現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則136】プジョー307の「しなやかさという刺激」に驚かされた

ここから本文です

【ヒットの法則136】プジョー307の「しなやかさという刺激」に驚かされた

掲載 更新
【ヒットの法則136】プジョー307の「しなやかさという刺激」に驚かされた

2005年10月14日、プジョーの人気プレミアムコンパクト「307」シリーズがマイナーチェンジされている。新たに「フェリーヌ」というペットネームが与えられた、1.6Lエンジン搭載のベーシックモデルの試乗記を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年1月号より)

社内呼称は「T5」型から「T6」型へと進化
「どうやったら、こんな風にしなやかな走り味ができるのだろうか?」大がかりなマイナーチェンジが施されたプジョー307。その5ドアハッチバックモデル「フェリーヌ」に試乗しながら、思わず溜息をついてしまった。「フェリーヌ」は1.6Lエンジンの4速AT仕様、ごくごく普通のモデルだ。

【くるま問答】アイドリングストップ機能はよいことばかりではない。OFFスイッチはいつ使う?

このところ、最新のフランス車には驚かされっぱなしだ。プジョーで言えば、新型407のステアリングを握った時に、やはりとても驚いた。それは、ドイツ車が掲げているようなドライビング性能とは明らかに違う、しかしそれでいながら高い巡航性能や動力性能もしっかりと確保した、新しくて「しなやかな」気持ちよさが実現されていたからだ。

そしてこの新しい307からも、その時と共通する驚きを覚えさせられた。マイナーチェンジ版307は、これまでのモデルが社内呼称で「T5」型と呼ばれるのに対して「T6」型と呼ばれる。T6のフロントまわりは、407と共通のデザインモチーフが与えられたものとなり、主張の強い表情だ。好き嫌いはあろうが、でも一見しただけで「新しくなった」ことがよく伝わってくる。

T6はどのモデルに乗っても明らかにT5よりもしなやかだと感じた。ステアリングを操作すると、それに合わせて「スーッ」とボディが動いていく。決して「ビビッ」とか「キュキュッ」とかという反応ではなく、あくまでも「スーッ」という表現がふさわしい滑らかなもの。

でもそれは、応答が鈍いというわけではない。「動き」に対する時間のとらえ方が違う、ということだろう。「リズム感が違う」とでも言えばいいのかもしれない。何らかの操作を行った場合、その反応の仕方には、フランス車にはフランスの、ドイツ車にはドイツの、そして日本車には日本のという、固有の「リズム感」があると思う。

「お国柄」とでもいえる「間」の取り方の違いだ。ある一連の動作を、どのような時間の流れ方としてとらえて、そしてコントロールしようとするのかである。プジョーに限らず、フランス車の動きには、伝統的に「スウィング感」がある。気持ちが浮き浮きして、身体がスウィングしてくるような感じだ。

307フェリーヌを運転していると、最新のフレンチスウィングとでも表現したい、心地よくしなやかなリズム感を覚える。そして、エンジンが発生する限られた力をどう使うか。4速ATをどう使いこなすか。路面をしっかりととらえてグリップしていく4輪を感じながら、頭の中でもドライビングを積極的に組み立てていく。それがなんだかとても気持ちいい。以前はブレーキング時のダウンシフト制御が気になった4速ATも、改良が進んだおかげで、試乗時には気にならなかった。これも好印象だ。

2Lエンジンを搭載する「フェリーヌ2.0」でも、楽しさは味わえた。だが、エンジンに見合うよう足まわりの設定も異なるのか、1.6Lのフェリーヌほどには「しなやかさ」がアピールされていない。こうしてみると、しなやかであることも、立派に刺激的なポイントなんだな、と納得してしまった。

輸入車のCセグメントモデルに設定される1.6Lモデルは、単なる「廉価バージョン」と思われがちだ。しかし、そのほとんどのモデルが実はとてもしっかりとしている。

右足でペダルをグーッと踏み込みさえすれば、驚くほどよく走ってくれる。確かに登坂時や追い越し時などの加速は、2Lモデルには敵わない。日常域でも同クラスの日本車が備えているような瞬間的なダッシュ力はない。静かさだって、当然だが2Lモデルの方が上だ。でもそれ以外では「比較しなければ」さほど気にはならないのだ。

そして、この「しなやかさ」という刺激に関しては、307フェリーヌがトップクラスにあると感じた。ライバルと比較しても。(文:香高和仁/Motor Magazine 2006年1月号より)



プジョー307フェリーヌ(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4210×1760×1530mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1587cc
●最高出力:108ps/5800rpm
●最大トルク:147Nm/4000rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:231万円

[ アルバム : プジョー307フェリーヌ(2005年) はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

