トップフューエルが製作した200ps仕様エスロクが始動!
S07Aパワーチューンの未来を切り開く!
「200馬力仕様のS660がついに走り出した!」レーシングドライバーも大喜びの動力性能!
800kg以上の車重に対してS07Aエンジンのポテンシャルは非力すぎると評価し、純正タービン改の100ps仕様、IHI製タービンをハイフロー化した120ps仕様と、段階的にS660のパワーチューニングを進めてきたトップフューエル。
そんな同社が、究極のパワーを目指して2019年末から開発を続けてきた200ps仕様のS660がついに完成。鈴鹿サーキットでシェイクダウンを敢行した。
このチューンドに搭載されるS07Aは、排気量660ccのままエンジン本体を強化し、試作タービンにブースト圧2.4キロをかけて、前人未踏の200psを達成している。初転がしということもあって、今回はブースト圧1.8キロの170ps仕様で走らせたのだが、「これが本来S660にあるべきポテンシャルだよね。走らせていて、すごく楽しい!」と、テストを担当した木下みつひろ選手は大喜び。タイムも2分37秒694と上々だ。
ちなみに、エンジン内部に組まれたパーツは全てトップフューエルオリジナル品だ。鍛造ピストン(12万円)は、純正ボアの高強度設計。フルフロー対応(要コンロッド小端穴加工)で、表面にはWPC加工が施された逸品だ。
そして軽量コンロッド(38万円)は、SNCM総削り出しのI断面で、小端部はフルフロー仕様(ベリリウムブッシュ)となる。コンロッドボルトを8mmにサイズアップしている点も見逃せない。
ヘッドは燃焼室マシニング加工仕様(13万2000円)となる。スキッシュを削ったフルサークル形状にすると同時に、容積を約1.56cc拡大。ハイブースト対応の高効率燃焼室をマシニングで作るメニューだ。大型タービンの性能を引き出すには不可欠なメニューとなるだろう。
組み合わせるタービンは、軽自動車としてはかなり大型の試作モデル。シリンダー径が小さくノッキングの起こりにくい軽自動車用エンジンのメリットを活かし、最大ブースト圧2.4キロをかけて目標である200psに到達したのである。当然、インジェクターや燃料ポンプも強化するが、制御はコストパフォーマンスも考慮してフラッシュエディターでの最適化を図る。
旋回性に影響するフロントは、他車流用のハーフサイズとしたラジエターで軽量化を敢行。電動ウォーターポンプも常時回転させているため、走行風で積極冷却できるラジエターをサイズダウンしても水温は一切問題ない。
ノーマルに対してポテンシャルが大きく高まっていくと、トータルパッケージングの底上げが重要だ。とくに足回りはフロントのストローク不足がネックとなってくるため、トップフューエルは、ストロークを増やせるアッパーマウント(キャンバー調整式)を用意。そこにトップフューエル・ブルーダンパー(F8kg/mm R10kg/mm)をインストールして旋回性能を高めている。
ホイールはアドバンレーシングRZIIで、タイヤにはアドバンA052(F195/45-16 R205/40-17)を組み合わせる。ブレーキ系はフロントにアクレのキャリパー&ローターをセットし、リヤにはオリジナルの大径ローターを投入してストッピングパワーを向上させている。
S660の未来を大きく切り拓いた、トップフューエルの200ps仕様。セットアップを取り組んできた森本メカによれば「Kカー規格のトレッドでも200psまでなら問題なくバランスさせられます」とのことなので、S660チューンで150psオーバーが当たり前になる日も近い!?
SPECIFICATIONS
■エンジン:トップフューエル・オリジナルタービン、鍛造ピストン、強化軽量コンロッド、燃焼室マシニング加工ヘッド、フラッシュエディター、ワンオフフロントパイプ、ワンオフマフラー、ワンオフ水冷インタークーラー、水冷オイルクーラー/ZERO1000 パワーチャンバー ■ドライブトレイン:クスコ 強化クラッチ、LSD ■サスペンション:トップフューエル ブルーダンパー(F8kg/mm R10kg/mm) ■ブレーキ:アクレ・キャリパー(F)、ローター(F)/トップフューエル ローター(R) ■ホイール:アドバンレーシングRZII ■タイヤ:アドバンA052(F195/45R16 R205/40R17) ■インテリア:ブリッド バケットシート/RH9 レーシングハーネス ■エクステリア:ガレージベリー エアロキット
●取材協力:トップフューエル 三重県松阪市中道町500-1 TEL:0598-56-5880
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