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【メーカーとユーザーが乖離】凋落のトリガーを引いた国産名車5選

掲載 更新 14
【メーカーとユーザーが乖離】凋落のトリガーを引いた国産名車5選

 日本車が元気で、好調に売れ続けたのは、昭和の時代から平成の時代にかけてだ。全盛期は、西暦で1980年代から1990年代の半ばまでになる。

 バブルが弾けた後は、名車といわれたクルマのいくつかは販売が低迷し、不人気車のレッテルを貼られた。そして栄光の座から滑り落ちたのである。

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 その理由はいくつか考えられるが、自動車メーカーとユーザーの思惑が大きくかけ離れ、凋落のトリガーを引いてしまったクルマも少なくない。ボタンの掛け違いなどでファンが離れてしまった5台の国産車について語っていこう。

文:片岡英明/写真:NISSAN、HONDA、SUBARU、MITSUBISHI、TOYOTA

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日産スカイライン(11代目)

販売期間:2001~2006年(セダン)、2003~2007年(クーペ)

インフィニティG35として北米で人気モデルとなったが、日本市場では、「これはスカイラインではない」、とファンがおおいに反発

 日本を代表するスポーツセダンがスカイラインだ。その主役となっているのは2代目の時に登場した「GT」シリーズだ。ちょっと頑張れば手が届く、上質なスポーツモデルがスカイラインのGTだった。

 が、日産の経営が悪化し、あのカルロス・ゴーン氏率いるルノーに助けを請うたことによりスカイラインの行く末は翻弄され、不名誉な神話を加えることになる。その引き金を引いたのが2001年に登場した11代目のV35型スカイラインだ。

 キャッチフレーズは「スカイライン・リボーン」で、パッケージからメカニズムまで、すべてを刷新して登場した。パワーユニットは伝統の直列6気筒ではなく、VQ系のV型6気筒DOHCを積み、2Lエンジンもターボも設定されていない。

セダンから2年遅れで日本デビューしたクーペは、セダンでは無視されたスカイラインのアイデンティティである丸テールを埋め込みタイプで実現

 また、デザインもスカイラインらしさが希薄で、あの鉄仮面や丸型テールランプなど、スカイラインのアイコンは継承されなかったのである。価格もメチャ高くなっている。当然、ファンから反感を買い、乗り換える人が激減した。

 このV35型、正式発表の直前まで、スカイラインとして売り出されるクルマではなかったのだ。が、スカイラインの名で販売すれば日本では売れるだろう、と日産の首脳陣はのん気に構え、売り出したのである。

 当然、熱狂的なスカイラインファンは怒って買わなかった。ファンを甘く見たことに加え、モータースポーツに挑む気概も実力もなかったので、神話は崩壊。凋落の一途をたどったのである。

現行スカイラインは2019年のマイチェンで魅力アップして販売も上向いている。それだけにデビュー時に「日本はついでに売ります」感が出てたのが悔やまれる

ホンダアコード(5代目)

販売期間:1993~1997年

北米マーケットを意識して大型化した5代目アコード。今と違い1990年代は全幅1700mmを超えることはある意味事件だった

 ホンダを世界が認める自動車メーカーに育てたのはシビックとアコードである。

 アコードはプレミアム感覚のミッドサイズカーだった。が、北米での販売比率が高まるにつれ、車格をアッパーミドル寄りとしている。

 4代目の時に主役だった3ドアハッチバックを整理し、1993年に登場した5代目では小型車枠からの脱皮を図り、全車3ナンバー車とした。全幅を1760mmまで広げ、エンジンもリーダーはVTEC(可変バルブタイミング&リフト機構)を採用した2.2Lとしている。

 この5代目は走りの実力は高かったし、北米を主要市場としているから安全性能もクラストップレベルにあった。

 が、当時は、このサイズだと6気筒が主流だし、FR方式にこだわる人も少なくない。それでもワゴンが人気の時代だからそれなりの販売実績を残すなど、健闘していた。

6代目アコードは5代目の痛い経験から5ナンバーサイズで、しかもスポーツセダン色を強めて登場したが、残念ながら時すでに遅しだったのは否めない

 だが、弟分のアスコット/ラファーガが不振だったこともあり、次の6代目では宗旨替えしてダウンサイジングした。

 首脳陣の迷いがユーザーに伝わったのだろう。これ以降、アコードの販売はジリ貧に陥っている。北米では売れに売れたが、セダンブームが去った日本では一気に販売が落ち込んだ。その引き金を引いたのが5代目のアコードである。

スバルレガシィ(5代目)

販売期間:2009~2014年

2009年デビューの5代目は、レガシィシリーズがすべて大型化されて既存のユーザーをがっかりさせた。これも北米重視の弊害だ

 第5世代のレガシィは2009年にベールを脱いだ。セダンのB4、ツーリングワゴンとアウトバックともに北米を意識して全長を4700mmより長くし、全幅も1800mmに迫る広さとしている。

 また、パワーユニットも4代目まで主役を務めた2LのEJ20型水平対向4気筒を廃したのだ。代わって主役の座に就いたのは2.5LのEJ25型である。トランスミッションも新開発の無段変速機(CVT)リニアトロニックとなった。

