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Arnage Racing 2018スーパーGT第4戦タイ レースレポート

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Arnage Racing 2018スーパーGT第4戦タイ レースレポート

SUPER GT Rd.4 Thailand 300km
2018.6.30~7.1

眼前の敵は、熱か、スコールか……。タイヤ無交換作戦でチームポイント3をゲット

【動画】バトル&アクシデント集も登場。スーパーGT公式YouTubeチャンネルで第4戦タイのオンボード公開中

 鈴鹿300kmレースから約1カ月半のインターバルを経て、第4戦となるのは、チャン・インターナショナル・サーキットで行われるシリーズ唯一の海外戦。6月開催は3年ぶりとなるタイラウンドに、加納選手は3年ぶり、安岡選手は2年ぶりの参加となった。
 
 チームは、鈴鹿後2週間のメンテナンス期間の間に、擦れて傷ついたチンスポイラーを修復し、細かい部分の傷みを念入りに補修した。
 
 タイのチャン・インターナショナル・サーキットは給油方向が鈴鹿とは逆になるため、給油口を逆側に移設。また、暑さとの戦いとなることは必至とあって、高い路面温度に向けてのタイ仕様のセットアップを投入、クールスーツのチェックも入念に行った。
 
 平野の中に作られ、アップダウンのほとんどないことが特徴のチャン・インターナショナル・サーキットはまた、2本の直線に続く鈴鹿サーキットの130Rと似た高速コーナーを皮切りにテクニカルな様相を示すハイレベルなレイアウトでも知られている。
 
 テクニカルなコースを得意とするAMG GT3にはチャンスとも言えるが、同時に厳しい暑さとスコールとの戦いとなることも間違いない。鈴鹿から続く良い流れをタイへ持ち越すことができるのだろうか。

June 30th Qualifying Day
雨→晴/ウエット→ドライ
気温:29度→26度/路面温度:35度→33度
入場者:9417人

 予選日の朝、多少の雲はあるものの、青く晴れた空に南国らしく厳しい日差しが照りつける。10時から行われた公式練習では、安岡選手と加納選手が交替でコースに出て、マシンの感触を確かめた。久しぶりのサーキットに慣れておきたい両選手は、ピットイン、ピットアウトを繰り返しながら、時間いっぱいを使って45周をじっくり走行した。
 
 マシンも終始順調で、決勝を見据えたロングランチェックが行われ、スタビライザーやウイングの調整をしながら、持ち込んだセッティングを煮詰めて行った。また、ハードタイヤとミディアムハードタイヤの比較検討を行った結果、ミディアムハードタイヤで決勝を戦う方向が決まった。
 
 公式練習の結果は43周目に安岡選手が出した1分38秒701がベストラップとなり、300クラスでは最下位だったが、翌日の決勝に期待のもてるセッティングを見つけることができた。
 
 午後になっても暑い晴天が続くかに思われたが、13時15分からのピットウォーク終盤に不穏な雨雲がコース奥に現れ、上空を覆ったかと思うと、瞬く間に激しいスコールがチャンインターナショナルサーキットのコースに叩きつけた。
 
 雨は程なく通り過ぎたが、コース全周にわたってウエットコンディションとなってしまったため、予選の時間が15分ディレイとなり、ウエット宣言が出されるなか、15時15分からQ1がスタートした。
 
 まず雨の得意な安岡選手がウエットタイヤでコースに進み出て、アタックを開始。コースコンディションにピタリと合ったタイヤを履いた安岡選手は、まさに水を得た魚。安岡選手は15分間の予選時間を最後まで果敢に攻め切り、8周目に1分43秒522をマーク。15位のマシンとは0.001秒の僅差で14位に留まり、Arnage Racingとしては2014年第7戦ぶりにQ1を突破した。
 
 続いて16時からスタートしたQ2では、コースコンディションがドライになり、加納選手がドライタイヤでアタック。6周にわたって気迫のアタックを続けた結果、5周目にレコードした1分34秒685がベストラップとなり、ひとつポジションアップして13位で決勝を戦うことになった。
July 1st Race Day
晴/ドライ
気温32度→29度/路面温度:47度→40度
入場者:2万219人

 前日の予選後の車検でレギュレーション違反による失格のマシンが2台出たため、Arnage Racingは今季最高の11番グリッドからレースを戦うことになった。
 
 この日も、ブリラムは朝から気温が30度を超え、雲が多いながらも暑さの厳しい決勝日となった。午前中のインターバルの間に、チームは、金曜日から何度も行ってきたピットワーク練習の仕上げをした。ピット作業がいつもと逆になるため、ミスのないよう作業を入念に確認した。
 
 13時から20分間のサーキットサファリ、続いて20分間のウォームアップ走行が予定通り行われ、路面温度52度のなか、安岡選手と加納選手が交互にマシンのフィーリングを確認した。チームはセッティングとタイヤの最終確認を行い、最後の5分間でドライバー交代のシミュレーションも行なって、決勝の時を待った。

