いくつかのF1チームは、2019年までにオーバーテイクの機会を増加させる施策を採用したければ、エアロダイナミクスのレギュレーションの変更内容を今後数週間のうちに確定させなければならないだろうと推測している。
レース中のオーバーテイクの回数が少なかった2018年オーストラリアGPの後、パリで開かれたF1ストラテジーグループ会議でそのことが話題となった。そしてバーレーンGPでもFIAとF1チーフテクニカルオフィサーであるパット・シモンズ、さらに各チームの技術代表が話し合いを行った。
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会議で意見が一致することがなかったため、この議題はストラテジーグループのチーム代表会議でも取り上げられる予定だ。
2019年F1の技術規則の変更事項を決定する締め切りは4月30日までと定められているが、全チームが満場一致すれば、締め切り日を延長することが可能となる。
しかし、その変更事項の原則やタイミング、見込まれるコストへの懸念を持つチームがいくつかいるため、それを延長するのは困難であるとみられる。
マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは、次のように語った。
「まず初めに疑問に思うのが、その背景にある戦略だ」
「たかがオーバーテイクだ。オーストラリアGP後にあるお決まりの出来事だろう。オーストラリアではオーバーテイクがなかったが、実際バーレーンGPは過去10年間で最高のレースとなった」
「オーストラリアでのオーバーテイク回数の少なさがきっかけとなるのであれば、それはおそらく早急な判断だろう」
シモンズの下で2021年F1レギュレーションの準備を行う研究チームは、来シーズン接近戦を増やすためはどのような変更をすべきなのか調査しているFIAのテクニカル代表であるニコラス・トンバジスを手助けしている。
その研究によると、マシンの前輪周りに発生する気流を制御し、マシンの外側に向かって空気を流すように設計された"アウトウォッシング"フロントウイングの翼端板も、後続車を近づけないようにする悪影響を与えているという。
新しい規制が導入される2021年の直前2シーズンでオーバーテイクの機会を増やすことができる改善策として、現行よりも大きなリヤウイングフラップと強力なDRSを導入することが提案されている。
しかしブーリエは、それが採用されることになればF1チームはこれからの3シーズンに渡り、一連のレギュレーション変更を余儀なくされる可能性があると考えている。
「FOM側にロス・ブラウン(F1のモータースポーツ担当マネージングディレクター)の経験による指導の下、ワーキンググループが設置されているのは理解しているが、2021年のF1に関する懸念事項に取り組むことが重要だ」とブーリエは語った。
「私が疑問に思うのは、この問題に取り組んで、2ヵ月以内に決定を下す必要があるのかということ、そしてF1のエアロプラットフォームや空力のレギュレーションを根本から変更する可能性があるということだ。期待通りのレギュレーションにならなかったら、2020年にエアロに関するレギュレーションを変更しなければならない可能性もある。そして2021年にもレギュレーションを変えるのか?」
「レギュレーションを3年連続で変更するとなると、コストが莫大なものとなる。F1の将来の持続可能性やコスト節約について話し合いが行われている中、そのような動きがF1に必要になるとは思わない。マシンのいくつかのパーツを標準化したり、応急処置を施せばいいだけの話だ」
「F1の未来を築くためにもっと調査を重ねるべきだと思う。2021年までに達成したいことが明確化されるまで、これまでのエアロを残しておくべきだ」
フォースインディアのテクニカル・ディレクターであるアンディ・グリーンは、現時点で大きな変更を加えるのにはタイミングが遅すぎるため、レギュレーションは変更されないだろうと予測している。
「その可能性が高いだろう。4月中旬に翌年の技術規則を書き直すことは、これまでに前例のないことだ」
「時間は大きな要因となる。しかし、変更するために何が必要なのかを理解することは別の話だ」
「多くの人々が提案された変更によって、マシン同士のバトルやオーバーテイクを促すだろうと考えている。しかし、それは"大きな仮定"でしかない。それを証明するデータはないし、誰かのアイデアというだけのことだ」
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