清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number102(SEASON.12):価値観の異なる日独プレミアムクーペが真のダイナミクス性能で真っ向勝負!
BMW 850i xDriveクーペ vs レクサス LC500h Lパッケージ、価値観の異なる日独クーペが真っ向勝負!【清水和夫のDST】#102-1/4
BMW 850i xDriveクーペ vs レクサス LC500h Lパッケージ/Test01:加減速テスト
テストの「方法」と「狙い」
●加速テスト:静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト:100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G?1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。
【DST】BMW M850i xDrive クーペ vs レクサスLC500h Lパッケージ(加速編)【DST♯128-01】
【DST】BMW M850i xDrive クーペ vs レクサスLC500h Lパッケージ(減速編)【DST♯128-02】
M850iの瞬発力、ストッピングパワーはかなり優秀だったが、LC500hも大善戦
LEXUS LC500h L PACKAGE
加速:0.52G(★★★★☆)減速:1.03G(★★★★☆)
絶対的なトルクではM850iに敵わないが、V6エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムはオンリーワンのパワートレインだ。M850iが肉食系とすれば、LC5000hは草食系と表現できるが、V8自然吸気のLC500よりも加速は速い。ギアボックスは電気的な10速CVT(マルチステージトランスミッション)で、走り出しからスムーズ。60km/hを超えるとM850iのV8ターボに軍配は上がるものの、静粛性や高級感では互角以上だ。課題は多くのライバルがAWD化しているので、モーター4駆がつくれるかどうか。ブレーキはABS作動時のペダル振動はなく、不満は感じなかった。100→0km/hの制動距離は36.51m(2回平均)を記録。
BMW 850i xDrive COUPE
加速:0.61G(★★★★☆)減速:1.02G(★★★★☆)
4.4LのV8はVバンク内にターボを搭載する画期的なエンジンだが、その機構にも増して8速ATとのマッチングがよく、加速は驚くほどしなやかで力強い。過去にLC500とテストしたM6グランクーペよりも速く、4輪駆動なので750Nmのトルクを与えてもタイヤは悲鳴を上げず、0.61Gはポルシェに匹敵する数値だ。スポーツ+モードにセットすると、エンジン音が野獣の遠吠えのように聞こえるからドライバーを大いに刺激し、ブレーキも秀逸。2トン近いボディをしっかりと止める。踏力感は頼もしく、ドライバーの操作にリニアに反応する。ABSも緻密で信頼がおけるものだった。100→0km/hの停止距離は36.65m(2回平均)。
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