フォルクスワーゲンのスポーツパフォーマンスを代表する称号の「GTI」。ゴルフとポロでの認知度は高いが、忘れてならないのがアップ!の存在だ。東京から岐阜まで走らせてみた。(Motor Magazine 2020年3月号より)
フォルクスワーゲン日本仕様で唯一のMT車
いま、フォルクスワーゲンの日本仕様モデルで唯一の存在となったマニュアルトランスミッション装備車、それがアップ!GTIだ。アップ!GTIは、日本では2018年6月に「ホットハッチGTIシリーズ3モデル登場」として新型ポロGTI/特別仕様車ゴルフGTIダイナミック/限定車アップ!GTIとして発表された。この時は600台の限定車として導入、219万9000円という価格で瞬く間に完売となった。
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その評判の高さを受け、2019年2月からは特別仕様車としてアップ!GTIがカタログモデルとして日本に導入されている。最初の限定車と現行の特別仕様車は85kW(116ps)仕様のDKR型1L直3ターボエンジンと6速MTというパワートレーン、足まわりの設定ともに変更はなく、特別仕様としてリアビューカメラとbeatsサウンドシステムが装備された。
ボディカラーはタングステンシルバーメタリック/ピュアホワイトの2色で(限定車はピュアホワイト/ディープブラックパールエフェクト/トルネードレッド)、導入時の価格は229万9000円だが現在は234万2000円である。
操作感は軽いが信頼性に富む本質的な価値感で楽しめる
東京から岐阜まで、高速道路主体で片道およそ400km。限定車導入時にアップ!GTIのハンドルは握っていたので、その好ましさはすでに実感していたが、今回の長距離ドライブでは、改めてそのポテンシャルの高さと楽しさに感銘を受けることとなった。
全長3610mm(GTIのみ3625mm)、全幅1650mm、最小回転半径4.6mのアップ!は、いわゆるAセグメントに属するコンパクトで扱いやすい存在だ。それでいながら車内空間も、数字から思う以上に確保されている。後席はやや窮屈だが、今回は2名乗車だったので機材や荷物もすんなりと後部に収めることができた。
長期テスト車として4ドアのハイアップ!を2年あまり担当した経験から、しっかりと頼もしいフットワークには大きな信頼を寄せている。日常的な使い勝手だけでなく、ノンターボの1L直3エンジンを存分に回して走らせる面白さは、他車ではなかなか味わえないものだということもよく知っていた。
ただ、シングルクラッチ式5速AMTの変速タイミングを理解した上でのアクセルペダル操作が大前提となる。だから「他はすべてこのままで、マニュアルトランスミッション仕様があればいいのに……」と思っていた。アップ!GTIは6速MT仕様で、さらにエンジンはターボ付き1L直3。これなら、文句はない。
左足を踏み込むと、クラッチペダルの操作力は軽い。エンジンを始動させ、静かだが太めのサウンドを聞きながらシフトレバーを左上位置にある1速へ入れる。シフトストロークは大きめだが、操作感は軽くて確実。走り出すと、思わず笑みがこぼれた。「そうそう、クルマを走らせる楽しさって、こういう感じだったよな」、と。
エンジンは力強く車重1000kgのボディの車速を引き上げていく。絶対的なスピードや加速力がもっと凄いクルマはいくらでも存在する。だがアップ!GTIのように、速度との一体感が心地よいクルマに巡り会うことは少ない。その意味では、運転することの楽しさではゴルフGTIやポロGTIを上回るのでは?と思えた。
今回は一般道と高速道路、さらにワインディングロードと、トータルでおよそ1000kmほど走行したが、フロントシートの着座感にも満足できたし、乗り心地の点でも十分な快適性を備えていることが理解できた。自分のクルマとして乗るなら、17インチ仕様のタイヤ&ホイールを、16インチあるいは15インチ仕様にしてもう少し軽快さを強調してみたいと思う。
最新モデルと比べれば、ADAS系やインフォテインメント系の装備は弱い。それを承知の上で、アップ!GTIにはスポーツモデルとして大きな魅力があり、その価値観を理解できる人にはぜひ試してみることをお薦めしたい。(文:香高和仁)
■フォルクスワーゲン アップ! GTI 主要諸元
●全長×全幅×全高=3625×1650×1485mm
●ホイールベース=2420mm
●車両重量=1000kg
●エンジン= 直3DOHCターボ
●排気量=999cc
●最高出力=116ps/5000-5500rpm
●最大トルク=200Nm/2000-3500rpm
●駆動方式=FF
●トランスミッション=6速AT
●車両価格(税込)=234万2000円
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みんなのコメント
この記事に限らず、carviewに載る記事ってこういうの多すぎるんですけど。
情報を伝えるのが仕事なのに、正しく伝えられないって致命的すぎる。ちゃんと仕事して。