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日本触媒:新しい亜鉛蓄電池「カーボン-亜鉛ハイブリッド畜電池」を開発

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日本触媒:新しい亜鉛蓄電池「カーボン-亜鉛ハイブリッド畜電池」を開発

日本触媒は、自社独自技術により開発した「亜鉛電池用セパレータ」と「亜鉛負極」に活性炭を組み合わせることにより、新しい亜鉛蓄電池「カーボン-亜鉛ハイブリッド畜電池」を開発した。

 この新しい亜鉛蓄電池は、主な構成要素が水・炭・亜鉛と資源的に豊富でかつ毒性のない材料で作れることが特徴であり、水系電池であるために燃える心配がなく、かつ出力性能・低温性能に優れる。また、亜鉛蓄電池で課題とされてきた寿命については、日本触媒が開発したセパレータと亜鉛負極技術により10000サイクル以上の長寿命性能を実現した。

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 亜鉛蓄電池とは、負極に亜鉛を用いた充放電可能な装置であり、ボルタやエジソンも研究した非常に古いもの。最近市場の拡大が著しいリチウムイオン電池が小型・軽量を重視しているのに対し、亜鉛蓄電池は、安心・安全を重視しているところに特徴がある。具体的には、有機溶媒を使わない高い安全性、鉛等の有毒材料を使わない高い環境調和性、そしてレアメタル等を用いない元素戦略的利点も有しており、次世代蓄電池の一翼を担うことが期待されている。

 しかしながら、亜鉛蓄電池の最大の弱点はその「寿命」とされ、「亜鉛は乾電池には使えても、蓄電池としては使えない」ことがこれまでの常識とされてきた。これは、亜鉛蓄電池の充放電を繰り返すと、亜鉛電極からデンドライトと呼ばれる亜鉛の針状の結晶が対極へ向かって成長することにより、正極と負極が短絡しやすいことが大きな原因だった。そこで、日本触媒は従来の樹脂製セパレータとは異なる、鉱物粉末をシート化した独自構造のセパレータ(図1)を開発し、このデンドライトによる短絡を抑制、さらに充放電サイクル劣化を抑える独自の亜鉛負極材料の開発にも成功した。これら要素技術を組み合わせてカーボン‐亜鉛ハイブリッド蓄電池を開発した。

 この電池は、正極に活性炭を用い、物理容量である電気二重層容量を利用する。一方負極は、亜鉛の電気化学反応を行うため、物理容量と化学容量のハイブリッド電池となっている(図3)。そのため、電気二重層キャパシタ(EDLC)の長所である高出力特性・長寿命特性を持ちながら、弱点である容量性能を、電池材料を用いることで克服している。EDLCでは負極に正極と同じ活性炭を用いるが、ハイブリッド電池では負極を亜鉛にすることで、理論的に静電容量が2倍になると共に、カーボン‐亜鉛間に起電力を持てるため高容量化する。さらに、エネルギー密度が高い亜鉛負極側を薄く設計できるので、同体積のパッケージでは正極活性炭をより多く搭載でき、EDLCの5倍~10倍の容量になることにより、鉛蓄電池同等の容量性能を得られる。

 このハイブリッド亜鉛蓄電池は、物理容量を利用するキャパシタの高出力をそのままに、マイナス20℃以下の低温でも充放電駆動が可能。化学反応を用いる多くの電池では、反応速度が温度と密接に関わっているため、特に低温での充電が困難だった。しかし亜鉛は、電気化学反応が非常に高速で行える物質であるため、キャパシタの高速応答に追従できると共に、低温~高温まで動作可能で、あらゆる温度環境に適合する。さらに物理容量を用いるキャパシタはサイクル劣化が非常に小さいため、寿命性能は亜鉛側に依存する。日本触媒で開発したセパレータ/亜鉛電極を用いることで、すでに10000サイクル以上の寿命性能を観測しており、数百サイクル程度で交換寿命がくる鉛蓄電池と比較すると100倍以上と言える。それゆえ、従来の鉛蓄電池が使用されている車載バッテリーなどへの展開の他に、活発化する自然エネルギーの電力貯蔵などの新しい用途展開が期待されている。

 今回のハイブリッド亜鉛蓄電池並びに、亜鉛電池用セパレータは、2月26日(水)~28日(金)に東京ビッグサイト(青海展示棟)で開催される第11回国際二次電池展の日本触媒ブースにて展示される。

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