井戸田潤が初代NSXに出会った!和製スーパーカーに一同ホレボレ!
井戸田潤が初代NSXに出会った!和製スーパーカーに一同ホレボレ!
グーネット
続報 マジで歴史的英断か!? 東海道新幹線に個室座席新設で1323席のルールが破られるのか?
続報 マジで歴史的英断か!? 東海道新幹線に個室座席新設で1323席のルールが破られるのか?
ベストカーWeb
もしや未来のレジェンドか!?!? 次世代電気自動車「Honda0(ゼロ)シリーズ」が衝撃 しかもほぼそのまま市販モデルになるってマジか
もしや未来のレジェンドか!?!? 次世代電気自動車「Honda0(ゼロ)シリーズ」が衝撃 しかもほぼそのまま市販モデルになるってマジか
ベストカーWeb
ガルウイングにした本当の理由は? AMG初の独自開発「SLS AMG」はメルセデス・ベンツ「300SL」の再来でした
ガルウイングにした本当の理由は? AMG初の独自開発「SLS AMG」はメルセデス・ベンツ「300SL」の再来でした
Auto Messe Web
RB、アイウェアブランド『HUGO Eyewear』とのパートナーシップ締結を発表
RB、アイウェアブランド『HUGO Eyewear』とのパートナーシップ締結を発表
AUTOSPORT web
「見た目」にビビなら買い! 日産ジューク・ハイブリッドへ試乗 内装とデジタル技術をアップデート
「見た目」にビビなら買い! 日産ジューク・ハイブリッドへ試乗 内装とデジタル技術をアップデート
AUTOCAR JAPAN
フォーミュラEが面白い! 日産とシェルの関係や過去のシーズンを知って、今期後半をもっと楽しもう
フォーミュラEが面白い! 日産とシェルの関係や過去のシーズンを知って、今期後半をもっと楽しもう
Auto Messe Web
アストンマーティン代表、ストロールへの裁定は厳しいと語る「しっかりと理解されないまま判定が下された」/F1第5戦
アストンマーティン代表、ストロールへの裁定は厳しいと語る「しっかりと理解されないまま判定が下された」/F1第5戦
AUTOSPORT web
ヨシムラSERTが転倒後に追い上げ優勝、3ART綿貫も3位。TSR、Étoileは無念のリタイア/EWC第1戦ル・マン24時間
ヨシムラSERTが転倒後に追い上げ優勝、3ART綿貫も3位。TSR、Étoileは無念のリタイア/EWC第1戦ル・マン24時間
AUTOSPORT web
ホンダの「V8スポーツカー」!? 500馬力超えの「FRマシン」! “NSX後継機”目された「HSV-010」とは
ホンダの「V8スポーツカー」!? 500馬力超えの「FRマシン」! “NSX後継機”目された「HSV-010」とは
くるまのニュース
アルファ・ロメオ 車名に "ケチ" つけた政治家へ苦言「名前より雇用守る努力をせよ」 中国企業に危機感
アルファ・ロメオ 車名に "ケチ" つけた政治家へ苦言「名前より雇用守る努力をせよ」 中国企業に危機感
AUTOCAR JAPAN
「彼は僕を見てさえいなかった」リカルド、接触時のストロールのオンボード映像を見て激怒/F1第5戦
「彼は僕を見てさえいなかった」リカルド、接触時のストロールのオンボード映像を見て激怒/F1第5戦
AUTOSPORT web
ハースのヒュルケンベルグが10位「最大限の結果を出した。重要な1点」小松代表は「完璧なレース」と喜ぶ/F1中国GP
ハースのヒュルケンベルグが10位「最大限の結果を出した。重要な1点」小松代表は「完璧なレース」と喜ぶ/F1中国GP
AUTOSPORT web
アロンソ「セーフティカーで戦略変更も、良いレースに。1周でいいからトップを走りたかったけどね」/F1中国GP
アロンソ「セーフティカーで戦略変更も、良いレースに。1周でいいからトップを走りたかったけどね」/F1中国GP
AUTOSPORT web
乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー
乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー
AUTOCAR JAPAN
ハミルトン「極端なセットアップ変更が、かつてないレベルのアンダーステアを引き起こした」メルセデス/F1中国GP
ハミルトン「極端なセットアップ変更が、かつてないレベルのアンダーステアを引き起こした」メルセデス/F1中国GP
AUTOSPORT web
経験を信じたWRTとリスクを避けたマンタイ。雨中のタイヤ選択がLMGT3上位の明暗分ける/WECイモラ
経験を信じたWRTとリスクを避けたマンタイ。雨中のタイヤ選択がLMGT3上位の明暗分ける/WECイモラ
AUTOSPORT web
レクサスが新たな「小さな高級車」展示! 全長4.2m級でも上質さ健在!? 「LBX」の実車見たユーザーの反響は? in 菅生
レクサスが新たな「小さな高級車」展示! 全長4.2m級でも上質さ健在!? 「LBX」の実車見たユーザーの反響は? in 菅生
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

261.0299.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23.029.9万円

中古車を検索
307 (ハッチバック)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

261.0299.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23.029.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村