爆発的な人気となったトヨタ「ライズ」が、2020年2月にオーダーストップ(新規にメーカーへ生産を発注することができなくなる)というまさかの事態に陥っていたという。
2020年1月の登録車の車名別販売台数で、それまで首位だったトヨタ「カローラ」(8480台)を抜きトップに躍り出たライズ(1万220台)。SUVカテゴリーで好調のトヨタ「RAV4」「C-HR」、ホンダ「ヴェゼル」といったライバルを上回る販売台数を記録し、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
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ライズはなぜここまでの大人気となったのか!? その理由と、かなりのバックオーダーを抱えたことによる納期事情 & 販売現場から得た最新値引き情報を、販売現場に情報網を持つ流通ジャーナリストの遠藤徹氏がお届けする。
文/遠藤徹
写真/編集部、TOYOTA、DAIHATSU
※トヨタライズの(一時的で局所的な)オーダーストップと納期に関して、追加取材し本文に追記しました。ご参照ください(2020.3.5 17:00)
【画像ギャラリー】オーダーストップになるほど人気となっている「ライズ」の内外装をチェック!!
■まさかのオーダーストップ!? フル稼働でも納期は7月以降に
トヨタがダイハツからOEM供給して、2019年11月5日に発売開始した新型コンパクトSUV「ライズ」が絶好調の売れ行きとなっている。2020年1月の販売実績は1万220台を達成、登録車のトップセラーに浮上した。
ボディサイズは全長 3995×全幅1695×全高1620mm。価格はロッキーが170万5000~242万2200円に対して、ライズは167万9000~228万2200円で、ライズのほうが2万6000~14万円安い
ダイハツからのOEM供給車が首位になったのは初めてのことである。当初設定した月販計画は4000台だったが、実際の受注台数は毎月1万台以上で推定受注累計は4万台以上に達している見込み。組み立てているダイハツの滋賀(竜王)工場では残業や休日出勤を続けフル稼働で対応しているが、供給が間に合わない状況にある。
好調な要因は「SUVがブームになり、この分野のマーケットが拡大しているのと、ライズ自体の商品性の高さ、リーズナブルな価格設定、全トヨタ系列店扱いによるセールスパワーの強さなどが上げられる」(首都圏トヨタ系列店営業担当者)とコメントする。
一時はあまりにもオーダーが集中し過ぎて、3月いっぱいはオーダーの受付をストップするとしていたが(※編集部注:ライズに短期間に注文が殺到したため、関東一部地域の独立系販売店で、オーダーを受け付けない(オーダーストップ)という独自対応をしていたようだ。それほど注文が集中したということか。トヨタ自動車によると、これはメーカーとしての対応ではないとのこと。またトヨタモビリティ東京などの首都圏販売網ではライズのオーダーストップは発生していない)、その後早めに再開を発表している。
とはいえ、ほかのモデルのように購入契約後、組み立ての時期と納期を正確に提示できず、「7月中旬以降あたり」といったおおよその時期しか示せない状況が続いている。
■商品力と販売力の両輪がかみ合ったライズの躍進
ユーザー層は20代から50代までの幅広い層で男性、女性両方との引き合いが多い。下取り車はトヨタの「ヴィッツ」「アクア」「パッソ」のコンパクトカーから「カローラ」「プレミオ/アリオン」のミディアム、「クラウン」「カムリ」のラグジュアリークラス、軽自動車各モデルまで多数に及んでいる。
多人数乗りのミニバンだとファミリーの子供が成長し独立すると、中高年の夫婦ふたりだけとなり、経費の少ない小さなクルマに乗り替えるのに都合がよく代替えするケースもある。エンジンは1Lターボだから、1.5L並みのハイパワーで加速性がよく運転しやすいのも高い人気の要因として上げられる。
エンジンは直列3気筒1Lガソリンターボの1択。動力性能は1.5Lエンジン並みとなっている
トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店のトヨタ全系列店で扱い、全国約5000店舗で5万人以上の営業マンが販売しているという販売力の強力さも後押ししている。
トヨタ店、トヨペット店は上級モデルを扱いファミリーでセカンドカー、サードカーで使ったりするので、複数保有が多くなる。カローラ店、ネッツ店はミディアムクラス、コンパクトカーの代替え母体が中心となる。4系列店同士の激しいシェア争いもトータルの販売増に貢献している。