 定刻15時、気温、路面温度のピークは過ぎたものの、相変わらず厳しい日差しがコースを照りつけている。懸念されたスコールの気配もなく、熱との戦いとなることは間違いない。フォーメーションラップののち、300km、66周(300クラスは60周)のタイラウンドが始まった。

 第1スティントを担当する安岡選手は好スタートを切り、1分35秒台前半のタイムをレコードするなど好調なところを見せていた。ところが10周目を回ったところで、後方から追い上げてきたマシンとラインを争って複合の7コーナー付近で接触、EXE AMG GT3はスピンして21位まで大きく順位を落としてしまう。
 
 安岡選手はすぐに体勢を立て直し、コースに復帰、慎重にレースを再開した。幸いマシンのダメージはレースに支障のないレベルであることがわかると、安岡選手はまた、プッシュを始めた。
 
 チームはピットストップのタイミングを、第2スティントの加納選手が最低規定周回数18周をクリアできる41周目に予定していた。手負いのマシンは安岡選手の走りでまた次第に輝きを取り戻し、20周前後には1分35秒台でコンスタントに走行、ピットインするマシンが出てくる状況ではあったが、21周で17位、25周で10位と徐々に見かけ上の順位を回復してきた。
 
 レース中盤になっても路面温度は40度から下がる気配を見せなかったが、安岡選手は何度も1分34秒台のラップタイムをレコード。ピットインでタイヤ交換をするチームも見られるなか、タイヤ無交換作戦が可能であると踏んだチームはギリギリまで安岡選手を引っ張り、予定通り41周目にマシンをピットに呼び戻した。


 非常に迅速なピットワークののち、加納選手が安岡選手からステアリングを引き継いで13位でコースに復帰した。加納選手は無交換タイヤとは思えない好調な走りを見せた。前方マシンのペースダウンやアクシデントを尻目に、淡々と1分35秒後半から36秒前半のペースを維持し、ポジションをキープし続けた。
 
 目前の2号車を射程圏内において、ラストラップまで、前を行く強豪チームのドライバーに引けを取らないラップタイムでプッシュを続けたが、あと一歩及ばず、60周目13位でチェッカーを受けた。
 
 Arnage Racingは、加納、安岡両選手が耐久性のある優秀なタイヤをクレバーにマネジメントしたおかげで、序盤のアクシデントを跳ね返してふたたびチームポイント3を獲得することができた。
<ドライバー 加納政樹>
「お疲れ様でした。鈴鹿から約1カ月半くらい空いた状況で久しぶりにクルマに乗ったんですけど、練習走行から色々トライして進めていけました。予選もやっすー(安岡選手)がいいアタックしてくれてQ2に進むことができて、Q2でもひとつポジションを上げることができて、11番手っていう最高のポジションからスタートだったので、気負ったらあかんと思って臨みました」

「結果的に接触があって順位を落としてしまったけど、レース全体のペース的にはすごく良かった。やっすーのタイヤマネジメントのおかげもあって、無交換にトライして、そのあとも最後の最後までグリップ感があったくらいタイヤも良かった」

「今はGT300のレベルが拮抗してて、タイヤが保つか保たんかわからんなかで無交換の賭けに出てるチームがものすごく多い状況のなか、乗り手としても、チームとしても、計算しながら、頭使いながら少しずつの積み重ねをしていかんと生き残っていかれへんと思います」

「次の富士は坂本くんも帰ってきて、前回の富士が自分のなかで不完全燃焼になってるんでリベンジじゃないですけど、長いレース、しっかり、まずは完走、チームポイント3点を目指して、あとはあわよくば…っていうレース展開になったらなと思っています。次回も気合い入れて頑張ります。ありがとうございました」

<ドライバー 安岡秀徒>
「戦えそうな雰囲気がなかった鈴鹿と富士に比べると、今週末は随分いい週末でした。車も走り出しからどんどん良くしていくことができて、天候に助けられた部分もありましたが、Q2にも進めて、充実したレースウィークの流れだったと思います」

「レースは本当に狙っていた通り、ポジションを落とさずにタイヤをしっかり温めて無交換で行ける礎を作ることができていたので、自分と同じようなペースで走っている前方の87号車とか34号車にくっついていきたかったのですが、後ろから追い上げてきた88号車と10号車に抜かれるタイミングで10号車とぶつかってスピンして、最後尾近くまで落ちてしまったのがすごく残念でした」

「ただ感覚的には、当たったのはボディで、あまりハンドリングにも影響がなかったので、プッシュして、ストレートの速いベントレーが離れたうまいタイミングで綺麗なラップを何周か連続で回ることができたのでいいリズムになって、順調に周回数を重ねていけました。そして後半は加納さんが最後まですごくいいペースで走ってくれて、ここ数戦、加納さんが結構苦戦してる感があったのですが、それを脱した、そういう意味ではターニングポイントになるレースになったのかなあって思っています」

「でも個人的には狙いはオートポリスと菅生なので、(次の富士は大変なコースなんですけど)この流れをキープできるように次戦富士をまた、加納さん、坂本さんと三人で頑張ります」

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