東京オートサロン2020にて今年最大の注目車の1台となるGRヤリスがお披露目された。GRヤリスはトヨタにおけるスポーツ車両部門のGRが手掛けるWRC(世界ラリー選手権)参戦ベース車である。
お披露目と同時にグレードや装備内容、価格といった詳細も相当公開され、今夏発売の第1弾となるファーストエディションの先行予約も始まっている。
【2年でマイチェン4年で新型は過去の話…】新型車の開発が長期化している切ない事情
GRヤリスは1.6Lターボ+4WDで、エンジンスペックは 272ps/37.7kgm だから、今どきのクルマとしては珍しい リッター170馬力 のモンスターマシンだ。スペックだけ見ても強烈だ。
登場時点のグレードはRZ(396万円)とRZハイパフォーマンス(456万円)のファーストエディションの2つだ。
筆者は昨年夏からGRヤリスが頭から離れず購入を真剣に考えており、予約開始当日の1月10日(金)に先行予約した(先行予約までに至った経緯は機会があれば書きたい)。
当記事では当事者となる筆者が下した決断も交えながら、現時点でのGRヤリスのグレード選びのポイントを考察する。
文:永田恵一/写真:永田恵一、TOYOTA
【画像ギャラリー】見れば見るほど魅力的なGRヤリス!!
GRヤリスはコンペティションハッチバック!!
精悍なフロントマスク、大迫力のラジエターグリル、張り出したフェンダーがタダ者じゃない雰囲気を醸し出しているGRヤリス
GRヤリスは日本で販売されない新型ヤリスの3ドアをベースにしたコンペティションホットハッチで、1.6Lターボを搭載し、WRC直系の4WDシステムが組み合わされている。GRヤリスの車名からもわかるとおり、Gazoo Racingが手掛けたモデルだ。
ボディサイズは全長3995×全幅1805×全高1460mm(サイズはトヨタ社内測定値)で、搭載されるエンジンは1.6L、直3DOHCターボで272ps/37.7kgmのハイスペックを誇る。
コンパクトなボディに272psのハイパワーということで、 パワーウェイトレシオは驚異の4.706kg/psをマークする強者だ。
マスコミ向けには擬装を施したプロトタイプの試乗会がすでに開催されていて、気になる走りのポテンシャルについてはこちらをどうぞ。
このGRヤリスはハイスペックながら、限定モデルではなくファーストエディション後はカタログモデルとして販売することも大きなポイントだ。
GRヤリスの先行予約方法
GRヤリスは4色のボディカラーを設定。人気間違いなしの白系はスーパーホワイトIIとプラチナホワイトパールマイカ(オプション)の2色、そのほかはエモーショナルレッドII、プレシャスブラックパールはともにオプションカラーだ
はじめにGRヤリスファーストエディションの先行予約の方法を紹介する。
GRヤリスファーストエディションの予約はインターネット上のGAZOOショッピングのサイトから行う。流れとしては以下のとおり。
(1)先行予約したいグレードをRZ、RZハイパフォーマンスのいずれかから選ぶ(GAZOOショッピングの利用にはIDの発行が必要)。
(2)先行予約には10万円のデポジットが必要で、デポジットの支払いはクレジットカードからとなる(デポジットは成約した際は全額返金となるが、成約しなかった場合は返金手数料5000円を差し引いた9万5000円がクレジットカード会社から返金される)
(3)先行予約の際に商談する地域、販売会社も選ぶ。
先行予約は東京オートサロン2020で発表されたとおり、6月30日の23時59分まで行われ、7月から先行予約順の商談と生産も始まる。
このためGRヤリスを先行予約するならグレードを先に決めておいたほうが、流れはスムースなのだ(商談時にグレードを変えられるかは定かではないが、変えられないと思っておくべきだろう)。
早期納車を目指して公開予約開始初日に予約した永田氏。ファーストエディションを購入するにあたり悩みに悩んでハイパフォーマンスを選択
また先行予約順に商談が始まることもあり、自動車メディアのフリーランスである筆者は「買うならとにかく早く欲しい」という気持ちが抑えられず、先行予約開始当日にやや焦るようにスマートフォンからIDを作り、先行予約をすませた。
