改良ではなく改悪!? 車の商品力を高めるマイナーチェンジや改良ながら、なかには本来あった魅力が削がれてしまった残念な改良モデルも存在!
新車が商品力を維持するためには、モデルライフのなかばで行われる「マイナーチェンジ」や「改良」が欠かせない。そのタイミングで安全装備を充実させたり、発売当初煮詰めきれていなかった部分を見直すなど、多くの改良は文字どおり、その車を進化させるケースがほとんどだ。
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……が、なかには装備が簡素化されてしまったり、エンジンやサスペンションといった車の性能を左右する部分が変更され、ともすれば魅力を失った感がある“改良”が施される場合も!
本稿で紹介する7台は、改良前が良かっただけに特に残念感が際立ってしまった「もったいないモデル」である。
文:渡辺陽一郎、鈴木直也
写真:MITSUBISHI、TOYOTA、MAZDA、編集部
ベストカー 2020年1月26日号
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現行プレミオ/2010年マイチェン
プレミオ(2010年マイチェン)/スピーカーの数は減ったが、この時1.8ℓ車はバルブマチックを搭載したエンジンに変更され、燃費向上
2010年、現行プレミオ&アリオンがマイナーチェンジした時、主力グレードのスピーカーを従来の6個から4個に減らした。
今はフルモデルチェンジを行う周期が伸びて、現行プレミオ&アリオンも、発売から12年以上が経過する。
初期型のユーザーが、同じモデルの後期型を買うことも多いだろう。時間が経過すれば当然、よくなっていると期待するが、プレミオ&アリオンのマイチェンでは逆だった。
販売店も「あからさまな手抜きはやめてほしい」と怒っていた。
【渡辺陽一郎】
2代目デミオ/2005年マイチェン
デミオ(2005年マイチェン)/内外装の変更、スロットルの電子制御化などが行われる。逆に後席ヘッドレストはコストダウンで一体型に
2代目デミオが発売された時、横滑り防止装置を全車にオプション設定した。当時はミドルサイズセダンにも非装着車が多く、コンパクトカーでは先進的だった。
2代目デミオは車両重量が1100kg前後と重く、走行安定性に悪影響を受けていた。これを補う意味でも横滑り防止装置は効果的だったが、マイナーチェンジ後は、オプション設定がスポルトに限られた。その後、完全に廃止されている。
【渡辺陽一郎】
S2000/2005年マイチェン
S2000(2005年マイチェン)/2.2L化で最高出力も最大トルクも発生回転が下がったが、2L時の許容回転数9000回転という魅力も薄れた
ホンダ S2000は言ってみれば“エスハチ”(=S800)へのオマージュ。NA高回転型エンジンのFRスポーツを、20世紀の終わりにもう一度よみがえらせることがテーマだった。
初期モデルはそのコンセプトに忠実な仕上がりだったが、実用性に難点なしとは言えず、いまいち販売も低迷。2005年には排気量を2.2Lに拡大し、低速トルクを太らせたエンジンが投入される。
確かに乗りやすくはなったものの、ピュアな志が失われたことにがっかり。だったら最初からカリカリの2Lと、マイルドでATも選べる2.4L・SOHCの二本立てにすればよかった。
【鈴木直也】
デュアリス/2007年生産工場変更
デュアリス/英国工場生産ものはザックスのサスを採用していたが、国内生産に切り替わってからはザックスをやめた
発売された時のデュアリスは、イギリス工場が生産する車両を輸入していた。
サスペンションの動きがよく、高重心のSUVでありながら、走行安定性と乗り心地のバランスも優れていた。
前席は腰をしっかりと支えて座り心地がよく、長距離移動でも快適。背もたれは腰を包む形状で、ワインディングを走っても着座姿勢が乱れにくかった。
ところが同年末に九州工場に生産が移り、足まわりの動きが変わってしまった。操舵時の正確性も少し下がった印象を受けた。
【渡辺陽一郎】
ランサーセディア/2003年マイチェン
ランサー(2003年マイチェン)/この時は、ほかにも一部グレードのエンジン出力ダウンやタイヤのサイズダウンなど、さみしい変更を実施。ブーレイ顔に変更され、車名も「ランサー」に
発売時のランサーセディアは操舵感こそ鈍かったものの、前後輪のグリップバランスは取れていた。
ところが2003年のマイナーチェンジ後は、操舵に対する反応が機敏になり、車両の向きが素早く変わるようになった代わりに、危険回避を想定した車線変更などを行うと、後輪の接地性が下がりやすくなってしまった。
同様の傾向は初代アウトランダーなどにも見られた。
開発者は「当時は業績を回復する目的もあり、機敏に曲がる楽しい走りを表現した。その結果、スポーツ性が強過ぎる面もあった」と振り返って話した。
【渡辺陽一郎】
レクサス LS/2012年マイチェン
レクサス LS(2012年マイチェン)/出力向上が行われたほか、サスペンションチューニングも変更。外観もスピンドルグリルを採用した迫力あるデザインに
先代(40系)レクサス LSはデビュー6年目の2012年にマイナーチェンジ(2013年モデル)を行った。
これは構成部品の半数以上を変更する大規模なもので、インテリアの変更やサスペンションの熟成には見るべきものがあったが、基本ボディ骨格やパワートレーンがキャリーオーバーで迫力不足。
一般の人には「メインはスピンドルグリルの採用でしょ?」程度の訴求力しか持てなかった。
リーマンショックの影響によるフルチェンジ延期という事情があったらしいが、残念マイチェンです。
【鈴木直也】
2代目イスト/2010年一部改良
イスト/2010年の一部改良で廃止された1.8L車と入れ替わりで、装備が簡略化された「150X Cパッケージ」が設定された
2代目イストの発売時(2007年)、北米仕様に準じる1.8Lエンジンも用意された。1.5Lエンジン車のトランスミッションは今日的なCVTだが、1.8Lは当時すでに古典的だったトルクコンバーター式4速AT。
だが実際に運転すると、1.8Lと4速ATの相性がとてもいい。加速と変速が滑らかでドライバーの感覚に合う走りを楽しめた。
ところが2010年の改良で1.8Lと4速ATは廃止。その結果、イストは普通のコンパクトカーになってしまった。
【渡辺陽一郎】
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