現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > MotoGP譲りのV4エンジンを搭載したドゥカティ・パニガーレV4 Sの乗り味を検証/市販車試乗レポート

ここから本文です

MotoGP譲りのV4エンジンを搭載したドゥカティ・パニガーレV4 Sの乗り味を検証/市販車試乗レポート

掲載 更新
MotoGP譲りのV4エンジンを搭載したドゥカティ・パニガーレV4 Sの乗り味を検証/市販車試乗レポート

 MotoGPマシンの技術をふんだんに盛り込んだドゥカティの新型スーパースポーツ、Panigale V4(パニガーレV4)。ドゥカティ伝統のLツインからV型4気筒のエンジンに変わったパニガーレはどのような乗り味なのか。

 2017年の11月にイタリアのミラノで発表されたパニガーレV4。日本では2018年の5月から発売がスタートしている。このパニガーレV4には通常版に加え、MotoGPマシンに最も近い市販車と言われるパニガーレV4 Sとサーキット走行に特化したパニガーレV4 S Specialeの上位モデルが存在する。今回は、パニガーレV4 Sに試乗した。

【タイム結果】2018MotoGP第13戦サンマリノGPフリー走行1回目

 パニガーレV4 Sの車両価格は税込みで328万円と決して安いとは言えない。しかし、数億円すると言われているMotoGPマシンの技術がふんだんに盛り込まれていることや、車両のデザインと仕上がり、装備されているパーツを見れば、その価格には十分納得できるはずだ。

 外観はスーパースポーツのなかでも個性的で、ひと目で“カッコいい”と思える美しさがある。リヤのテールは国産車と比べて非常にスリムで、どことなく色気も感じるから不思議だ。エキゾーストは車体下部に一体化している形で備わっている。車体にはタンデムステップもついており、二人乗りが可能だが、その際はシートカウルををタンデム用シートに変更する必要があるとのことだ。 パニガーレV4最大の特徴といえる新型のV型4気筒エンジンは、最高出力214馬力、最大トルクは124N・m(12.6 kgm)を発揮する。MotoGPのフィードバックを受けたV4エンジンということで排気量は1000ccと思われる方も少なくないだろうが、パニガーレV4の排気量は1103ccとMotoGPマシンよりも103cc拡大されている。これは、一般道を走行するにあたり重要となる中速域のトルクを最大化し、低回転域でのトルクとパワーを向上させることが目的とのことだ。

 シート高は830mmとスーパースポーツのなかでは高めだ。しかし、車重は乾燥重量175kgと非常に軽く、跨っても足つき性に不安はなかった。

■新型V4はドゥカティの乗り味を残しつつ安定感が向上
 筆者は4気筒1000ccの国産スーパースポーツを所持しており、Lツインのパニガーレに乗った経験もある。Lツインのパニガーレを初めて試乗したときは、独特なトルクから生まれる4気筒とは違った加速に戸惑い、うまく乗ることができなかった。V4となったパニガーレはどうだろうか。
 さっそくエンジンをかけ走り出してみる。軽い車重と200馬力オーバーのエンジンスペックから凶暴なモンスターマシンを想像するが、実際に公道を走ってみるとそうではなかった。独特のエンジンから生まれるドゥカティの乗り味はそのままに、国産スーパースポーツと同様スムーズに加速していった。

 コーナーでは、スーっと倒れ込んでいき安定して曲がっていく。Lツインの時は、スパッと切れ込むような感覚があったため、そこを意識しながら乗っていたが、V4では自分が思い描いたように曲がってくれた。これはエンジンの気筒数が2気筒分増えたことにより、重量配分のバランスがより高まったおかげなのかもしれない。

 パニガーレV4はRACE、SPORT、STREETの3つのモードが選択可能でそれぞれの状況に合わせて走りを変えることができる。最初に走り始めた時はSTREETを選択。このモードでは、トラクションコントロールの介入レベルが高く設定されているため、強力なパワーをもつバイクでも不安なく扱うことができたのだろう。また、Sバージョン標準装備のオーリンズ製電子制御サスペンションにより、スーパースポーツを一般公道で走らせるときに感じる路面からの強い衝撃も軽減してくれることから、街乗りも難なくこなしてくれると感じた。

 クラッチを握らずにシフトアップ・ダウンできるドゥカティ・クイック・シフトアップ/ダウン(DQS EVO)も優秀で、加速中のシフトアップも滑らかだ。シフトダウン時には自動で回転数を合わせてくれるため、大きな変速ショックなくギヤを下げることができた。このDQS EVOは、パニガーレV4の全モデルに標準で装備されている。
 試乗中は高速道路に乗る機会があり、ここで走行モードをRACEに選択。すると車両は驚くほど大きく変化する。進入時にスロットルを多めにあけると、体が少し後ろに動くくらいの強力なパワーを発揮。一瞬にして法定速度に到達するのだ。このときは、だいたい5000回転くらいでシフトアップしていったが、2速から3速に入れようとした段階では100km/hに到達してしまっていた。もし、この車両を富士スピードウェイに持っていったらホームストレートで難なく300km/hを越えてしまうだろう。

■車体から発せされる“熱”が唯一の欠点
 見た目、走行性能とも素晴らしいと感じたパニガーレV4だが、欠点がひとつだけある。それは車両から発せられる“熱”だ。シート下にはエンジンに加え、ドゥカティ独特の入り組んだエキゾーストパイプがあり、ここから生まれる熱気が体に襲ってくるのだ。スーパースポーツを乗るなら車体からくる熱気については仕方ないと感じるだろうが、パニガーレV4の熱気はとにかく厳しかった。