なお引っ越しなどの事情も考慮され、商談する販売店の変更は可能だ。
ファーストエディションの特典
これはクルマ自体とクルマ自体以外のものにわかれる。
■クルマ自体
・フロントグリルとサイドのディフューザー、リアスポイラー、リアディフューザーがマットブラックになる
・RZハイパフォーマンスではホイールもマットブラックとなる
※ファーストエディションの後に出る標準仕様は、ファーストエディションだとマットブラックになる部分が艶のあるブラックになると思われる。
全体的に大きな違いではないが、さり気なくファーストエディションとわかる点はクルマ好きには魅力だろう。
リアビューではスポイラー、ディフューザーがマットブラックになるのがファーストエディションの大きな特徴だ
■クルマ自体以外
・WRCラリージャパンのチケットや特別応援席などの特別な体験
・開発秘話などのスペシャルコンテンツのメール配信
・GRヤリスファーストエディションのオリジナルミニカーのプレゼント
パンフレットを見ると、「標準仕様のRZハイパフォーマンスおよびRZの車両本体価格はファーストエディションと同価格になる予定です」と記載されている。
そのためファーストエディションを先行予約する意味は早期納車の可能性を含めた「最初のモデルを買ってくれたユーザーへのトヨタからの感謝」と考えれば、非常に大きいと思う。
RZとRZハイパフォーマンスの違いと選択術
RZ、RZハイはフォーマンスとも4WDターボで変わりないが、ハイパフォーマンスには前後のトルセンLSDが標準装備される
RZとRZハイパフォーマンスの装備内容の違い、すなわち60万円差の要因を自分のことだけにパンフレットの折り目が切れそうなくらい見ている当事者目線で解説する。
■主に走りの違いとなる機能面
●ホイール&タイヤ
RZ:エンケイ製鋳造ホイール(ブラック塗装)+ ダンロップSPスポーツMAXX050
RZハイパフォーマンス:BBS製鍛造(マットブラック塗装)+ ミシュランパイロットスポーツ4S
写真左がRZ、右がハイパフォーマンスのホイール。ホイールサイズは18インチ×8J、タイヤサイズは225/40ZR18インチで同じ
●前後のLSD
RZ:なし
RZハイパフォーマンス:前後トルセン
●前後ブレーキキャリパー
RZハイパフォーマンス:レッド塗装
※ローター、キャリパー、パッドというブレーキの機能自体はRZも共通
そのほかRZハイパフォーマンスにはインタークーラーの水冷スプレー(水のタンクはラゲッジルーム下)、ブレーキに走行風を当て冷却性能を高めるためと思われるブレーキダクトが付く。
GR専用レッドカラードキャリパーはハイパフォーマンスに標準装着されていて、ホイール越しにかなり目立つ。RZはオプション(価格は夏頃公表予定)
■インテリア
●シート
RZ:スポーツシート(ファブリック表皮)
RZハイパフォーマンス:プレミアムスポーツシート(合皮とスウェードのコンビ表皮)
※RZハイパフォーマンスのプレミアムスポーツシートのほうがスポーティな形状だ。プレミアムスポーツシートには標準のシルバーのステッチに加え、ステッチがレッドになるエモーショナルカラーも選べる。
リアシートの表皮はそれぞれフロントシートに準じている。
RZ用(写真右)に比べてRZハイパフォーマンス用のシルバーステッチ(写真中央)、レッドステッチ(写真右)はサイドサポート性に優れる
●スピーカー
RZ:2スピーカー
RZハイパフォーマンス:JBL8スピーカー+(低回転域のこもり音のようなものを抑えるためと思われる)アクティブノイズコントロール
RZハイパフォーマンスに標準装着されるJBLの8スピーカー+アクティブノイズコントロールは音楽好きに魅力的な装備(RZはオプション)
■注文時にしか選べないメーカーオプション( 価格は夏頃決定予定 )
●RZ、RZハイパフォーマンス共通
・カーボンルーフのマーブル柄
・先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール、操舵支援のレーントレースアシスト、自動ブレーキ、斜め後方を感じするブラインドスポットモニタリングなど盛り沢山の内容から構成される予防安全パッケージ
・冬場には有難いフロントシートヒーター&ステアリングヒーター!
