メルセデスのF1マシンは、伝統的にリヤタイヤに厳しいという特性を持っている。そのため高温となったレース、さらにリヤタイヤに厳しいサーキットでは、ライバルに比べて苦戦することが多かった。
しかし、サマーブレイク前最後のレースとなったハンガリーGPでは、気温33度、路面温度は57度まで上がったものの、ルイス・ハミルトンが勝利を収めた。つまり、それまでの弱点を克服した感があるのだ。
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ハミルトンが勝利を収めることができた背景には、1ストップの戦略をしっかりと遂行できたということがある。彼はスタート時に履いていたウルトラソフトタイヤで長い距離を走り、その後ソフトタイヤを装着してさらに長い距離を走るという1ストップ戦略を成功させた。もしもっと早くタイヤを交換していたなら、とても1ストップで走りきることはできなかっただろうし、2ストップ作戦に変更したならば、フェラーリの前でフィニッシュするのは難しかったかもしれない。
チーム代表のトト・ウルフは、ハンガリーGPでのハミルトンのタイヤマネジメントについて、次のように語った。
「前に誰もいない状況で、自由に走ることができたのが大きかった。しかし、あるタイヤではしっかりとパフォーマンスを発揮できるのに、他のタイヤではそれができないというのは、今も謎なのだ。それは、フェラーリとは逆のようだ」
「多くのデータを収集し、より理解しようとしている。しかし、何よりも大切なことは、路面温度が60℃近くにまで上がったブダペストで、勝つことができたということだ」
「それは、我々にはできないだろうと思っていたことだった。この成果は、理解が深まったということ、そして将来気温が上がったレースで競争力を持つことができるだろうと感じさせてくれる」
ハンガリーGPの週末、特にフリー走行では、ハミルトンはタイヤのマネジメントに苦戦していた。そして週末の早い段階から、フェラーリの”リヤタイヤのマネジメント”は、強みを発揮するだろうと考えられていた。
「過去のレースでのコメントを見ていたなら、『メルセデスは突然理解を深めた! このレースで、ついにタイヤをうまく使った』となるだろう。でも、今回の場合はそうじゃない」
そうハミルトンは語っている。
なおメルセデスは、タイヤのマネジメントを改善することと、どんなコンディションでもタイヤをうまく使うことは、必ずしも同義ではないと指摘する。気温や路面温度、サーキットのレイアウトやアスファルトの粗さなど、実に多くの要素が複雑に絡み合ってくるからだ。
テクニカルディレクターのジェームス・アリソンは、今回の結果に繋がった理由について、ハンガリーGP後に説明した。曰く、メルセデスの2018年マシンが、以前のマシンに比べてリヤタイヤに優しい特性に仕上がったこと、セットアップがうまくいったこと、そしてハミルトンの卓越したタイヤマネジメント能力などが複合して、ハンガリーのコンディションに太刀打ちする事が出来たという。
また、ハンガリーで勝つためのもうひとつ重要な要素は、スタートにあった。今季のメルセデスはスタートにも苦戦。一方フェラーリ勢は抜群のスタートを決め、レースを優位に進める事が多かった。しかしハンガリーでは、ハミルトンとバルテリ・ボッタスは無難なスタートを決め、キミ・ライコネン(フェラーリ)の前をキープすることに成功。ハミルトンが逃げ、ボッタスが後続を抑えるという展開になったため、ハミルトン優位の流れとなった。
ウルフ代表は以前から、メルセデスにとってスタートは”改善しなければならない弱点”だと認めていた。またハミルトンもハンガリーGPの週末に、スタートの改善は”依然進行中だ”と語っていた。
「フェラーリは本当にすごく良いスタートを決めるんだ」
そうハミルトンは語った。
「それは何年も続いてきたことだ。それを改善するのは明らかに優先事項だ。なぜなら、明らかに利益を得る余地のあるところだからね」
「少なくともポジションをキープしたい。しかし一番求めているのは、他の誰よりも先行することだ。僕らは常に働き続けている。前進しようとする限り、やることはたくさんあるんだ」
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