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高嶺の花から人気車へ トヨタ「プリウス」登場から23年の変化とは

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高嶺の花から人気車へ トヨタ「プリウス」登場から23年の変化とは

■早すぎた初代から人気確率の2代目、3代目

 2019年の年間登録車販売台数でトップになったトヨタ「プリウス」ですが、ハイブリッド車の先駆けとして登場した当初は「馴染みがない」として、人々の生活からは遠い存在でした。初代登場から23年、プリウスはどんな変化経て人気車種に上り詰めたのでしょうか。

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 初代プリウスは1997年に「21世紀に間に合いました。」というキャッチコピーとともに、世界初の量産ハイブリッド車として登場します。

 現在のハイブリッドシステムの元祖ともいわれる「THS(Toyota Hybrid System)」を搭載し、燃費は10・15モードで28km/Lを達成し、それまでのガソリン車よりも約2倍近い燃費性能を誇りました。

 テレビCMには故手塚治虫氏が手掛けたキャラクターたちに囲まれたポートレートで登場。「手塚治虫様、あなたが空想したクルマです」というナレーションのもと、それまでクルマとは対局にあった「環境」に配慮した、未来的なイメージの強いクルマです。

 しかし、ハイブリッドという世界でも類を見ない先進性ゆえだったのか、ユーザーの反応は今ひとつでだったこともあり、年間の販売台数は平均で約2万台、当時の人気車種「カローラ」が年間20万台以上であったため、トップには到底手の届かない車種でした。

 当時のプリウスについて、中古車販売店スタッフは以下のように話します。

「当時はカローラのハイグレードでも200万円以下でしたから、標準で200万超えのプリウスは高いイメージでした。高嶺の花、といわれればそうかもしれません。低燃費も今ほど重要視されていなかった時代ですから、物好きな人が乗るクルマという印象もありました」

※ ※ ※

 2代目プリウスは、2003年9月に5ドアハッチバックへと生まれ変わり、「トライアングルシルエット」と呼ばれるおむすび形のボディスタイリングで登場します。

 これは、2003年度にグッドデザイン賞を受賞し、後の3代目、4代目プリウスや「プリウスα」、「アクア」にも引き継がれるデザインとなりました。

 トヨタのハイブリッドカーブランド「HYBRID SYNERGY DRIVE」の初代車種となり、車名とは別にエンブレムが装着されています。

 THSを発展させた「THS-II(Toyota Hybrid System II)」を搭載し、定評のあった燃費性能を10・15モードで35.5km/Lを実現したほか、「クラウン」や「ハリアー」などのハイブリッドシステムの基礎にもなりました。

 また、ユーザーの反応も上々で、2代目プリウスの合計販売台数は約119万台となり、プリウスの名を一気に広めます。

 2代目プリウスについて、前述の中古車販売店スタッフは以下のように話します。

「ハリウッドスターがアカデミー賞の場で乗っていたこともあり、認知度が一気に高まったのを覚えています。先代はまったく知らないけど買う、といった人は非常に増え、中古車市場でも注目度が一気に上がった世代です」

 物好きが乗るクルマから大衆車となり、2代目プリウスは文句なしのヒット車種へと上り詰めまたのです。

 2代目で高まったプリウスの人気は、衰えるどころかさらに爆発します。2009年に登場した3代目プリウスは、同年4月に施行された「エコカー減税政策」の追い風もあり、発売開始から約1か月で目標の18倍にあたる約18万台を受注、絶好のスタートダッシュを切ります。

 9割以上を新たに開発したハイブリッドシステム「リダクション機構付THS-II」を搭載し、持ち味の燃費性能は10・15モードでは最高38.0km/Lを記録。また、リチウムイオン電池と組み合わせたプラグインハイブリッド仕様もラインナップし、世界でもトップレベルの環境性能を誇りました。

 スタートダッシュ後もプリウスブームは止まらず、2010年と2012年には年間の販売台数30万台以上を記録。販売終了までには合計約227台を販売し、かつてのカローラを彷彿とさせる「王者」の地位を確立しました。

 チーフエンジニアの大塚明彦氏は「3代目プリウスに課せられた大きな使命は、ハイブリッド車が次々と登場するなか、『ハイブリッド=トヨタ』という評価と実績をさらに確固たるものにすることです」と述べています。まさに「ハイブリッドといえばプリウス」という評価を獲得した1台になりました。

 3代目プリウスについて、トヨタの販売店スタッフは以下のように話します。

「ちょうど入社してすぐ、先代のプリウスが発売されました。当時の先輩が『売っても売っても売れるクルマ』といっていたのを覚えています。

 まだピカピカなのに、マイナーチェンジされたからといって、プリウスからプリウスへ乗り換えるお客さまもいらっしゃいました。今では考えられないほどの売れ行きでした」

 プリウスの大ヒット要因のひとつとして、2代目以降で固定ファンをしっかり獲得したことはよく挙げられています。3代目は、そんなファン達のハートを射止めきった1台でした。

■「歌舞伎顔」で一転、プリウス人気低迷へ

 3代目プリウスのスマッシュヒットを経て、現行の4代目プリウスは2015年に登場します。従来の「トライアングルシルエット」は継承しながらもデザインを一新、守りに入らない攻めのモデルチェンジが話題となりました。

 また、人気アーティスト「水曜日のカンパネラ」とコラボするなど、若い世代へのプロモーションにも注力しました。

 トヨタの新プラットフォーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を搭載、JC08モード燃費では、40.8km/Lを記録。プリウス最大の武器である燃費性能がついに40km/Lを超えたのです。

 しかし、「歌舞伎顔」と呼ばれるフロントマスクデザインは、一部ユーザーから不評となり、2016年では年間24万8258台を販売しスタートダッシュこそ好調でしたが、2018年は11万5462台、ランキングは3位まで落ち込んでしまいます。

 その後、2018年12月のマイナーチェンジでフロントマスクを刷新、人気が回復します。登場から月間トップを連発し、2019年は12万5587台を販売、ランキングも1位に返り咲きました。

 4代目プリウスについて、前述とは別のトヨタの販売店スタッフは以下のように話します。

「マイナーチェンジ後は、過去にプリウスに乗っていたお客さまからの問い合わせが増えました。歌舞伎顔がイマイチで悩んでいたけど、新しいのは気に入ったから買い換える、というお客さまが多かったのを覚えています。トヨタによる修正の速さと的確さは、我々販売店の間でもさすがだと評判でした」

※ ※ ※

 なお、プリウスはラテン語で「~に先駆けて」という意味を持ちます。その名の通り、世界的な自動車メーカーであるトヨタが、21世紀に先駆けて登場させ、高嶺の花から誰もが知る人気車種となったのです。

 しかし、2020年1月の販売台数では6659台、ランキングは7位に急落しています。その理由を前出のトヨタ販売店のスタッフは「人気すぎる新車が出すぎている」といいます。

 実際に、同月ランキング1位となったトヨタのコンパクトSUV「ライズ」は、走行性能・デザイン性・使い勝手など総合的に優れた車種です。また、2位のカローラは幅広いグレード展開からさまざまなユーザーから人気を集めています。

 さらに、同年2月10日に発売となったトヨタ「ヤリス」などは、WLTCモード燃費で36.0km/hを誇り、プリウスが長年武器としてきた燃費性能に並ぶ程の性能を誇ります。

 強すぎるライバルたちが続々と登場するなか、かつての絶対王者プリウスは、今後どのような進化を遂げるのでしょうか。

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