古き良き面影が色濃く残された65年の歴史を誇る伝統のコース
前回では「FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権」のシリーズ第3戦やサポートレースについてレポートしたが、その開催サーキットが『アウトドローモ・モスト』だ。『アウトドローモ・モスト』が位置するのはチェコの西部、ドイツ国境からほど近いエリア。細長いエリアにレイアウトされた全長4.2kmのコースは、FIAのグレード2を取得している。コースレイアウトとしては、ホームストレートを駆け抜けた先にシケインが現れ、左右に切り返して立ち上がると大きなカーブを経て一番奥の複合カーブに向かう。イメージで言うなら、鈴鹿のヘアピンを立ち上がってスプーンに向かう感じだ。そして、奥のカーブで折り返したら、少し下って上るが高低差はあまり大きくない。その先で右左右と中高速コーナーが続くが、ここはもてぎサーキットの第1アンダーブリッジを抜けたセクションに似ている。最後の折り返しは、鈴鹿サーキットのスプーンを逆に走る感じ、といったら想像できるだろうか。岡山国際サーキットの敷地内に、鈴鹿ともてぎのコンポーネントを当て嵌めて構成したイメージだ。
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そんな「アウトドローモ・モスト」の歴史は古く、オープンしたのは1953年。70年代終わりから80年代初めにかけて大改修が行なわれ、モダンな一面を持つサーキットに生まれ変わった。昨年、テストケースとしてヒストリックレースを開催し、今回のシリーズ戦開催にこぎつけたという。細長いエリアにレイアウトされただけあって、ピット裏のAパドックが狭いのが玉に傷。フルサイズのトレーラーを並べると、ピットボックスとの間には乗用車がやっと通れるほどのスペースしか残っていないから、搬入/搬出が大変であろうことは想像に難くない。
それもあってか、ファンとの距離が近いことが大きな特徴。ピットウォークの賑わいは万国共通だが、ピットウォークの時間帯以外でもAパドックには多くのファンが入って来てドライバーにサインをねだる風景も多く見られた。また、ピットウォーク時にはピットガレージの中まで入り、マシンの横で記念撮影というシーンも。これは「FIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1選手権」がフレンドリーであることが影響しているのだろうが、アウトドローモ・モストというサーキットそのものもフレンドリーなことに他ならないだろう。
ちなみにアウトドローモという呼び名はイタリア語と同じ。メディアセンターでプレスオフィサーに訪ねたところ「イタリア語とは(厳密には)少し違うけど、似たような発音だよ」とのこと。
(撮影レポート:原田 了)
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