・バックガイドモニター
●RZ
・ブレーキキャリパーのレッド塗装
・ヘッドアップディスプレイ
・イルミテーテッドエントリーシステム(車内の足元照明)、クリーンエアフィルター、JBL8スピーカー+アクティブノイズコントロールから構成されるコンフォートパッケージ
※RZハイパフォーマンスのみが選べるメーカーオプションは現状ない
ブラック基調のスパルタンなGRヤリスのインテリア。シート、オーディオ以外でRZとRZハイパフォーマンスの差はない
といったところで、メーカーオプションは標準のRZだけヘッドアップディスプレイが選べるなど「本当なのか?」と思う部分もある。
それはさておき、筆者が先行予約をする際に「早くしないと買っても納車が遅れる」とやや焦りながら感じたことを書くと次のような点だ。
(1)個人的にホイールはRZのもののほうが好み
(2)筆者にとっては超高価なクルマだけに今のところハードに使うつもりはないのもあり、RZハイパフォーマンスに付く前後のトルセンLSDは必要だろうか? 個人的には後でリアだけ機械式LSDを入れるのにも興味がある
(3)同様にRZハイパフォーマンスのインタークーラーの冷却スプレーは前後のトルセンLSD以上に筆者には不要だろう
(4)シートはブリッドやレカロといったアフターパーツに替えるならRZのものでいいが、筆者は置き場もないし、交換しない方向なのを考えるとやはりカッコいいRZハイパフォーマンスのものが欲しい
(5)スピーカーはそれほど音質にこだわりはないのでRZの2スピーカーでもいいけど、やはりJBLの8スピーカーのほうが嬉しい
といった5点だ。そのため一時はRZに気持ちは傾いたが、60万円差は処分する際のリセールバリューで相当回収できそうな予感もした。
「ならばシートがカッコいいなどのメリットのほうが大きいか」と判断し、最終的にRZハイパフォーマンスを先行予約した。
真横から見ると異常なまでのリアフェンダーの盛り上がりが目立つこのアングルから見てもレッドカラードキャリパーは欲しくなる
加えて今になると60万円の差額は装備内容の差に対して「まずまず妥当なもの」とも思うようにもなってきた。
以上のことから総合したGRヤリスのグレード選びの決め手は、「ホイールやLSD、シートなど手を加える計画があるなら、安いぶんをその費用に回せるRZ」、「それほど手を加えるつもりがないならリセールバリューも含めRZハイパフォーマンス」、というのが結論だ。
メーカーオプションに関しては価格との相談もあるにせよ、一般的な範囲での使用なら予防安全パッケージはぜひ装着したい。
筆者もこの種の運転支援システムが付いたクルマが欲しいのと、GRヤリスはパワーのある4WDということで全天候型のGTカーという素質も高いと考えているため、予防安全パッケージだけは選ぶつもりだ。
ボディカラーはスーパーホワイトII、プラチナホワイトパールマイカ、エモーショナルレッドII、プレシャスブラックパールの四色で、スーパーホワイトII以外は有料色となる。
GRはホワイトのイメージが強いのもありおそらくホワイト系が人気となりそうで、筆者もホワイト系を有力に考えている。
なおGRヤリスのRZ系を本格的にラリーやジムカーナといったモータースポーツに使うという人などであれば、そう遠くないうちに競技ベースグレードが出るようなので、そちらを待つのがいいだろう。
ファーストエディションには設定されていないが、そう遠くないうちにGRヤリスの競技ベース車が追加発売されると言われている
まとめ
いずれにしてもGRヤリスが「欲しい」、「興味がある」というならファーストエディションの特典の小さくない意義も含め、この記事も参考にしていただきグレードを熟考し、先行予約することを強く勧めたい。
全長、全幅、全高はトヨタの社内測定値、最高出力、最大トルクの発生回転数は未公表。価格は左がRZ、右がRZハイパフォーマンス
【画像ギャラリー】見れば見るほど魅力的なGRヤリス!!
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
四国と関西をつなぐ「紀淡海峡大橋」はいつできる? 新たな本四連絡橋で関西圏に環状道路網の誕生なるか。
既存モデルの新車の「バックカメラ」が5月から義務化されます 本当にバック事故対策になるのでしょうか?
ホンダ 新型「プレリュード」まもなく復活!? 次期型“流麗クーペ”は「デートカー」それとも「スポーツカー」? 歴代初の「タイプR」登場はあるのか
かつて全盛だった「ステーションワゴン」なぜ人気低下? 国産ワゴンは絶滅寸前!? それでもワゴンが良い理由とは
ホンダのスゴい「新型軽バン」発売延期! 「100万円台」なるか 斬新「前後2人乗り」で注目も! 6月に価格発表、どんな声集まる?
みんなのコメント
内容が身近で分かりやすく思います。
今後の記事も楽しみです。
応援してます‼️
絶対速いし。