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脇阪寿一の監督論。「他の監督と手法が違うし、内容も違うかもしれない。でもそれはオンリーワンだと思う」

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脇阪寿一の監督論。「他の監督と手法が違うし、内容も違うかもしれない。でもそれはオンリーワンだと思う」

 スーパーGT専門誌『スーパーGTファイル Ver.5』が7月8日、全国書店や三栄書房オンライン、Amazonなどで発売される。今回は、そのなかからLEXUS TEAM LEMANS WAKO'Sを指揮する脇阪寿一監督へのインタビューを一部ご紹介。

■脇阪寿一(LEXUS TEAM LEMANS WAKO'S)の監督論インタビュー
――オフのテストでもトップタイムを出していました。
「『トップタイムです!』とSNSに書いたの。するとファンもアンチのGTファンも『寿一はわかってない!』と言ってくる人がいた」

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「テストはテスト。トップタイムなんてどうでもいい、着実にやっているところはやっているよって僕のところにメッセージがくる。僕がそれをわかっていなかったら、ここにはいないという話。言ってみればSNSを利用している」

「ライバルメーカーにも、同じレクサスの仲間たち対しても、ライバルをけん制するために、またチーム・ルマンのメンバーのモチベーションを上げるためにもタイムにもこだわるし、その伝え方も考える。直接メンバーに『よかったよ』と伝えることもするけど、直接伝えずにSNSに上げるときもある。間接的に周囲からいい評価を言われたら人の受け取り方が全然違うでしょ」

「必要だからトップタイムを獲るのであって、SNSでの発信もファンの方々に向けてだけやっているわけじゃない。例えばスタッフが残業して、近くの居酒屋に行こうかとなるよね。行った時に“御殿場村”だから他のチームも座っているとする。その時にご飯食べる優越感がトップタイム後だとちょっと違うよね」

「もっと言ったらSNSを通じて直接関係のない例えばスーパー耐久のチームも知るよね。そうしたらうれしいし、気持ちよくなったらおかずをもう一品頼みたくなる。そんなことがものすごく大切。そういうところすらもどうコントロールするか、できているかというところで彼らのパフォーマンスは変わると思っている」

「僕の仕事ってそういうこと。他の監督と手法が違うし、仕事内容も違うかもしれない。でも今のところそれはオンリーワンだと思う。もっと言ったらレースで培った戦いに対するこの考え方が、世の中のためにも役立つことを証明したい」

「どんな仕事でも同じだと思うから。そこからモータースポーツの存在意義を示したい。しかもチームづくりは相手を蹴落とす戦い方と違うでしょ。自分たちがより伸びるためにどうするかだから。交通安全への貢献とともにモータースポーツをメジャーにするための二本柱だと思っている」
――チームを尖らすとはどういうことでしょう?
「この2年間を分析していて、中盤戦のポイントの伸びが止まるよね、レギュレーション上(注:ウエイトハンデが終盤まで降ろせない)。結果、健二さんのアクシデントがあったから実行できないかもしれないけど、そこに注目してレースを選びにいっていたかもしれない。勝つために」

「あともうひとつ我々のクルマに対するウォームアップの悪さ、その裏返しでタイヤは他のレクサスより半ポジション柔らかいところを使えるというメリットを持っていた。それでアウトラップで和也とカルダレッリ(16~17年)はいつもKeePer TOM'S LC500にやられていた」

「この部分の修正にクルマとドライバーの両面で取り組みたい。ドライバーという面では、単純に順位というだけでなくコース上でのドライバー同士の戦いが、自分の立ち位置を決める戦いという僕の考え方を、今、大嶋も理解し始めている」

「そのレベルで今、レースしているのは関口かもしれない。鈴鹿のスーパーフォーミュラ開幕戦で平川亮に対してヘアピンでインを閉めたでしょ。平川が飛んでいったよね。平川の抜き方って気迫なの。(前のクルマと)距離があってもブレーキを遅らせてバンっと入る」

「今年のスーパーGT岡山で大嶋は平川に抜かれているよね。あの時も飛び込んできて、大嶋の判断からしたらそんなの絶対止まり切らない。それでアウトでクロスをかけようと狙い始めた。でも平川がインで止まり切っているからクロスがかからない」

「平川からしたら、ドンっと飛び込んだら大嶋はどいてくれる選手かもしれない。最近の平川の抜き方は全部それ、気迫。離れたところから抜くときは横の人が閉めてきたら両方リタイアするような状況がよくある」

「これを全員が許していたら、平川はいくらでも成績が出る。別に平川が憎くて言っているわけじゃないよ。僕からしたら、他の選手はそんなことしていてメシが食えるのかという話。今は成績もあり平川の立ち位置が一段上。でも関口はスーパーフォーミュラで閉めて、平川は飛んでいった。次、同じシチュエーションになったときに平川は飛び込むのか。これが戦い」

「関口はレース中にしたけど、僕は昔この戦いをテスト中にしてきた。新しくきたガイジンドライバーが速くて生意気な時には、インを刺してきたら必ず閉める。少々ぶつかってでもいかさないし、少々ぶつかってもチームにゴメンって言いながら、無理矢理でもインを刺しにいってた。で、刺したら刺し切る。抑えたら抑え切るとしといたら、次、勝負いくときにそいつはどう思う僕を見たら」

――自分がリスク負うか、少し躊躇するでしょうね。
「だから、関口を好きなのは、そのレベルで戦っているから。ドライバーの時はライバルに対してそういうことをしていたけど、監督としてもそういう戦いが必要なの。だから僕は平川のファンだし、意識改革中の和也もこれからは今までとは違うよ!」

*  *  *  *  *  *

 縁の下の力持ち。バックステージを支える、プロフェッショナルたちの仕事。7月6日(金)発売のスーパーGT専門誌「スーパーGTファイル」Ver.5ではチームの仕事を大特集。コースの外、内と分けて企画化しました。

 NISMOでは第2戦富士優勝翌日のファクトリーを取材。これまでカメラが入ったことがないGT500車両のメンテナンス作業をする秘匿エリアでの撮影に成功。メカニックのコース外での仕事にフォーカスします。トラックエンジニアの仕事が詰まっているセッティングシートを実物公開。GT500タイヤ開発・製造現場における競争の激しさ過酷さは多数の部署へのインタビューで明らかにしました。
 
 これらを読むとスーパーGTでの一勝の重みが実感できます! 車両開発ネタではプレチャンバーの仕組みと効能を初公開。エンジンパワー競争の観点から現状GT500勢力図の背景を解説します。
 
 GT-Rの空力性能も数値入りで公開します。冒頭に紹介した脇阪監督インタビューは1万字オーバー。山田健二エンジニア急逝を受けてチーム再建中の今の心境を本音で語ってくれました。

■スーパーGTファイル Ver.5
7月6日(金)発売
定価:1200円(1111円+税)
商品紹介ページ:http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=10309

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