2018/19年WEC“スーパーシーズン”のLMP1クラスに参戦しているマノー・ジネッタことCEFC TRSMレーシングが、メカクローム製エンジンのパフォーマンスに不満を抱いている旨を公表したことについて、メカクロームが反論する声明を出している。
ジネッタとメカクロームが提携する形で数年前からマシン開発がスタートし、今季からWECへの参戦を開始したCEFC TRSMレーシングは、開幕戦スパ・フランコルシャンへの出場を経済的理由からキャンセルした。
WEC:マノー・ジネッタが母国シルバーストン戦を欠場。第3戦は4クラス合計34台に
また、第1戦の欠場によってぶっつけ本番となったル・マン24時間では2台体制の内の1台、5号車ジネッタが完走を果たすも、予選と決勝でのペースはライバルを大きく下回ったことに加えて、電気系トラブルが頻発し多くの時間をガレージ内で過ごす結果となっていた。
そんなチームは8月3日、ホームページ内でメカクローム製の3.4リッターV6シングルターボエンジン『V634P1』に競争力がないと批判した上で、残りのシーズンに向けて同じLMP1プライベーターのSMPレーシングが採用しているAER製2.4リッターV6ツインターボエンジン『P60B』にスイッチするとアナウンスした。
これに対してメカクロームは6日、プレスリリースを通じて声明を発表し、ジネッタとの契約内容の一部を公にするとともにオフシーズンの間に充分な開発テストを行なわなかった同チームを批判している。
メカクロームによれば、ジネッタとの契約は当初、エンジンサプライヤーとして“スーパーシーズン”でLMP1エンジンを供給するもので、これには2019年のル・マンまで継続的にエンジン開発を続けるという項目が含まれていたという。
しかし、本契約は後に両者の間で改訂がなされ、レーシング・プログラムがル・マンだけをカバーするよう縮小された。
■ル・マンで未完走のエンジンを選択したことに驚き
メカクロームのモータースポーツディレクターを務めるブルーノ・エンゲリックは「ル・マンではメカニカルトラブルによって3000km以下しか走れなかった。これは我々がテストデーとレースウイーク中にもマシンの開発を続けていた、すなわち事前のテスト不足を意味しているんだ」と語っている。
「ダイナモ上のエンジンと実際にマシンに載せた状態でのエンジンのパフォーマンスにはいくつかの疑問があったが、これらを解決するにはトラックでのテストが重要であり不可欠なんだ」
「(ジネッタから)他社製のエンジンと比較して、パワーが充分ではないというクレームがあったが、仮に50PSを上乗せしたとしても結果は変わらないか、むしろ悪化しただろう。我々は信頼性に重きを置いた開発をしていた」
「シーズン開幕当初、チームに財政的問題が生じ契約の“保証がない”、また充分なテストができていないなかでも、メカクロームは契約の1日目から約束どおりエンジンを供給していた」
最後にエンゲリックはAER製エンジンの採用を決めたジネッタの決断に次のようにコメントしている。
「長年にわたって共同開発を進めてきたジネッタが、初めてのル・マン参戦でチェッカーフラッグを受けた我々との関係を絶ち、24時間を完走することができなかった他社製エンジンをジネッタG60-LT-P1に載せる決定したことに大変驚いている」
「しかし、メカクロームモータースポーツはジネッタとマノーがWEC第4戦富士で再スタートを切ることを願っている。また、我々はLMP1エンジンプログラムを継続し、近い将来ふたたびスポーツカーレースに復帰することを楽しみにしているんだ」
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