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『ホンダNSXの背後についてはいけない』スーパーGT第5戦富士、酷暑&未知の500マイルを制するポイント

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『ホンダNSXの背後についてはいけない』スーパーGT第5戦富士、酷暑&未知の500マイルを制するポイント

 とにかく『暑い』&『アツイ』という言葉が聞こえてくる、スーパーGT第5戦富士スピードウェイの搬入日。土日は搬入日よりもやや暑さは収まる方向のようだが、手元の計測では金曜日の最高気温は32.8度、路面温度は56.6度という酷暑になった。その中で行われる、今年から新たなレースフォーマットの富士500マイル決勝レース。その勝負のポイントはどのあたりになりそうか。

「実は前戦のタイの決勝では、熱中症でコクピットから降りたらフラフラでした」と語る、とあるホンダ系ドライバー。GT300クラスのマザーシャシー勢でも多くのドライバーが熱中症になったが、ミッドシップの車内はやはり暑いようだ。エアコンが導入されているGT500でも3メーカーを同条件で比較したわけではないが、ドライバーの声を聞く限り、特にホンダNSXはコクピット内の温度が格段に高くてドライバー泣かせだという。

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 今週末の富士は、これまでのマレーシアやタイでのレースに匹敵する、いや、それ以上の暑さになる可能性もあり、まずはドライバーの熱中症対策、レース中の体調管理が懸念される。ドライバーのスキルだけでなく、暑さへの対策も、耐久レースの勝敗に大きく関わってくることは間違いない。特にホンダNSXのドライバーたちの体調が懸念される。

 ドライバーだけでなく、その暑さに関して懸念されるのが、富士での500マイル(800km)のレース距離でのブレーキの摩耗だ。これまでスーパーGTでは鈴鹿1000kmで距離の実績があるとはいえ、富士の約1.5kmの直線距離、300km/h前後からのフルブレーキングによるブレーキの負担は、500マイル(800km)といえども鈴鹿1000km以上と言われている。

 GT500の3メーカーの中で、特にブレーキに厳しいと言われているのがレクサスLC500だ。ブレーキローターやパッドなどの部品は3メーカー共通部品で差はないが、LC500は空力を重視した作りのようで、ブレーキのクーリングがライバル2メーカーに比べて充分とは言えないようなのだ。他にも前後の重量配分や足回りの作り、セットアップなども影響しているだろうが、ブレーキが冷えづらい構造になっているのが、LC500がブレーキに厳しい一番の理由のようだ。

 当然、レクサス陣営もそのウイークポイントに手をこまねいているわけではない。今回の富士500マイルに向けて、ボンネット内のエアフローを改善してきたようで、外観からは分からないが、クーリング性能を増強してきているという。

 それでもレクサス、そしてニッサンGT-R陣営も恐れているのが、ホンダNSXの排気熱だ。エキゾーストはLC500、GT-Rはフロントタイヤ後方のサイドからの排気に対し、ホンダNSXはMRに搭載したエンジンでリヤから排気を行う。LC500、GT-RがNSXの背後に付いた場合、後方のマシンはNSXの排熱を冷え切らないままフロントのインテークから取り込むことになるため、エンジンパフォーマンスの低下だけでなく、ブレーキのクーリングにも甚大な影響を及ぼすことが想像されるのだ。

「NSXの後ろに付いた場合、半車身だけでは片側しか冷えないでしょうから、完全に一車身分は横にマシンをズラして走らないといけないでしょうね」とは、とあるGT500関係者。ドライバーたちは決勝の直線で、スリップストリームに付いてオーバーテイクを狙う/車体をズラしてクーリングを優先する、というふたつの悩ましい選択を迫られることになりそうだ。中途半端な選択でNSXを抜きあぐねて、排熱を受けたまま走行を重ねるとブレーキの摩耗が極端に進み、レース終盤に勝負権を失ってしまう可能性も多いに考えられる。

■スーパーGT初の富士500マイルレースの優勝候補たち
 もうひとつ、今回の富士のGT500クラスの戦いで注目されるのが、シーズン2基目のエンジンの投入状況とそのパフォーマンスだ。搬入日の段階ではまだ3メーカーすべての車両のエンジンが把握できてはいないが、どうやらレクサス陣営がシーズン2基目のエンジンを投入、ホンダ陣営は1基目と2基目がチームによって混在しているようで、ニッサン陣営は1基目のままのようだが、まだ定かな情報ではない。

 ただ、もしそれが事実ならば、3メーカーがそれぞれシーズンを見据えたエンジン投入戦略が異なっていることになる。プレチャンバー(エンジン副室での燃焼)の導入に湧いた今シーズンのエンジンウォーズのゆくえがどうのような結末になるのか、この富士戦が大きなターニングポイントになるのかもしれない。

 GT500クラスの決勝500マイル(800km)のレース戦略は、基本的には4ピット/5スティント。ピット作業のスピードだけでなく、セーフティカーの導入などでイレギュラーとなった際のピットストップ戦略、そしてどちらのドライバーが3スティントを担当するのかなどなど、チームの判断、総合力も大きな見どころになる。

 優勝争いは、普通に考えるならば36号車au TOM’S LC500が中心になる。前回のタイ戦でも優勝候補として39号車DENSO KOBELCO SARD LC500とトップ争いをしながら、ファイナルラップでまさかのガス欠。10位完走扱いで1ポイントを稼いだだけで、ほとんタイ戦と同じウエイトハンデで今回の富士500マイルに臨めることから、大本命といってもいい存在だ。

 そのauに続くかたちで、3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R、12号車カルソニック IMPUL GT-Rが優勝候補の一角をうかがう。今シーズン第2戦の富士500kmで23号車MOTUL AUTECH GT-Rが優勝したように、GT-Rと富士の相性は良く、3号車と12号車は大きなチャンスとなる。

 一方、第2戦で大きなトラブルに見舞われてしまったのが、ヨコハマタイヤ陣営。3台ともにタイヤトラブルが発生してしまい、緊急ピットを余儀なくされるなど3台とも残念な結果に終わってしまった。また、第2戦は予選日が濃霧の悪天候で走行できなかった経緯も大きく影響して、走行データが少ないホンダ陣営が大苦戦する結果となったが、この第5戦でどのように巻き返すことができるのか。ホンダ系チームの対応力が試されることになる。

 ヨコハマタイヤ勢、NSX陣営にはウエイトハンデが軽いクルマが多く、そのアドバンテージを長いレース距離で活かすことができれば、昨年の鈴鹿1000kmのEpson Modulo NSX-GTのように圧勝する可能性もある。酷暑のなかで行われる初めてのスーパーGT富士500マイルレースは、とにかく見どころの多い内容になりそうだ。

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