トミカの販売ブースに大勢の人が並んでいる国際展示場2階。チューニングカーやJeGTのeSPORTのステージに囲まれたエリアの中央にあるのが久留米工業大学の展示ブース。そこで試乗できるのが自動運転の電動車いすなのです。
研究グループを率いる教授はランエボXの開発者
【閲覧注意! 過去記事です】2020前夜に昨年の注目車種&ブースをおさらい! 東京オートサロン2019記事まとめ
電動車いすのWHILL(ウィル)に自動運転機能を組み合わせたモビリティを開発しているのが、久留米工業大学の「インテリジェント・モビリティ研究所」。
この研究所をまとめる東大輔(あずま だいすけ)教授は航空宇宙力学が専門。
そして実は、三菱ランサーエボリューションXの開発に空力デザインで携わった人物なのです。
今回展示されているのは、同研究グループが「パートナーモビリティ」と呼ぶ自動運転車いす。
ポイントは、音声による目的地の設定と、操作いらずの自動運転。
(現在は開発車両なので、パソコンを背負ってます)
利用者が専用アプリの入ったスマホなどの端末に、対話型で目的地を告げると、動作スタート。
車いすに設置されたLIDAR(ライダー)やGPS、カメラを使用して、現在地を確認、あらかじめ制作し取り込んであるマップを使ってルート検索し、障害物などを検知して回避したりしながら、目的地へ自動走行するというものです。
操作自体が声で行えるというのが特徴で、音声認識を使った電動車いすのシステム自体がレアでもあるそうです。
開発のきっかけは介護関係者との交流
自動運転やAIを活用して、乗り物の未来を探るのが「インテリジェント・モビリティ研究所」のコンセプトですが、自動運転車いすの開発のきっかけは久留米市内の介護関係者との交流。
「高齢者や障害のある人が自由に移動できるようになれば、能力を生かす幅が広がり、社会参画の機会も増えるかもしれません。また、介助する側の負担の軽減にもなりうるという側面もあるとおもいます」と東教授。
システムは汎用性を考えて制作されており、将来的には手動の車いすにアドオンできる電動化装置とセットでの使用なども視野に入れているとのこと。
現状では屋内でLIDAR、屋外でGPSを使用する構想となっていますが、せまい屋内スペースではマッピングとの誤差数センチで動けるとのことで、屋内の90センチ幅の通路などでも走行が可能とのこと。
ラストワンマイルのモビリティとしての可能性の高さもありますが、人の乗る車いすに限らず、その高い汎用性により台車に装着するなどの用途も考えられるそう。
また、車いすから前方にせり出しているセンサーの部分の取り回しを考え、場合によってはシステムだけを積んだユニットと車いすを分離して、追従走行させるなどのアプローチも考えられるという声もスタッフから聞こえてきました。
さまざまなポテンシャルを感じさせる研究と言えそうです。
ゼンリンなど企業との連携も
研究がはじまって以来、三菱総研、NTTドコモ、ダイハツ、日立、ゼンリン、WHILL等の企業や、福祉関連施設との連携も得られ、現在は大学周辺の商店街などのマップを制作し実証実験をしている段階。
たとえば、走行エリアの自由度を上げるためのキーとなるマップの生成、基準ポイントと走行可能ルートの設定などは、ゼンリンの協力によって、今回の国際展示場での試乗会場程度の規模であれば、数時間で制作が可能となるなど、民学協働の効果もあるよう。
遠くない未来に実用化されるかもしれない自動運転の車いす。
今回の東京オートサロン2020をはじめ、試乗の機会があるので乗っておくと、明るい未来がイメージできるかもしれませんね。
もしかすると、自動車よりも先に自動運転できるのは車いすかもしれません。
写真右から研究グループの技術職員である金子寛典さん、田中基大准教授、東大輔教授、学生である服部雄紀さん。
関連リンク
久留米工業大学 インテリジェント・モビリティ研究所
http://www.12pt.org/azuma/iml/index.html
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部_古川教夫]
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