「フリー走行2回目で、われわれは相対的に競争力が落ちてしまった。その原因を今夜分析し、土曜日に備える必要がある」
F1第13戦ベルギーGP初日、トロロッソ・ホンダのチーフレースエンジニアを務めるジョナサン・エドルズは、そうフリー走行を評価した。ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも「クルマの仕上がりもまだ完璧ではないのですが、相対的な戦闘力をどう上げていくかが難しい」と語っていた。
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両者が語る「相対的な競争力」とは、ライバルチームと比較したセクターごとの速さだ。しかし、初日のフリー走行のセクタータイムはFIAから公表されていない。そこで筆者が独自に入手した資料でトロロッソ・ホンダの初日のセクターごとの速さを分析してみたい。
・セクター1
ハートレー 31.057秒 12位
ガスリー 31.168秒 17位
・セクター2
ガスリー 45.549秒 11位
ハートレー 45.748秒 14位
・セクター3
ハートレー 29.203秒 16位
ガスリー 29.257秒 17位
このことからも、初日のトロロッソ・ホンダがセクター2は速かったが、セクター1と3でタイムをロスしていることがわかる。そのことはガスリーも次のように表現している。
「ハンガロリンクでは僕らはフォース・インディアより速かったのに、スパでは約1.4秒も遅い。スパに来る前から、このコースで困難な週末になると覚悟していた。このサーキットの特性が僕ら向きじゃないからね」
■最高速を出すにはスリップストリームが重要
スパのセクター1は、1コーナーを通過した後、レ・コームのブレーキングまで全開。その距離は2.015kmと全21戦中、2番目に長く、パワーユニットの性能が速さに大きく影響する。
しかし、ブレンドン・ハートレーは、「ストレートスピードはパワーユニットの性能だけでは決められない。空気抵抗のレベルで全然変わってしまう」と言う。
じつはフリー走行2回目は、スーパーソフトを履く前のソフトタイヤを履いたベストタイムでは、ガスリーは11番手につけていた。しかし、スーパーソフトでは15番手。
そのことをガスリーに聞くと「ソフトのときはトウ(スリップストリーム)についていたんだ」という。ストレートではパワーユニットの馬力よりもウイングの角度やスリップストリームにつくかどうかで簡単にスピードが変わる。
実際に最高速の順位を比較すると、ハートレーは時速338.1kmで7位、ガスリーは時速330.9kmで12位だった。しかし、最高速を出したときと、ベストタイムを記録したタイミングは必ずしも同じではない。したがって、最高速だけではパワーユニットの評価はできない。
もちろん、ストレートスピードを上げるためにダウンフォースレベルを削れば、コーナーが遅くなる。そのさじ加減が難しい。
さらに予選がスタートする午後3時の段階での降水確率は47%となっており、ウエットコンディションも考慮しなければならない。
果たして、トロロッソ・ホンダは予選に向けて、ダウンフォースをどこまで削ってくるのか、注目したい。
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