Aston Martin DBS Vantage / AM Vantage
アストンマーティン DBS ヴァンテージ/AM ヴァンテージ
次世代への筋道を示した2台のヴァンテージ【アストンマーティン ヴァンテージの70年を辿る。DBS & AM ヴァンテージ編】
モダンなスタイリングで「60年代化」を進めたDBS
DB4からDB5、DB6へと繋がれた伝統的グランドツアラーのムードを一新してみせたのが、1967年に登場したDBSだった。1960年代の潮流ともいえるファストバックスタイルやスクエアなフロントグリルを採用し一気にモダン化を果たした。
スタイリングを担当したのは、当時アストンマーティンに若手のインテリアデザイナーとして在籍していたウィリアム・タウンズ。のちにタウンズはフルサイズの4ドアセダン、ラゴンダも手掛けている。
間に合わなかった新設計のV8ユニット
革命的ともいえるエッジーなスタイリングをまとったDBSには、当初は新開発のV8エンジンを搭載する予定だった。しかし完成が間に合わず、定番ユニットとなっていたタデック・マレック製4.0リッター直列6気筒DOHCユニットを採用している。
標準仕様に加えて高性能バージョンとしてヴァンテージを設定していたのもDB6と同様。DBSの車重増に対応するべく、カムシャフトの設計を見直すなどの改良を施すことでヴァンテージの名に相応しいパフォーマンスを生み出した。DBS ヴァンテージはクーペのみが作られ、合計290台が生産されている。
「ヴァンテージ」が独立した記念碑的モデル
1972年4月には、ヘッドライトをそれまでの4灯式から2灯式に改めたAM ヴァンテージが登場。DBS ヴァンテージのスタイリングを部分的に変更したもので、心臓部は同じ4.0リッター直列6気筒DOHCユニットを搭載していた。
1973年までの1年間という短命に終わり生産台数はたった70台だったものの、「ヴァンテージ」の名称が高性能仕様のオプション名としてではなく、完全独立したモデル名となった記念碑的な1台として重要な軌跡を刻んだ。
そして、AM ヴァンテージが切り拓いた筋道は、1977年に登場する新たなアイコン、V8 ヴァンテージへと繋がっていく。
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