ASTON MARTIN V8
アストンマーティン V8
映画007『リビング・デイライツ』に登場したアストンマーティン V8の乗り味【ボンドカー特集】
ティモシー・ダルトンが駆ったアストン
私の名はボンド。ジェームズ・ボンド。007は殺しの・・・。
おい、そこ。何を笑ってる! 私の後ろに立つなと言ったはずだ。ん?タイヤの空気圧をチェックするからどいてくれ? ああ、それは失敬、私としたことが・・・。
オ、オホン。続いて乗るのは「アストンマーティン V8」。“B549 WUU”のレジスターナンバーがついたこのクルマは、1987年に公開された『リビング・デイライツ』で乗った1台だ。確かあの映画はティモシー・ダルトンだったな。2作しか007シリーズには出ていないのが残念なくらい、ワイルドで渋みのある良い役者だった。
エンジンは、ローラ T70に搭載されたV8
アストンマーティン V8は、1967年にDB6に代わる新世代のアストンマーティンとしてハロルド・ビーチが設計したシャシーに、ウィリアム・タウンズがデザインしたシャープなボディを載せたアストンマーティン DBSにタデック・マレックが設計した5.3リッターV8 DOHCを載せたものだ。
1970年のデビュー当時にはDBS V8と呼ばれていたが、1972年にデイヴィッド・ブラウンから経営権を譲り受けたカンパニー・デヴェロップメンツの時代になってからは、内容的にほとんど変わることはなかったものの、名称がV8(またはAMV8)に変更されている。
特筆すべきはノーズに積まれたエンジンだ。そのルーツになったのは1967年のル・マンでチーム・サーティースのローラ T70に搭載された5リッターV8。レースでは耐久性に難があり、すぐにリタイアしてしまったが、マレックはブロックを鋳鉄から軽合金に変えるなど全面的に設計変更し、325bhpを絞り出す素晴らしい5.3リッターユニットに仕立て上げたのだ。
試乗したのは熟成されたシリーズ4
ボンドカーに選ばれたのは、4基のツインチョーク ウェーバー キャブレターを装着し、ウッドやレザーをあしらったインテリアをもつ“オスカー インディア”と呼ばれたシリーズ4。生産台数は468台ほどだが、歴代V8の中でも最も脂の乗ったモデルともいえる。
アストンマーティン“冬の時代”の作品と言われていただけに、コンディションやクオリティにあまり良い印象をもっていない諸兄がおられるかもしれない。かくいう私も今回の試乗車の中で一番心配だったのは、このV8だった。
まずギョッとするのがドライビングポジションだ。柔らかくもっちりした感触のシート高が高いのになぜかステアリング位置が低く、どう身体を捻っても最適なポジションを取りづらい。ダルトンに比べて座高が高すぎるのかなどと悩んでいても始まらない、クルマに自分を合わせるだけだ。
永遠に加速し続けそうなフィーリング
でも走り出した瞬間から私はこのクルマの虜になってしまった。
どうだ、大排気量V8とは思えないほど軽くシュンシュンと回るエンジンの出来栄えは! まったく気難しさを感じさせないうえに、低回転からもトルクがあって扱いやすく永遠に加速し続けるのでは?と思うほど豊かなパワーを発揮するではないか!
しかもロールを許しながらも“じわっ”と粘り続けるフロントのダブルウィッシュボーン、トレーリングリンクとラジアス・ロッドで位置決めしたリヤのドディオン・アクスルのサスペンションがまた素晴らしい。パワーステアリング付きのラック&ピニオン式のレスポンスは決してクイックではないが正確で、DB5から乗り換えると確実にシャシーの進歩を感じることができる。
真のグランドツアラーとして最高!
そういえば最近、アストンマーティンから7速MTを搭載したヴァンテージ AMRが発売されたが、1速が手前のドッグレッグ・ギヤボックスの元ネタになったのはこのV8(こちらは5速だが)かもしれない。剛性も高くしっかりとしたタッチが好ましいが、一方でストゥ・サーキットなら3速にホールドしたままで走りきれてしまうフレキシブルさを持ち合わせているのも魅力だ。
残念ながらパトカーを切断したレーザーカッターも、国境警備隊を吹き飛ばしたミサイルも、氷上で大立ち回りを演じた時に使った内蔵スキーも付いていないが、真のグランドツアラーとして、このクルマは最高だ!
ああ、もっと大事に使って自爆装置なんか押さずに取っておけばよかった。
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