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WEC 2016 第1戦 大波乱のシルバーストン6時間レース 

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WEC 2016 第1戦 大波乱のシルバーストン6時間レース 

2016年4月15~17日、イギリスのシルバーストン・サーキットで世界耐久選手権(WEC)シリーズが開幕戦を迎えた。この第1戦、続く第2戦のスパ・フランコルシャンでの戦いぶりはWECの天王山、ル・マン24時間レースの展開を占う重要な材料になる。

■公式予選2016年仕様の新型マシンを揃えた、ポルシェ、アウディ、トヨタの3メーカーチームは、フリープラクティス、公式予選から激突した。最大のサプライズは、シーズン前の合同テストではポルシェがアウディ、トヨタに大きく差をつけて実力を見せつけていたが、ウエット路面の公式予選ではアウディ7号車、8号車がポルシェに1秒もの差をつけて1、2番手を独占したことだ。

ポルシェは3、4番手となり、トヨタはポルシェより4秒以上遅い結果となった。トヨタも合同テストではポルシェに迫るタイムをたたき出していただけに予想外の差は驚きだ。トヨタによれば、降雪の後、ウエット路面となった予選で制御系のトラブルが発生し、本来の実力を出せなかったという。

ポールポジションを決めたアウディR18は、ボルト1本にいたるまで従来マシンとは異なるニューマシンに生まれ変わっているが、ウエット路面で抜群の速さを見せつけた。また120度V6・4.0L TDIエンジンは850Nmを超えるトルクでありながら燃費は10%向上しており、エンジンとモーターの合計出力は1000psで、燃費改善により900psにダウンしたポルシェよりパワフルなのだ。アウディはハイブリッド・クラスを6メガジュールとし、新たにリチウムイオン電池を採用し、回生電力の貯蔵量は50%も増加しているのだ。またこれに合わせ、前輪での減速回生と駆動を担当するモーターの出力は350kW(476ps。ただし駆動時は規則により300kWの出力)で、より強力な減速回生を実現している。

アウディはボディの空力性能も大きく変更し、フロントとキャビンの位置関係を見直し、またフロント部の断面積を最小化し、気流をボディ底面に流しながら空気抵抗の低減を図っている。またサスペンションは関連懸架制御(リンクド・サスペンションシステム)を採用している。

■決勝レース公式予選とは異なり決勝レースは晴天に恵まれた。レースの火蓋が切られると、アウディが先行し、ポルシェが激しく追い上げる。そして快調なポルシェ1号車は7周目にアウディ8号車を、さに16周目にアウディ7号車を抜きトップに立った。そしてレース中盤にはアウディに44秒もの差をつけたが、レース中盤にGTカーを追い抜く時に接触してしまい、大クラッシュしリタイアとなった。

ポルシェ2号車は4番手につけていたが、アウディ8号車が55周目にトラブルが発生し大きく遅れ、アウディ7号車に続く2番手に浮上。その後アウディ8号車の処理のためのフルコース・イエローとなったが、再スタート時に接触事故によりフロントを損傷。その修理や、終盤でのタイヤのパンクにより、アウディ7号車に続く2番手のままゴールを迎えた。

トヨタは、予選での問題点を解決し、アウディ、ポルシェを追い上げる走りを見せ、最速ラップタイムはトップと0.34秒差と、実力のある所を見せ付けた。しかし、アウディ、ポルシェを抜くところまでは迫れず。さらにトヨタ5号車は3番手を走行中にレース中盤に右リヤタイヤがパンクし、ボディやサスペンションを損傷。49分間の修復作業を受け、大きく遅れることになった。

トヨタ6号車は大きなトラブルはなく、アウディ7号車、ポルシェ2号車に続いて3番手でゴールを迎えた。ところがレース後に大波乱が発生する。トップでゴールしたアウディ7号車のフロント底面にあるスキッドブロック(底面保護板)の厚さが規定より薄いとして失格となったのだ。結果的に、ポルシェ、トヨタが1位、2位に繰り上がり、アウディは2台そろってノーポイントとなってしまった。

アウディ・チームの抗議は、FIAに提訴することになり、ポルシェ2号車の1位、トヨタ6号車の2位は暫定結果となった。しかし、4月21日になってアウディは提訴を取り下げると発表した。「我々はモータースポーツの楽しさや発展を重視し、提訴を取り下げることにしました」とアウディ・モータースポーツの責任者のウルフガング・ウルリッヒ氏は語っている。実際には、このスキッドブロックは正規の厚みであったが、レース中の想定以上のバウンシングにより、ブロックが磨耗していたのだ。

「このような事態が発生しないように改良を行ないます。モータースポーツの発展のために決断しましたが、残る8戦のレースも今回と同様にスリリングな展開になることを願って止みません」とウルリッヒ博士からのコメントだ。

トヨタは、3ワークスチームの中で唯一2台が完走したため、マニファクチャラーズ・ポイントではトップに立った。しかしル・マン24時間レースに向けて、新開発の2.4Lターボエンジンと、8メガジュールのハイブリッドシステムの改良・熟成が急務になっている。


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