第86回ル・マン24時間耐久レースは6月16日~17日に決勝レースが行われ、ポルシェGTチームのミハエル・クリステンセン/ケビン・エストーレ/ローレンス・ファントール組92号車ポルシェ911 RSRが優勝を飾り、ポルシェはワン・ツーフィニッシュを飾った。ニュルブルクリンク24時間に続くポルシェ70周年の歴史的勝利。今後、ポルシェのGTプログラムはどのような方向を目指していくのか、ポルシェGTプログラム担当副社長のフランク・ステファン・バリザー博士にル・マン24時間の会場で聞いた。
──まずは今シーズンのGTEカテゴリーについて、これまでの戦いを振り返っての感想を教えてください。
「ポルシェにとってパーフェクトな週末」70周年のメモリアルイヤーで1-2制覇【ル・マン24時間連載企画6回目】
「我々はモータースポーツのプログラムについて全体を見直し、GTカテゴリーについてはGTE、そしてGT3に絞ることにした。今回のル・マン24時間については4台を揃えたが、2台が参加したWEC開幕戦スパ・フランコルシャンでも僅差の戦いを展開できたし、ル・マンではこうしてポールポジションも獲得し、ワン・ツーフィニッシュを飾ることができた。成果については満足しているよ。それにGT3についても、ニュルブルクリンク24時間では劇的な勝利を見せてもらったしね」
「現在のところ、GTレーシングを戦うことで得た知見を市販車にも密接に活かすことができている。その市販車においても、GT2 RS、GT3 RSがニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)でとてつもないタイムを記録することができ、市販車のマーケットにも好影響を与えている。このリンクはとても大切なものだ。やはり市販車が売れてこそ会社にとって素晴らしい結果だからね(笑)。今もGTカーにはモータースポーツから得られるアイデアが多いのだ」
──ポルシェ911 RSRの長所と、ライバルと比較して優位な面、不利な面などはありますか?
「思うに、ラップタイムはいつもすごく接近しているので、アドバンテージとディスアドバンテージは見つけづらい。ポジティブな面としては、我々の経験とドライバーラインアップだろう。この911 RSRでの参戦は2年目だし、1年目に比べてセットアップの面も含めて多くの経験を得ている。とはいえ、どのコースに行ってもライバルとの差は非常に少ない。アドバンテージはあまりないし、“キラーカード”をもつことは不可能なカテゴリーだろうね」
──2018年のWECは、いわゆる“スーパーシーズン”ですが、このシーズンを戦うポイントを教えてください。
「もっとも大切なことは、すべてのレースでしっかりフィニッシュしてポイントを積み重ねていくことだ。それにこのシーズンはル・マン24時間が2回開催されるからね。ル・マンは1.5倍のポイントが得られるから、ル・マンでよりいい成績を獲得することが重要になる。これを達成することができれば、スーパーシーズンを終えてワールドチャンピオンを得る可能性が出てくるだろう」
──昨年LMP1での活動を終え、その後ポルシェのモータースポーツのプログラムはどんな方向に進んでいくのでしょうか。
「我々は新しい世界にも照準を定めている。それはフォーミュラEだ。それも市販車とも非常に密接に関連していて、ご存知のとおり我々は2019年に“タイカン”をリリースするが、それに向けて新たなDNAとストーリーを得ようとしているし、市販車への知見をフォーミュラEから得ることができる。一方で、911を中心としたスポーツカーの歴史はこれからもル・マン24時間を通じた戦いで築かれていく。なぜならポルシェはル・マンとともにあるからだ」
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