 が、一番衝撃を与えたのはスタイリングと質感だ。エクステリアは大味なデザインで、日本のスバリストが好むデザインじゃない。

 また、インテリアもコストダウンが目立ち、安っぽかった。ソフトパッドは樹脂の打ちっ放しになり、トリムも4代目と比べるカネがかかっていないことがはっきりわかるものだった。

4代目レガシィシリーズは歴代で初の3ナンバーボディとなったが、大きなネガにはならなかったどころか、走行性能、快適性のアップにより大人気となった

 先代のBL/BP型がカッコよく、質感が高いとわかっているから多くの人は乗り換えなかった。また、ファンが多かった2Lエンジンが整理されたことに不満をあらわにする人も多かったのである。

 走りの実力も「BMW」を相手にしていた4代目までと違い、足の動きが重い。当然、実用性能を重んじる北米ではヒットしたが、日本ではケチョンケチョンにけなされ、販売は低迷している。

 この5代目の失敗によってレガシィの神話は崩れ、今では街で見かけることも少なくなった。いい客層の人たちに愛されていた名門ブランドだけに悔しいとしか言いようがない。

三菱パジェロ(3代目)

販売期間:1999~2006年

空前の大ヒットモデルとなった2代目の後を受け、3代目はユーザーを満足させるために豪華かつ大型化した結果、大きく販売を落とし存在感も薄れた

 三菱ジープで培った高い技術力とタフさを武器に誕生したのがパジェロである。洗練されたスタイリングからもわかるように新世代のクロスカントリー4WDだった。

 パリ・ダカールラリーでも大活躍したから、日本だけでなく海外でも大ヒットしている。

 初代モデルは62万台を超える生産を記録し、1991年に2代目にバトンを託した。キープコンセプトだったが、4WDシステムを進化させたことに加え、快適性を大幅に高めたから、こちらもファン層を広げることに成功している。

初代でクロカン4WDとして認知されたパジェロ。1991年に投入した2代目がクロカンブームの火付け役となり、飛ぶように売れたという表現がピッタリだった

 パジェロの3代目は1999年に登場した。

 ボディ骨格をビルトインモノコック構造とし、リアにはマルチリンク式の独立懸架を採用。快適性をさらにアップしている。

 パワーユニットもGDIと呼ぶV型6気筒の直噴ガソリンエンジンと直噴ディーゼルターボを搭載した。

 メカニズムは素晴らしかったが、それをぶち壊しにしたのがデザインだ。流行を追い過ぎたグラマラスなボディはケバケバしいデザインで、2代目までの清楚なルックスとは程遠い。

 当然、ファンは敬遠し、パジェロを真似たランドクルーザープラドにSUVの代名詞の称号を奪われている。これ以降は凋落の一途をたどり、2018年に日本での販売を打ち切った。本当にもったいない話だ。

2019年をもって日本での37年の歴史に終止符を打つことになったパジェロ。ファイナルエディションは700台の限定で販売された

トヨタカリーナ(6代目)

販売期間:1992~1996年

3代目で統合されて以来、若者向けがカリーナ、年配向けがコロナという形で差別化されていたが、カリーナもタダのオヤジセダンになってしまった

 スポーティな味わいのセダンとして人気の高かったカリーナだが、カリーナEDの誕生以降は脇役に回った。

 が、1988年に登場した5代目カリーナまでは実用性の高いワゴンのカリーナサーフを設定し、アウトドアレジャーを楽しむファミリーも魅了している。

 兄弟車のコロナほどフォーマルに振る必要がないから、スポーティ感覚を前面に押し出した。これもカリーナを愛するファンを生んでいる。

 が、1992年に発売された6代目あたりから影の薄い存在となってしまった。この6代目は環境対策にいち早く取り組んだファミリーカーとして注目を浴びている。

1996年にデビューした7代目は2001年まで販売されたが、アリオンに引き継がれたため、カリーナの車名は31年で消滅

 しかし、歴代のカリーナの中で唯一、スポーツツインカムを積むGTシリーズを設定しなかった。デザインもスポーティさとかけ離れていたし、マイロードなどの特別仕様車を連発したことによりコロナの廉価版というイメージが定着したのである。

 これがファミリー派のセダン離れを引き起こした。

 1996年に登場した7代目は原点回帰を狙い、ストレート基調の歯切れのいいデザインを採用した。また、スポーツツインカムを積むGTを復活させ、若者の取り込みを狙った。 

 が、時すでに遅しで、販売台数は伸びなかったのである。

 トヨタはカリーナの継続は難しいと考え、コロナとともに名門ブランドの開発打ち切りを発表した。その後継としてアリオンが企画されたが、カリーナほどの輝きは見せていない。もう少し、時代を見る目があれば、21世紀までカリーナは生き残れたはずだ。

カリーナの後継モデルとして登場したアリオンは現行モデルが2代目となる。2月中旬の段階で受注生産となっているので、2020年中の消滅の可能性もある

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みんなのコメント

14件
  • 凋落のトリガーを引いたのはV35ではなく、買いもしないスカイラインファンの声をふんだんに取り込んだR34だろ
  • スカイラインクーペは、2.5Lがあれば販売台数が多少ましだったと思うがねえ・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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