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インディ第14戦ポコノ:ロッシが2連勝でランクトップのディクソンを猛追。琢磨は多重クラッシュに泣く

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インディ第14戦ポコノ:ロッシが2連勝でランクトップのディクソンを猛追。琢磨は多重クラッシュに泣く

 ポコノ・レースウェイで開催されたインディカー・シリーズ第14戦。序盤に多重クラッシュが起きる波乱のレースをアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が勝利した。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、多重クラッシュに巻き込まれリタイアに終わった。

 全長2.5マイルのトライアングルオーバル、ポコノ・レースウェイでの予選は、チーム・ペンスキーの圧勝となった。過去2年連続優勝しているウィル・パワーが出場22台中でただひとり、計測2ラップ両方を219mph台に載せてポールポジション。昨年パワーに続く2位フィニッシュをしているジョセフ・ニューガーデンが予選2番手でフロントローを独占したのだ。

【順位結果】インディカー第14戦ポコノ決勝レース結果


 パワーはポイントスタンディング4番手、ニューガーデンは3番手につけており、どちらにもチャンピオンとなる可能性を残しているが、あと4戦とレース数が少なくなっているため、今週のポコノでの好成績はタイトルのためにはマストと考えられていた。

 そして、スーパースピードウェイで重要なトップパワーでアドバンテージを持つシボレー・エンジン・ユーザーである彼らが、今年のインディ500と同じようにレースでも強みを発揮するとの見方もされていた。

 曇り空の下でのレースが始まってみると、ペンスキー&シボレーに優位は一切存在しないことが判明。その理由は幾つか考えられた。まず、ポコノは3つあるコーナーのうちのふたつがインディアナポリスに比べてタイトで、スロットルコントロールが必要なため、ホンダ・エンジン・ユーザーはパワー・レンジの広さを武器に戦うことが可能となっていた。

 そのうえ、今年のレースウィークエンドは雨に祟られ、予選の後に予定されていた1時間のファイナル・プラクティスがキャンセルに。エンジニアリング体制に自信を持つペンスキーは、決勝日朝の実施が検討されたプラクティスが行われない方に票を投じた。走行データの少なさは自分たちのアドバンテージに繋がると考えてのことだろう。

 しかし、ルーキードライバーを抱えるチームはテストのチャンスを与えられる。彼らの中からアンドレッティ・オートスポートが事前テストで得られた情報を基にレースに向けての大きなアドバンテージを手にしていたのだった。


 予選3番手だったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は、最初のスタートでニューガーデンをパスし、次のスタートでパワーも抜いてトップに立ったのだが、そこから先はほぼ完全なるワンサイドゲームとなった。

 ロッシの速さは圧倒的で、最初のスティントを終えるまでにリードを8秒も築き上げ、180周のリードラップとともに優勝を飾った。成長著しいロッシにあった心配は、5回もあるピットストップでのクルーのミスか、不運なタイミングでのフルコースコーション発生ぐらいだったが、それらは結局起こらなかった。

 ロッシがバックマーカーに追いついてペースを下げ、パワーが差を縮めるというシーンは何度もあった。そこでロッシが焦り、デトロイトでのようにミスを冒すことをパワーと彼の陣営は期待したのだろうが、前戦ミド・オハイオでのポール・トゥ・ウインと同じく、ロッシと彼のチームがミスすることはなかった。


 逆にパワーは、ピットストップを重ねてもスピードアップが果たせず、最後のピットストップはタイミングを見誤り、ターン3で周回遅れに引っ掛かって致命的なタイムロス。ウィング調整を施したが猛チャージをかけることはできなかった。

 ロッシのファーストウインは、驚異的燃費作戦を成功させた第100回インディ500だった。2016年のことだ。当時の彼はオーバルでのレースが2戦目で、何もわからぬままピットの指示に従って優勝……と、この勝利に対する評価は高くはないが、今日のポコノでの圧勝には誰も文句はつけられないだろう。

 26歳の若さで500マイル・レースでの2勝目は賞賛に値する。デビュー3年目で通算5勝目。今シーズン3勝目で、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)とニューガーデンに今季最多優勝回数で並びもした。
 2位でポコノ3連勝を逃したパワーも、「今日はロッシの速さを讃えたい。最後のピットストップで彼の前に出ていたら、封じ込めることは可能だったと思う。前にマシンのいないクリーンエアでなら自分たちにもスピードはあったから。今日の僕らはトラフィックで速くなかった。アンダーステアに悩まされ続けていた」と話した。


 3位はディクソン。予選は13番手と苦戦したが、レースでは見事に彼らしさが発揮されていた。

「ポイントを稼げのは悪くないことだが、今日のレース内容はフラストレーションの溜まるものだった。マルコ・アンドレッティの後ろを2~3スティントは走ったと思う。燃費セーブ・モードでコーナー手前でアクセルを早めに戻す相手をオーバーテイクすることでさえ本当に難しかった」

「明らかに遅い相手を抜けない状態が延々と続いたのだからイライラが募るのも仕方かったと思う。ポイントリードの減り具合を抑えることはできたけれど、ロッシがこの2戦で迫ってきた。自分たちはもっと頑張らないといけない」

「次のゲイトウェイで僕らはテストをしていないが、ロッシはテストをしている。自分たちとしては、持ち込むマシンのセッティングをレベルの高いものとし、そこから更にマシンを良くする戦いを展開しなくてはならない」とディクソンは語った。

■序盤には多重クラッシュが発生
 レース序盤には大きなアクシデントがあり、中断は約2時間にも及んだ。最初のスタートでグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)に追突してイエローが出され、そのクリーンナップが終わって7周目にリスタートが切られると、その直後のターン2で5台がリタイアとなる多重クラッシュが発生したためだ。


 ロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)にアタック。2台がターン2に並んだまま進入、2台はタイヤ同士が接触して絡み合い、ウィケンスは空を舞ってキャッチフェンスを破壊した。

 このアクシデントではジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、ピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン・レーシング)が巻き添えでのリタイアを喫した。

 ウィッケンズは骨折などの負傷をした模様で、サーキットからヘリコプターでリーハイバレー病院へと搬送され、治療を受けている。

「勝てるマシンを作り上げたのは、アンドレッティ・オートスポートで、今回もっとも大きな貢献をしたのが、ポコノで先週テストを行ったザック・ビーチだ。彼による発見が僕らの今週末のアドバンテージになっていた」とロッシ。

「自分たちは今週末に成し遂げるべき課題を成し遂げた。しかし、ディクソンは3位という好結果を手にした。彼はリザルトの悪いレースがほとんどない。来週、再来週の2レースはチャンピオン争いで非常に重要な意味を持つだろうから、全力で臨む。今シーズン中にあと2勝し、タイトルを手にできたら最高だ」と続けた。

 ディクソンに29点差まで詰め寄ったロッシ。残る3レースでのチャンピオン争いは、彼らふたりの間で繰り広げられることとなるのか? それともチーム・ペンスキーのニューガーデンとパワーが彼らに絡んでいくのか? 今週末のショートオーバル、ゲイトウェイでのバトルに注目だ。

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