デザインやクリーンディーゼル、スカイアクティブに対しての評価が取り沙汰されがちな印象のあるマツダのモデル群。
しかしながらその一方でこちらも定評あるのが、4WDでのオフロード走行だ。
【軽ソフトSUVの革命児】大ヒット間違いなし 新型ハスラー乗ってわかった真の実力
今回、その走りを下支えするシステムに「新兵器」が導入されたということで、CX-5(2019年12月12日発表の商品改良でAWD車に採用)、CX-8(同)、CX-30のオフロード試乗会に参加、自動車評論家 岡本幸一郎氏にその意外な!?(失礼!)実力をレポートしてもらった!
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※本稿は2020年1月のものです
レポート:岡本幸一郎/撮影:茂呂幸正
初出:『ベストカー』 2020年2月10日号
■新兵器「OTA」でオフロード性能がさらに進化!
マツダにはあまりオフロードのイメージがない気もするが、実は日本で最初にフルタイム4WDの乗用車を市販したのはマツダだ。
そして現在も「i-ACTIVAWD」と呼ぶシステムを、ロードスターを除くすべての車種に手頃な価格で設定している。
キレイな顔してるのに……悪路もイケる口なんですね
そこにこのほど、SUVのAWD車に新たに「オフロード・トラクション・アシスト(以降、OTA)」というデバイスが搭載されたので、その実力を試してきた。
OTAは、スタックした際にONにすると空転が抑えられて接地輪に駆動がかかり脱出できるようになる。
4輪速度やエンジントルク、前後GなどからTCSとAWDを協調制御し、ブレーキ、エンジントルク、カップリングに指示。
タイヤがスリップする前からAWDトルクを最大化しながらスリップを止める高いブレーキ圧をかけ、路面に駆動力を確実に伝達できるようにするというもの。
試乗会場に設けられたOTAの概念図。エンジントルクダウンをなくし、空転輪を強いブレーキ圧で止めてLSD(リミテッドスリップデフ)効果を生む。また、スリップを事前に予測してトルクを増大させて悪路走破性を高める
米カリフォルニア州立公園をはじめ厳しい環境下でテストを繰り返し走破性を鍛え上げてきたという。
その効果が最もわかりやすかったのがモーグルのコース。CX-8でゆっくり前進していき前後の対角輪が浮いた状態になると、浮いたタイヤが空転して前に進まなくなる。
そこでOTAをONにすると、アクセルを踏み込んでも空転しなくなり、じわじわと前に進んでいける。
モーグルもなんのその。オフロード・トラクション・アシストをオンにしたらスルっと脱出できた
念のためお伝えすると、履いていたのは標準装備のサマータイヤ(ハイウェイテレーン)のまま。こういう路面でのグリップにはあまり期待できないにもかかわらず、最大限に引き出してくれるわけだ。
実際にこうした状況になった時でも、強い味方になってくれることに違いない。
■25°の急勾配も苦にならず
最も都会派といえるCX-30では、都会に住みアウトドアをたしなむユーザーが実際に目的地を目指す状況を想定して、まずワインディングの走りのよさを確認したのち、林間コースを走行。
最低地上高が175mmでリアがビーム式サスにもかかわらずガンガン進んでいけることに感心した。
途中のきつい上り坂の途中で止まって再発進するなどいろいろ試してみて、やはりOTAを「ON」にしたほうが走りやすいことを確認できた。
「クリーンディーゼル+四駆」の組み合わせはオフロードでもかなりの安心感をドライバーに与えてくれる
CX-5ではヒルクライムコースを走行。最大斜度25度の坂を上り下りしたり、途中のかなりハードな路面も同じくサマータイヤのまま踏破できることに感心。
しかも、途中の凸凹がきつい箇所で、過去に同じコースを他車で走った経験からすると、モノコックボディのクルマではもっとガツガツ伝わってくるところがうまく緩和されているように思えた。
加えて少し前までの「i-ACTIV AWD」は、ふとした時にアンダーステアが顔を出すように感じていたが、GVCをはじめ諸々の進化もあって、それが気にならなくなっていた。
標準装備のサマータイヤで難なく25°の急勾配を駆け上がったCX-5。最低地上高は210mmと、悪路も問題ナシ
また、全車共通してレスポンスのよいエンジンとロップアップ率が高くダイレクト感のあるATのおかげで、アクセル操作で駆動力をコントロールしやすかったことも好印象だった。
スタイリッシュな都会派なのに悪路もこんなに走れるとはたいしたもの。マツダが掲げる「人馬一体」の走りはオフロードでも健在だ。
キャンパルジャパン(小川テントで有名)のテントとCX-8。雰囲気、かなりイイ感じ。マツダ車でキャンプ、アリだ
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