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トヨタの2018年仕様ル・マン”チャレンジャー『TS050』は、昨年モデルからどう進化した?

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トヨタの2018年仕様ル・マン”チャレンジャー『TS050』は、昨年モデルからどう進化した?

 先日スパ・フランコルシャンで開幕した、WEC(世界耐久選手権)の2018-2019”スーパーシーズン”。その初戦スパ6時間レースでは、TOYOTA GAZOO RacingのTS050Hybridが1-2フィニッシュを果たした。

 今季LMP1クラスで唯一のファクトリー系チームではあるものの、8号車は首位を明け渡すことのない完璧な走りで優勝。また7号車は予選で燃料流量計の申告ミスがあり決勝をピットレーンから1周遅れでスタートしたものの、ハイペースで走って追い上げに追い上げ、2位フィニッシュを果たした。

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 今季のTS050Hybridは、昨年モデルとどう変わっているのか? 今季からTOYOTA GAZOO Racingのパワートレイン開発部長に就任した小嶋正清に話を訊いた。

「今年のエンジンは信頼性を上げるというのが第一優先です。細かい調整もしていますが、信頼性メインです」

 そう小嶋は説明する。

「バッテリーは軽量化を図っています。冷却部分をそぎ落とせて軽くなりました。理由はバッテリー自体の耐熱性が上がったせいです。周りの温度は変わらなくても、バッテリーの耐熱性が上がると冷却系は簡素なもので済みます。コンパクトに出来るということは軽量になるということです。バッテリーの温度自体も下がっていますが、ロスの少なくなって、出す熱も減って放出冷気流も増えて……ということで、大分簡素化できています」

 年々効率化が進むトヨタのWECマシン。しかしその肝とも言える燃料が、今季から変更されている。

「燃料は今年からTotalになりましたが、思いのほか変わっていたのでドタバタしました。スパに来てドタバタもしました。今までは大丈夫だったことが駄目になったりとかしました」

 そう小嶋は語る。

「今年の燃料の組成はE20なので、エタノールが20%、残りの80%がガソリンです。そのガソリンの組成で趣が大きく変わります。Totalのベストマッチングをしたら信頼性に足が出るとか、こんなんじゃなかったとか……。Totalに決まったのは年明けなのですが、そこからやり始めて、適合も見直してみたら『あれ、なんだこれ?』ということがありました。燃料でこんなに違うんだというのがよく分かりました。ちょっと足を掬われた感がありましたね」

 現在はその問題も解決しているようだが、当初はかなり苦労したと小嶋は言う。

「今は大丈夫ですが。あれ、普通はこんなところは壊れないよね、というところが壊れたりしました」

 今季からパワートレイン開発部長に就任した小嶋。実際どんな仕事をしているのかと訊くと、次のように説明した。

「パワーユニットの細かい所に関しては日本人エンジニアに任せているので、私は彼らが動きにくいことはないかとか、そういう点を見ている立場にいます。その視点で見れば、みんな戸惑っている感じはなく、決められた仕事をしっかりこなしていると思います」

「みんながオタオタしていると私も焦らなくてはならないですが、みんな落ち着いてやるべき事をやってくれているので安心しています。今年はそういうところも準備してきました」

「プレッシャーがないわけではないですが、準備もちゃんとしてきましたし、みんなを信じています。僕がオタオタしていると、みんなもオタオタするのでいかんと思い、ドンと構えています」

 いよいよ次戦はル・マン24時間レース。トヨタとしても、制覇は悲願である。ただ気になるのは、他のLMP1マシンとの性能調整がどうなるのかという点だ。

「敵(他のLMP1マシン)の力がわからないですね」

「ハイブリッド非搭載のLMP1チームが、どんなアプローチをしているかが分からないんです」

「スパのレース結果次第で、ル・マンの前に性能調整が行われる可能性は否定しません。FIAがどう言ってくるか……我々が使える燃料がこれ以上少なくなることはないでしょうけど、ハイブリッド非搭載のLMP1マシンの性能がどうなるか分かりません」

「LMP1がこんなに遅いはずないだろうと思うんですよね。三味線弾いてるんでしょうね……開幕戦で弾きますからね」

「とにかく、一番の山は6月(ル・マン24時間)ですから」

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