にウェルナーソンが入り、エクブロムはダールグレンを抜いた際の動きにペナルティを課され4位に降格。結局、ダールグレンが最後の表彰台スポットを確保した。

 そして現地同日午後15時20分に迎えた2018年最終ヒートのレース2。リバースポールからスタートのトビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS)が首位をキープして始まった1戦だが、それぞれ後方からの戦いを強いられた王者争いの2台に、意外な結末が訪れる。

 オープニングラップで3番手となっていたクリストファーソンを追走していたダールグレンのセアト・クプラTCRは、5周目に入ったところで突如スローダウン。そのままピットレーンに向かい、レースを終えることとなったのだ。

 これで王座当確となったクリストファーソンだが、手綱を緩めずに2番手争いに参戦するも、執拗なディフェンスに合いコースオフを喫する危うい場面にも遭遇。その後は無理をせず5番手でチェッカーを迎え、ダールグレンに対し13ポイント差を確保。これで審議によりPWRの第4戦結果がふたたび覆ったとしてもポイントは加算されるのみとなり、見事2012年以来となる自身2度目のSTCCシリーズチャンピオンを獲得した。

「今日は本当に僕らが望むような1日になった」と、喜びを語ったクリストファーソン。

「僕はロバート(ダールグレン)の後ろを走っていて、オーバーテイクの機会を狙っていた。前に出てからは、僕がポジションを維持できればチャンピオン。そうでなければ彼がチャンピオンだと理解していた」

「この最終戦はシーズンのゴタゴタとは対照的に、コース上でクリーンな決着をつけることができた。今季はペース的に優位な立場にはなかったけれど、僕らは利用できるチャンスをすべて掴んだんだ。机上の審査や法廷でのタイトル決定にならなくて本当に良かったよ」

 一方、コース上での勝負以外の要素に翻弄された1年となったダールグレンも「クリストファーソンはレース1で素晴らしい仕事をした」と、勝者を称えた。

「僕らはそれ(タイトル)をほとんど手の上に置いていたのに、掴み損ねた感じだね。レース1ではスピードがなく、レース2に向け大きくセットを変更した。その結果、勝てるだけのマシンに仕上がっていたんだけど、突然ギヤボックスが根を上げた」

「ギヤ同士がうまくかみ合わず2速と3速のレシオギヤが破損していたようで、いきなり駆動がなくなった。この(TCR規定導入後の)2年間で初めてのトラブルだし、こういうタイミングで起こるべくして起こったんだろう」

「でも、PWRにとっては結果的にチームの実力を証明するシーズンになったと思う。チームズチャンピオンシップとジュニアチャンピオンシップ(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)を獲得したんだからね。僕も王座を守りたかったけれど、最後の最後で適切な勝負ができなかった、ということだ」

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