8月19日に行われたWRC世界ラリー選手権第9戦ドイチェランドの競技最終日。このイベントに3台のトヨタ・ヤリスWRCを投入したTOYOTA GAZOO Racing WRTは、初日から首位に立っていたオット・タナクが39.2秒のリードで優勝を飾り、チームメイトのエサペッカ・ラッピも総合3位に食い込んだため、トヨタはマニュファクチャラーズランキング2番手に浮上した。
ラリー・ドイチェランドの競技最終日はSS16~18の3ステージで構成。モーゼル河畔近郊のぶどう畑を抜けるSS16~17が行われた後、ドイツ・ボスタルジーに設けられたサービスパーク近郊で最終SS18が行われた。
16日(金)からトップを快走していたタナクは43.7秒の大量リードを築いた状態で競技最終日に臨んだこともあり、SS16~17はペースを抑えて走行。SS16をステージ4位、SS17をステージ6位で終えた。
迎えた最終SS18はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージに設定されていたこともあり、タナクはペースを上げてアタック。ステージ1位には0.1秒届かなったものの、ステージ2位を獲得して、ボーナスの4ポイントを獲得すると同時に、総合優勝を手中に収めた。
タナクはこれで2018年シーズン3勝目、自身通算5勝目。7月の第8戦フィンランドからは2連勝、ラリー・ドイチェランドは2017年から2連覇となった。
また2017年にWRCへ復帰したトヨタはこれまで、スノーやグラベル(未舗装路)で争われる大会で優勝してきたが、フルターマックで争われる大会を制したのは今回が初めてのこととなる。
「間違いなく、今まででもっとも大変な思いをして手にした勝利だ」とタナク。
「週末を通して激しいバトルが続き、ひたすら全力で攻め続けなくてはならなかったが、金曜日のブドウ畑のステージでは、快適に運転することができた」
「チームは今週末本当に強く、とても満足している。選手権争いについても正しい方向に進んでいると思うけど、それでも自分としては1戦、1戦を大事にしていくよ」
■総合2位争ったラトバラはリタイア。「ロードセクションでギヤが1速に入らず」
前日、ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)と0.8秒差の総合2位争いを繰り広げていたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は、SS16へ向かうロードセクションで「ギヤを1速に入れようとしたが、入らなかった」とギヤ周りにトラブルを抱えてしまう。
なんとかSS16はスタートしたものの、ギヤトラブルの症状は悪化していったため、ステージを完走することなくマシンを止め、リタイアを余儀なくされた。
ラトバラは「油圧ポンプが止まってしまったんだ」と当時の状況を説明する。
「ギヤチェンジを手動に切り替えることはできたが、油圧ポンプが作動していないためギヤボックスに大きなストレスがかかり、結局駆動を完全に失った」
「今年は何度も運の悪い出来事に遭遇してきたけど、今週末はいいフィーリングを感じていただけに残念だ」
また、総合2番手だったソルドもSS16でコースオフしてマシンにダメージを負い、SS17でリタイアしたため、総合2位はティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が獲得。総合3位にはラッピが繰り上がり、トヨタは2戦連続でふたりのドライバーを表彰台に送り込んでいる。
チーム代表を務めるトミ・マキネンは「我々のチームにまたしても素晴らしい時間が訪れた。オットは前戦のラリー・フィンランドに続き今回もまた週末を通して傑出していた」とタナクを称賛している。
「唯一、今朝ヤリ-マティ(ラトバラ)のクルマに問題が起こってしまったことには失望した。我々は彼が今日のステージで活躍するだろうと確信していたから、本当に残念だ」
「運に恵まれなかったとも言えるが、できる限りヤリ-マティをサポートするつもりだよ。ドイチェランドはミスをしやすいラリーだけど、エサペッカ(ラッピ)は、ミスなくクリーンな素晴らしい走りをした」
「今回は、チーム全員の献身的な働きにより、ターマックラリーで素晴らしい結果を残すことができた。そして、今季の残るラリーにも最大限の努力で臨もうと、皆がモチベーションを高めている」
WRC第10戦は9月13~16日に開催されるラリー・トルコ。同国でのWRC開催は2010年以来のことで、今回は地中海に面したリゾート地、マルマリスを舞台に争われる。このマルマリスを舞台にWRCが行われるのは今年が初めてだ。
グラベルイベントとなるラリー・トルコは路面がフラットな高速ステージと多くの石が転がる山岳ステージが入り交じる難易度の高い構成が予定されているほか、9月中旬のトルコは日中は気温が高いため、チームには熱害対策も求められる。
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