昭和は遠くなりにけり・・・か。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「トヨタ マークII(6代目)」だ。
トヨタ マークII(6代目/GX81型):昭和63年(1988年)8月発売
ホリデーオート誌が名づけた「ハイソカー」ブームの中心的存在となったのが、GX71系の5代目マークII HTだった。その勢いを駆って1988年(昭和63年)にGX81系の6代目マークII HTが登場する。開発後期がバブル景気と重なったこともあり、ドアショルダー部やインパネ下部までファブリックで覆った高品位キャビンに、エレクトロニックディスプレイメーター、チルト&テレスコピックステアリング、アームレスト付きマルチアジャスタブルパワーシート、オートエアコン、6スピーカーオーディオシステムなど、豪華な装備で注目された。
【くるま問答】アイドリングストップ機能はよいことばかりではない。OFFスイッチはいつ使う?
GX81系はハイメカツインカムの投入でエンジンは1G-Eから1G-FE、1Sから1S-Fiとなり、全ガソリンエンジンのDOHC化を完了した。ハイメカツインカムはタイミングベルトで吸気カムシャフトを駆動し、排気カムシャフトは吸排気両カムシャフトに設けたシザーズギアで駆動し、「コンパクトな機構構成、最適燃焼室形状、高圧縮比、4バルブ化等により高性能を発揮するとともに、バルブタイミングの最適化により十分な低速トルクを確保した」と説明されている。4気筒での採用例はあったが、6気筒では1G-FE型が初採用だった。
もうひとつの注目エンジンが、最上級グレードのグランデG用に新開発された1G-GZE型だ。これは国内6気筒DOHCでは初のスーパーチャージャー仕様となる。機構は1G-GE型にクランクシャフトからベルト駆動されるルーツポンプ式スーパーチャージャーをドッキングしたもの。ポンプの駆動にエンジン出力が食われるため高回転ではターボの効率にかなわないが、低回転からエンジン回転数に応じた過給効果が得られ、ターボラグも発生しないので、上質な走りを実現するシリーズ最高級エンジンにふさわしい特性となっていた。
そして、シリーズ最強エンジンがツインターボで知られる1G-GTE型だ。基本的に先代のキャリーオーバーだが、GX81型はインタークーラーを水冷から空冷に替え、プレミアムガソリン仕様として、パワースペックを従来型の185ps/24.0kgmから210ps/28.0kgmに引き上げている。
シャシの近代化が進んだのもGX81系の特徴のひとつだ。プラットフォームは先代の改良型だが、リアに高剛性の大型サブフレームを新採用し、ここに新開発のダブルウイッシュボーン式サスペンションを取り付けた。ダブルウイッシュボーン自体も、後退角を付けた短いアッパーAアームと、長いパラレルロアアーム+テンションロッドとすることで、トーイン変化の最小化やキャンバー/トレッド変化の最適化を実現。フロントのストラット式サスペンションは、取り付け部の剛性アップに加えアクスル中心をキングピン軸の前に配置したフォアラウフのアライメント採用で直進性・旋回性の向上を両立させるなど、ハンドリング全体の底上げが図られていた。
このほか、ATにスーパーフロートルクコンバータを採用し、さらに1G-GZE/1G-GTE/1G-GE搭載車用ECT-Sには新開発のトランスミッション-エンジン総合制御システムを採用して、高級車にふさわしい滑らかな変速フィールを実現。ステアリングも操舵角に応じて操舵トルクを大きくする新PPS(プログレッシブパワーステアリング)を採用。4輪ベンチレーテッドディスクブレーキには大型ブースターを採用するとともに、グランデGに4輪ESCを標準装備してアンチロック性能を向上させるなど、快適性・安全性に細かな配慮が行き届いていた。
GX81系は、バブル経済の追い風を受け、1990年の年間販売台数でカローラを抜き、歴代初めて首位に立った。7代目にバトンタッチするまで、国産2Lアッパーミドルクラスの頂点を維持し続けることになる。
トヨタ マークII HT 2000GTツインターボ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1695×1375mm
●ホイールベース:2680mm
●重量:1420kg
●エンジン型式・種類:1G-GTE型・直6 DOHCツインターボ
●排気量:1988cc
●最高出力:210ps/6200rpm
●最大トルク:28.0kgm/3800rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤサイズ:205/60R15 89H
●価格:306万5000円
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引くぐらい燃費が悪くてみるみる燃料ゲージが少なくなっていったの思い出しましたわ。