F1iのテクニカルエキスパート、ニコラ・カルパンチエが各チームの2018年F1ニューマシンを分析。ザウバーC37のサイドポッドやサスペンションなど気になる部分をピックアップ。
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・ザンダー初監修のマシン
C37は2016年末にアウディから移籍してきたヨルグ・ザンダーが総監修した、初めてのF1マシンである。「それまでとはまったく違うコンセプト、新技術をどっさり盛り込んだ」と、ウイリアムズ、ザウバー、ホンダ、そしてアウディと渡り歩いてきたドイツ人の職人エンジニアは胸を張る。
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とはいえC37のノーズは、昨年のフォース・インディアを彷彿とさせる、鼻の穴のような二つの開口部の開いたデザインだ。
そこから入った空気がどこに流れるか、現時点では不明である。しかし赤い矢印が示すように、フロントカウルには二つのSダクトが備わっているようだ。
・独創的なサスペンション
昨年のC36に比べ、フロントサスペンションのアッパーアームはホイール側がかなり高い位置に付いている。湾曲したサポートパーツを用いた手法は、昨年のメルセデスW08、トロロッソSTR12にも見られたものだ。さらにアッパーアームには小さな整流板が見えるが(緑色矢印)、これもSTR12が先鞭を付けている。
驚くべきは、操舵力を車体からホイールに伝えるトラックロッドの位置が、上がっていることだ。去年型ではロワーアームの前側と高さを揃えていたのが、新車では上下のアームの中間辺りに置かれ、前方からの気流を邪魔しているように思える。
しかしフランス人空力エンジニアのニコラ・エネル・ドボープローはサイドポッド開口部を実に独創的なデザインに仕上げており、トラックロッドの配置もその兼ね合いで決められたようだ。
C37はホイールベースが、より長くなった。「フロントアクスルを前方に移動させ、空いたスペースにさまざまな空力パーツを置くためだ」と、ゾンダーは意図を説明している。
・コンパクトな開口部
サイドポッドの空気取り入れ口は、2017年モデルを発展させたデザインである。それ自体すでにメルセデスW01(2010年)、フォース・インディアVJM04(2011年)、ケイターハムT128(同)の影響を受けたものだった。
一方でサイドポッド自体の形状は、まったく新しい設計だ。他の多くのニューマシンのように、昨年型フェラーリを踏襲したものではない。サイドインパクトバーは去年同様、空気取り入れ口の上端に位置している。
ただしサイドポッド自体がかなり下げられており、その結果サイドインパクトバーもおそらく400mm以上低くなっている。
開口部自体の面積は、極限まで縮小された。しかも垂直方向に細くなっているのが特徴的だ。空気抵抗を減らすには確かに効果的だが、空気取り入れ口下の気流が乱れる恐れもある。
その点、ウイリアムズ、ハース、レッドブルは、気流の最適化を優先している。それぞれ長所と短所があり、デザイナーの哲学の違いが形となって出やすい部分といえる。
・遠い記憶
ザウバーの我が道を行く姿勢はそれだけに留まらず、サイドポッド上部に2ヶ所の空気穴を開けた(赤矢印)。これは1987-89年のベネトンを思い起こさせるものである。これはおそらくターボに新鮮な空気を取り込むためで、ヘルメット上のエアインテークはERSやトランスミッション、エンジン本体を冷却するためのラジエターに回していると思われる。
「新しい冷却システムの開発には、かなりの時間と労力をかけた。おかげで非常にコンパクトなものに仕上がっている」と、ザウバーの開発担当者は語っている。
・変更はホイールにも
C37は新設計のホイールを備えている。後輪のデザインは、レッドブルRB13にも見られたものだ。ブレーキディスクやタイヤが発する熱を効率的に逃がし、冷却することが目的である。
・トレンドに追い付いたフロントウイング
フロントウイングにも、大きな変更が加えられた。小さな羽根で構成されるアーチがいっそう存在を主張しており、前輪が起こす乱流を打ち消す役割を十分にはたしてくれそうに見える。
・フェラーリとの技術提携
エンジンカウル上部を見ると、去年のアブダビで試した冷却口がC37に採用されたことがわかる。リヤウイングは今のところ2017年仕様だが、ただし支柱はハースやウイリアムズ同様2本になった。ハロにはミニウイングが付けられ、これは今後他チームも踏襲して行くことだろう。
今季のザウバーは最新仕様のフェラーリ製パワーユニットに加え、ギヤボックスの供給も受ける。さらにいえばアルファロメオの名前を冠しているだけに、フェラーリからの技術供与はハースほどではないにしても、相当なものだと考えるべきだろう。
リヤサスペンションも、フェラーリ製だ。「そのため昨年型に比べ、40mm後退させなければならなかった」と、ザンダーは語っている。
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