今、これまでファミリーカーと呼ばれてきたカテゴリーの進化が加速している。『Bクラス』と『カローラ』、ドイツと日本を代表する2台の実力を徹底検証した。
その昔、メルセデス・ベンツが小排気量の『Aクラス』や『Bクラス』を日本市場に投入した時は『Sクラス』など既存ユーザーのセカンドカー的な位置づけで販売していた。しかし新たな顧客層を拡大するにあたり、積極的に郊外のショッピングセンターなどで展示イベントを展開した。小さな子供のいるファミリー層やシニア層にもターゲットを広げたのだ。
コンパクトか?オフロードか?実用性とデザインを両立したSUV人気はどこまで続く?
最新の『Bクラス』も若い世代やその親に対して、クルマの安全性能やステータスを訴求して購入に結びつけようとしている。ファミリーカーでも上級クラスの安全運転支援システムを搭載——この言葉を殺し文句に販売に力を入れているのだ。息子や娘というより孫たちを安全なクルマに乗せてやりたい、そんなシニア世代の思いもくすぐっている。
7年ぶりにフルモデルチェンジし、2019年7月から本格的にデリバリーが始まった『Bクラス』は優れた安全性能だけでなく、対話型のインフォテインメントシステム「MBUX」も搭載。人工知能による学習機能はユーザーにパーソナライズする能力を備えており、音声で室温の調整やナビゲーションの操作もできる。さらにはユーザーの好みを認識し、ラジオ番組の選択や電話番号表示も行なう。若年層にとっては価格も若干高めだが、親世代が購入を決定させる一因となっているクルマだ。
一方、トヨタの『カローラ ツーリング』は『カローラ』のステーションワゴンから発展して生まれたモデル。デビューしてからしばらくはワゴンというよりバンのような位置づけだった。ユーザーも独身世代のレジャーユースが多く、運転性能を楽しむクルマというより、荷物を積んで仲間と出かけるための道具的な役割を担っていた。
しかし、2019年9月にセダンと同時に登場した最新モデルは全く別のクルマへと進化を遂げた。同社の新しいプラットフォーム「TNGA」を採用し、ハンドリングや走行性能が格段に向上した。2BOXの『カローラスポーツ』は、いち早く2018年に登場したが、『ツーリング』のほうが数段上に仕上がっている。特に中速域以上の安定感はドイツのスポーティーなファミリーカー同等かそれ以上と評価したい。ディスプレイオーディオやコネクテッドサービスも充実。夜間走行時の安全機能を標準で装備するなど、すべてがブラッシュアップされた傑作だ。
メルセデス・ベンツ『B180』
Specification
■全長×全幅×全高:4430×1795×1550mm
■ホイールベース:2730mm
■車両重量:1480kg
■排気量:1331cc
■エンジン形式:直列4気筒DOHC
■最高出力:136PS/5500rpm
■最大トルク:200Nm/1460~4000rpm
■変速機:7速AT
■燃費:15.0km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:392万円
※「AMGライン」
メルセデスの新しいデザイン思想を採り入れて造られた新型『Bクラス』はラインやエッジを大幅に削減。上下方向に細かくデザインされたヘッドライトや低めのフロントエンドが特徴的。
ボンネットからAピラー、フロントウインドウ、ルーフへと、流れるようなラインがスポーティーさを強調。全高は先代より10mm以上低く、1550mmに抑えられており立体駐車場もラクに入る。
リアのテールランプは上下方向に点灯、横に長い2分割型のコンビネーションランプを採用。テールゲートは開口部が地上から約620mmと低く、ラクに重い荷物の出し入れができる。
ファミリーカーの枠を超えた完成度の高いユーティリティーカー
エンジンルーム
パワーユニットは直列4気筒1.4Lのガソリンターボ、2.0Lのディーゼルターボの2本立て。ディーゼルは4輪駆動、ガソリン車はFF。
運転席と各種装備
中央と左右にあるエアアウトレットはジェットエンジンのタービンを模したデザイン。ナビのモニターはこの位置に固定されている。
シートスペース
座席のレザーは黒が基本。写真はAMGレザーエクスクルーシブパッケージに用意されているクラシックレッド/ブラックの本革。
ラゲージスペース
ラゲージの奥行きは約800mm、左右幅は約1050mm、手前のごく一部が約1260mm。バンパーとの段差はなく、背もたれは3分割される。
【ココがポイント!】初心者でも安心!緊急時サービスも充実
フロントウインドウの上には、24時間緊急サービスの通報用ボタンがある。このボタンを押すか、事故を検知すると自動でコールセンターとつながり、車両の位置情報を報告する。
【ココがポイント!】マウスパッドのように各種操作できる!
センターコンソールのタッチパッドを使って、セレクト、スクリーン、スワイプ、拡大などの操作ができる。また「ハイ、メルセデス」と呼びかけると音声操作も可能。
2台とも全体的にバランスの取れたお買い得モデル
[運転性能]1.4Lのターボエンジンは2500回転あたりから唸り音が高まる。Sモードにするとスポーティーな走りが楽しめる。17点
[居住性]前後席とも圧迫感はなくファミリーユースとしては合格。後席の背もたれも3分割できるので使い勝手がいい。19点
[装備の充実度]マルチメディアシステムや最上級の『Sクラス』と同等に近い安全運転支援システムを搭載しておりかなり充実。18点
[デザイン]これまでのメルセデスのクルマとは違い、エッジやキャラクターラインを大幅に減らしたデザインは柔らかい印象。18点
[爽快感]その気になればパドルシフト+スポーツモードで走りを楽しめる。ただし太めのタイヤで乗り心地に難点あり。17点
[評価点数]89点
文/石川真禧照
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