東京地区は従来のメーカー資本店が2019年4月に「トヨタモビリティ東京」に統合されたことで、他店舗との競合ができなくなり、ライズもナビ、ETC付きで10万円程度しか値引きできなくなった。ただ周辺の首都圏やほかの地域は大部分が地場資本店で、4系列店と複数の別資本が激しくシェア争いをしているので、ライズ同士の競合による値引き競争をさせることが可能になっている。
したがって、ライズを大幅値引きで購入したいのであれば4系列店と別資本のネッツ店、合わせて5店舗を回り、競合させればより好条件で購入できることになる。ナビ、ETC付きだとこの3月決算セールであれば、下取り車なしでも15~20万円の値引きは可能性の範囲にあるといえる。
現在の納期は、5カ月以上待ちの7月中旬以降であり、普通に考えれば決算セールは終了しているが、セールの新車販売台数のカウントは受注ベースで考慮している販社もあるので、多くは好条件で購入できる時期にあるといえる。それにライズのような超人気モデルで納期が長いといっても、トヨタ系列店各社にガードを引き締めて強気の商売をするほどの余力はないといった側面もある。
トヨタ「ライズ」のボディカラー。専用色のターコイズブルーマイカメタリックをはじめ、鮮やかなカラーを設定されている
■兄弟車「ロッキー」も好調! 買い方次第でかなりお得に
一方、兄弟車のダイハツブランドである「ロッキー」も好調な販売で、2020年2月下旬現在の納期は3カ月待ちの5月となっている(※編集部注:関東一部地域の複数のダイハツディーラーで、ロッキーの納期は2020年5月との回答があった。ライズとロッキーの納期の違いは、ライズのほうがバックオーダーを多く抱えていることと、注文が殺到したことによるトヨタ系販売店の負担増で届出業務の処理に違いが出ている、という複数要因によって、ライズのほうが納期に時間がかかっている地域があるようだ)。
やはり売れ筋は最上級の2WDの「プレミアム」、または2番目の「G」となっている。
右がトヨタ「ライズ」、左がダイハツ「ロッキー」。バンパーとホイールの意匠が変更されている
ボディカラーはホワイト、シルバー、ブラックに集中しているが、テーマカラーのコンパーノレッドもまずまずの売れ行きとなっている。車両本体の価格帯は170万5000~242万2200円でライズの167万9000~228万2200円より2万6000~14万円高い。
ただ値引き幅は20万円程度で、残価設定クレジットを組むと金利が多少安くなり、点検パック約10万円分がサービスになったりするので、購入の仕方によっては逆にロッキーのほうが買い得になったりする。
ダイハツ ロッキー ボディカラー。ボディカラー「コンパーノレッド」は1963年に登場したダイハツ初の小型車「コンパーノ」に由来する
■販売の現場が語るライズの人気グレードと値引き事情
●証言1:首都圏トヨタ店営業担当者
1週間前までは納期が6月中旬だったが、今現在では7月中旬に延びており引き続き好調な売れ行きを見せている。
下取り車はトヨタのコンパクトカーからミディアムクラスと色々ある。年齢層は20代から50代まで幅広く、男女とも多い。ナビ、ETC付きであれば15万円程度の値引きが可能な状況にある。グレードは最上級の「Z」が一番人気で全体の60%以上に達している。2WDは80%を占める。オーダーストップは一時的で現在は通常通り受注を受け付けている。
●証言2:首都圏トヨペット店
ダイハツからのOEM供給車で、これまで経験したことがないほどの売れ行きだ。SUVがブームになっているのと、運転のしやすさ、ターボによる加速性のよさ、リーズナブルな価格設定によるものだろう。
ほとんどが2WDの最上級グレードの「Z」で占められる。トヨタ系列店同士の販売競争も激しくなっているので条件は次第によくなっている。値引きは車両本体から定価の3%、メーカーオプションも3%、ディーラーオプションは10%を基本にしている。50万円程度のナビ、ETC、ドライブレコーダー、コーティング、フロアマット、サンバイザーなどを装着すると合計20万円以上の値引き額となる。
●証言3:首都圏カローラ店営業担当者
あまり売れすぎて嬉しい悲鳴状態だが、ライズばかりに集中しすぎて、ほかの扱い車が売れなくて困る面もある。値引きは極端に引き締めており、用品から7万円程度で車両本体からゼロを基本にしている。ただし下取り車があればこちらでの調整は別になる。
●証言4:首都圏ネッツ店
最上級グレードの「Z」が売れ筋で、オプション&付属品もナビ付だと50万円程度つけるケースが多いので収益性もよく助かっている。値引きは車両本体、付属品を含めて10万円以内を基本にしている。
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