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山内とのコンビ4年目に挑む井口卓人、スバルBRZは「寒い時期の取りこぼし」対策が王座への鍵

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山内とのコンビ4年目に挑む井口卓人、スバルBRZは「寒い時期の取りこぼし」対策が王座への鍵

 2018年もスバルのワークスドライバーとしてスーパーGT300クラスに挑む井口卓人は、悲願のチャンピオン獲得への鍵は「寒い時期の取りこぼし」対策だと明かした。

 2017年は駆動系のトランスアクスル化、シャシーバランスの見直しが行われたSUBARU BRZ GT300。ドライバーも結成3年目の井口/山内英輝コンビと盤石の体制で挑んだが、メカトラブルで苦戦。

スバル/STI、スーパーGT&ニュル24時間投入のBRZとWRX STIを富士でシェイクダウン

 ベストリザルトは第3戦オートポリスで獲得した2位表彰台となり、ドライバーズランキング、チームランキングともに9位に終わっていた。

 2018年シーズンに向けて、チームはエンジンの燃焼室形状やエンジンヘッド内冷却性の見直し、ピストンの軽量化、前後フェンダーやカナード、ドアミラーの新規作成、ブレーキローター径とパッド面積の拡大、サスペンションセッティングの見直しなど、多岐にわたる改良を実施。

 その一方で、ドライバーラインアップは井口と山内のコンビを維持。ともに1998年生まれのコンビが、結成4年目の布陣で挑む。

「2017年は表彰台が1回だけで僕たちが望んでいた結果ではありませんでした。チームもファンのみなさんも、めちゃくちゃ悔しい思いをしましたが、それを無駄にしてはいけないと思います」と井口。

「(昨シーズンは)2018年に活躍するための、準備期間となる1年だったと思います。2018年は活躍しないといけないと思いますし、チームもエアロだったり、(マシンの戦闘力向上に)いろいろと取り組んでくれています。ドライバーとしても、そこを生かしていきたいですね」

「トラブルなどもありますが、BRZは寒い時期の(ポイント)取りこぼしが多いんです。このあたりを特に強化していきたいです。暖かくなってくると、ちゃんと走れるクルマだと思うので、そこをもうちょっと強くしたいですね」

■勝負を分けるオフシーズンの走り込み。パワー不足改善とトラブルの種潰しが肝
 昨年施したトランスアクスル化によって、BRZは車重バランスが最適化され、リヤのスタビリティが強化された。これにより2017年第5戦富士の決勝ではリヤのみ2本交換、第6戦鈴鹿1000kmではタイヤ無交換を実施したスティントもあるほど。

 一方で、フロントタイヤを交換しないで済むということは、フロントタイヤへの入力が強くないという意味でもある。気温や路面温度の低い時期は、この点がウイークポイントになっている可能性もあるだろう。

 この点について井口は「(気温が低い時期は)単純にタイヤ(のコンパウンド)を柔らかくすればいいんですけど、FIA-GT3と違ってトラコン(トラクションコントロール)がなかったりという部分で、なかなか厳しい」と応じる。

「ここでGT3に少し差をつけられているので、もっとタイヤをしっかり使うという部分を寒い(オフの)時期にテストできれば、もっと強くなるんじゃないかなと思います」

「最終戦前のオートポリスでシリーズの流れを決定づけられるような形に持っていければ、充分チャンピオンは獲れると思います」

 パートナーの山内も「昨年は悔しいシーズンだったので、それを取り返せるようないいレースをしたいですね。去年のシーズンオフはなかなか走り込めなかったですけど、今年はそれが改善されていると思うので、シーズンオフでどれだけ周りに追いつき、前に行けるかが勝負」と、オフシーズンの走り込みが重要だと強調している。

 2017年シーズン、BRZには電装系や駆動系、ブレーキなどのメカニカルトラブルが多発。また、搭載する水平対向エンジンは、ターボながら排気量が2リッターとライバルとなるGT3勢と比べると非力なのは否めなかった。

 今シーズンへ向けて、エンジンの排気量は変わらないがチームが施したエンジンや空力パフォーマンスの改善で、このパワー不足をどれだけ解消できるか、そしてなにより「走り込みが重要」だというシーズンオフに、どれだけトラブルの種を潰せるかが勝負の分け目となる。

■ニュル24時間での井口加入は、マシン開発で「すごく心強い」
 またスバルは2018年もニュルブルクリンク24時間レースへ継続参戦。クラス王座奪還を目指してSP3TクラスにスバルWRX STIを投入する。

 2018年は、これまでTOYOTA GAZOO Racingからニュル24時間に出場していた井口がスバルへ加入。ここでも山内とともにタッグを組むことになる。

 これまでニュルのドライバー布陣では唯一の日本人ドライバーだった山内は「井口選手の加入はすごく心強い」という。

「ニュル(の車両開発)はいままでひとりでドライブして、そのインフォメーションをチームに伝えていましたから、任せられている部分も多いですけど、重荷に感じる部分がなかったわけではありません」

「実際、この3年間は向こう(ニュルブルクリンク)にマシンを持っていってもしっかり進化していましたけど、そこに井口選手が加わるとコメントも力強いものになります。ふたりで(マシンの改善点を)感じあえれば、確かな答えになるので心強いですよ」

 その井口は「僕のイメージで、スバルはSP3Tクラスで無敵」という印象があると言い、「(スバル移籍)1年目ですし、AWDに乗る機会もあまり多くはありませんから、初めてのレースでドキドキワクワクなんですけど、6年間GAZOOで経験してきたことを、しっかり1年目のチャレンジで生かしたい」と決意を明かした。

 22日に富士スピードウェイで行われたシェイクダウンでも、走行後に笑顔を交えながらコミュニケーションを取っていたほか、井口が自身のYouTubeチャンネル『TAKUTO IGUCHI ''Takuty''Official』用に動画を撮影している様子を、山内が写真に収めるなどコンビネーションは抜群。GT300、ニュル24時間ともに、抜群の連携で悲願の王座獲得を目指す。

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