 本来、この車両はサーキットこそそのポテンシャルを発揮する。サーキットでの高速走行であれば風が常時車体に当たってエンジンが冷却されるため熱は問題ないだろうが、ストップ&ゴーを繰り返す一般公道でエンジンはなかなか冷えにくかった。夏場に一般公道でこのバイクに乗るときは、熱による身体への負担に注意が必要となるだろう。

 今回は一般公道を中心にパニガーレV4 Sを試乗した。街乗りに関しては、夏場以外は問題なくこなせるだろう。しかし、このバイクは街乗りでなく、サーキットや峠道のようなコーナーが多いワインディングロードにこそふさわしい車両であると強く感じた。機会があればパニガーレV4 Sをサーキットに持ち込み、MotoGP譲りのポテンシャルを体感してみたい。

関連タグ

こんな記事も読まれています

2024年3月 中古車相場 値上り・値下りランキング ランクル70、高値傾向に
2024年3月 中古車相場 値上り・値下りランキング ランクル70、高値傾向に
グーネット
【2024年3月 中古車見積ランキング】プリウス(50系)がトップに返り咲き
【2024年3月 中古車見積ランキング】プリウス(50系)がトップに返り咲き
グーネット
GTワールドチャレンジ・アジアがセパンで開幕。8台参加の日本勢はDステーションが総合6位入賞
GTワールドチャレンジ・アジアがセパンで開幕。8台参加の日本勢はDステーションが総合6位入賞
AUTOSPORT web
キャンプにオススメ!野外での“トイレ事情”を解決する「キャンパートイレ」発売
キャンプにオススメ!野外での“トイレ事情”を解決する「キャンパートイレ」発売
グーネット
三菱 コンパクトSUV「ASX」改良モデル発表 “ダイナミックシールド”強調した新デザイン
三菱 コンパクトSUV「ASX」改良モデル発表 “ダイナミックシールド”強調した新デザイン
グーネット
「ランクル250販売前線」悲喜こもごも?? 意外に多い「辞退客」とは? ディーラーごとに対応は千差万別だった
「ランクル250販売前線」悲喜こもごも?? 意外に多い「辞退客」とは? ディーラーごとに対応は千差万別だった
ベストカーWeb
テスラ「モデル3」 最高速262キロ!専用デザインの新グレード「パフォーマンス」追加
テスラ「モデル3」 最高速262キロ!専用デザインの新グレード「パフォーマンス」追加
グーネット
ヒョンデ、高性能EV「IONIC 5 N」の国内仕様車の概要を発表 4月25日から期間限定モデル「First Edition」の購入予約受付を開始
ヒョンデ、高性能EV「IONIC 5 N」の国内仕様車の概要を発表 4月25日から期間限定モデル「First Edition」の購入予約受付を開始
月刊自家用車WEB
「サーキット以外の場所でやることにも意味があったと思う」盛り上がりを見せた岩佐歩夢発案のSFキャラバンが成功裏に終了
「サーキット以外の場所でやることにも意味があったと思う」盛り上がりを見せた岩佐歩夢発案のSFキャラバンが成功裏に終了
AUTOSPORT web
新型スイフトスポーツも新型ワゴンRも24年夏に登場予定か!? スズキは計5台の新型を投入で戦力アップなるか
新型スイフトスポーツも新型ワゴンRも24年夏に登場予定か!? スズキは計5台の新型を投入で戦力アップなるか
ベストカーWeb
「SLS AMG」の偉大さをメカニズムから検証。速さだけでないメルセデスの安全思想も注ぎ込まれた最高傑作の1台でした
「SLS AMG」の偉大さをメカニズムから検証。速さだけでないメルセデスの安全思想も注ぎ込まれた最高傑作の1台でした
Auto Messe Web
スーパーカーオーナーさん、いらっしゃい──新型ヒョンデ アイオニック5 N試乗記
スーパーカーオーナーさん、いらっしゃい──新型ヒョンデ アイオニック5 N試乗記
GQ JAPAN
愛犬家は要チェック!?ルノー「カングー」最長1年間貸与!モニターキャンペーン実施
愛犬家は要チェック!?ルノー「カングー」最長1年間貸与!モニターキャンペーン実施
グーネット
軽からミニバンまで!車中泊にぴったりの厚さ8cmマット、新デザイン登場 ベアーズロック
軽からミニバンまで!車中泊にぴったりの厚さ8cmマット、新デザイン登場 ベアーズロック
グーネット
BMW 燃料電池車「iX5 ハイドロジェン」 日本での実証実験を2024年も継続
BMW 燃料電池車「iX5 ハイドロジェン」 日本での実証実験を2024年も継続
グーネット
【24’ 4/22最新】レギュラーガソリン平均価格、再び175.0円に値上がり
【24’ 4/22最新】レギュラーガソリン平均価格、再び175.0円に値上がり
グーネット
代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダ
代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダ
AUTOSPORT web
「盗まれた」県が怒りの声明 県道の工事現場から“かなり重い資材”が複数 被害総額300万円超
「盗まれた」県が怒りの声明 県道の工事現場から“かなり重い資材”が複数 被害総額300万円超
乗りものニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村