MotoGP第13戦サンマリノGPのMoto2クラス決勝で、ロマノ・フェナティ(Marinelli Snipers Team)がレース中の危険行為により失格裁定、今後2レースの出場停止という処分を受けることになった。
レース中にフェナティがステファノ・マンツィ(Forward Racing Team)の横につけて彼のブレーキに手を出した動作は、国際映像にもしっかりと映し出されていた。一歩間違えば挙動を乱す程度では済まず、重篤な事故に陥る可能性もあるような行為に意図的に及んだ以上、彼が上記のような処分を受けるのは当然で、その裁定に対してさえ甘すぎるという声があがるのも当然といえば当然だろう。
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フェナティがこのような行為に及んだのは、それ以前にマンツィから接触を受け、自身が大きくはらんでしまったため、それに対する報復としてあのような挙に及んだのだという。とはいえ、レース中の接触がたとえ無理矢理なオーバーテイクに起因するものであったとしても、仮にも世界選手権を戦うプロフェッショナルライダーならば、その不快感はあくまでレーシングインシデントとして心中に収めておくべき種類のものだろう。
フェナティは過去にも類似のトラブルを起こした前歴がある。2016年のMoto3時代には、所属していたSky VR46のチーム関係者と諍いになり、シーズン途中に解雇をされている。さらにその前年の2015年には、ニコラス・アヨに蹴りをいれ、彼のマシンに手を出してエンジンを停止させるという所行にも及んだことがある。
アヨと仲のいいマーヴェリック・ヴィニャーレスは、今回の一件について感想を訊ねられた際に「ストレート区間で他人のブレーキをいじるなんて考えたこともない」と不快感を露わにし、「(2015年に)ニコラスが受けた行為は、釈然としない」とも話した。
「才能のある選手だから、このペナルティで更正してほしい」と配慮を見せはしたものの、「こんな行為は尋常じゃないよ」と最後に述べた言葉が、おそらく彼の本心だろう。この一件について訊ねられた他の選手たちもおしなべて類似の反応で、厳罰の妥当性に賛意を示している。
フェナティとは過去に何度か単独インタビューをしたことがあるのだが、平素の彼はいたって普通で、時と場を考えた〈お利口〉な受け答えをできる程度には賢明な青年、という印象があった。だが、上記のような行為に及んだ例が一再ならずあることを考えると、彼は怒りで自制心を失ってしまうような性格の持ち主なのかもしれない。おそらく、高速道路で他車を煽る危険行為に及ぶような人々と類似したパーソナリティで、自分の感情を抑制できない人間的な未熟さを残しているために、コース上であのような行為に及んでしまうのだろう、と推測できる。
であるとするならば、レース失格や数戦の出場停止程度の処分では、彼の行状は今後も改まらないおそれがある。アンガーマネージメントなどの何らかの自己抑制プログラムに参加して修了することを義務づけない限り、今後も同様の行為が発生する火種はなくならない。
モータースポーツは「危険な競技」ではない。危険が発生する可能性があるからこそ、最大限の対応を取って競技と選手の安全を図らねばならない。それが、近代スポーツとしての最低限の骨法である。
今回の出来事が発生したサンマリノGPの会場は、2011年にレース中のアクシデントで逝去したマルコ・シモンチェッリの名が追贈されている。また、2010年には富沢祥也の不幸なアクシデントも発生し、一般道からサーキットにアクセスする取り付け道路には加藤大治郎の名も冠されている。さらに、サーキット近隣には昨年の事故で他界したニッキー・ヘイデンを偲ぶ記念碑も建立された。
過剰に感傷的なことを言うのは趣味ではないが、二輪ロードレースにとって重い意味を持つそのような会場でフェナティが今回の行為に及んだことを考えると、彼の未熟な人間性の矯正と競技の安全性確保は喫緊の急務といっていいだろう。二輪ロードレース界はこれ以上苦い思い出を背負い込む必要はない。その可能性が認められそうな場合には、速やかに危険を排除する対応を取るべきだろう。
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