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実は息の長い本格派!! “隠れた佳作”テリオスキッドが歩んだ14年 【偉大な生産終了車】

掲載 更新 16
実は息の長い本格派!! “隠れた佳作”テリオスキッドが歩んだ14年 【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

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 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はダイハツ テリオスキッド(1998-2012)をご紹介します。

●【画像ギャラリー】 一代限りながら14年に渡り愛された名車 ダイハツ テリオスキッドの姿をギャラリーでチェック!!

文:伊達軍曹/写真:DAIHATSU

■軽の新規格対応車として登場 抜群の走破性能


 軽自動車が新規格に移行した1998年10月に登場し、決して爆発的にヒットしたわけではないのですが、2012年6月までの14年間、息長く販売され続けた5ドアの軽SUV。それがダイハツ テリオスキッドです。

衝突安全ボディ「TAF」や、滑りやすい路面での安全運転をサポートする新機構「DVS」など、同時にフルモデルチェンジされたミラ、ムーヴとともに、クラストップレベル・世界最高水準の衝突安全性を確保

 テリオスキッドは、同時進行で開発されたダイハツ テリオス(こちらは1.3Lエンジンを搭載する登録車)の軽自動車バージョン。

 基本的にはフルタイム4WDですが「センターデフロック機構」が付いており、その悪路走破性能は「なんちゃってクロスオーバー四駆」のそれをはるかに上回っていました。

 クラス唯一の5ドアであったボディの構造は、モノコックにラダーフレームを溶接した「ビルトインラダーフレーム式」という強固なタイプ。

 オフロードでの走破性を重視した大径ホイールを採用し、下まわりのクリアランスも充分に採られていたことなどから考えると、テリオスキッドの本質は今で言う軽クロスオーバーSUVではなく、どちらかと言えばジムニーやパジェロミニに近い本格派だったと言えます。

高性能エンジンシリーズ“TOPAZ”、センターデフロック付フルタイム4WDの採用による優れた走行性能と、5ドアの採用による使い勝手の良さを両立させた

 しかし本格悪路の世界でのイメージリーダーであるジムニーやパジェロミニに正面からぶつかってもビジネス面での勝ち目はなさそう……ということで、テリオスキッドは「クロスオーバーSUVっぽいイメージ」で売り出されたのです。

 搭載エンジンは、前述のビルトインラダーフレームで重くなった車重をカバーするため自然吸気エンジンはラインナップされず、全車がターボ付きに。

 ベーシックな「CL」はインタークーラーなしの直3ターボ(最高出力60ps)、車高を20mm落としてエアロパーツなども装着した「エアロダウン」はインタークーラー付きの直3ターボ(最高出力64ps)を搭載しました。

 ただし2006年8月のマイナーチェンジで、エンジンは64psのインタークーラー付きに一本化されました。

 駆動方式は当初4WDのみでしたが、2000年には2WD(FF)を追加。その後もさまざまな一部改良やグレード追加、あるいはマイナーチェンジを行いながら、テリオスキッドは前述のとおり2012年6月までの14年間、細々とではありますが多くのユーザーに愛され続けました。

 しかしさまざまな意味での「寄る年波」にはさすがに勝てず、2012年6月には販売終了。その後、「2代目テリオスキッド」は今のところ登場していません。

■結果として1代限り それでも14年間愛された理由とは?

 ダイハツ テリオスキッドが1代限りで生産終了となった理由。

 それは要するに、「設計的に古くなったから」というのと「軽オフローダーというジャンル自体が衰退したから」という理由のダブルパンチです。

 テリオスキッドが販売終了となった2012年といえば、すでに先代のダイハツ ムーヴ(2010年12月~2014年11月)がよく売れていた時代です。

 そんな時代に「1998年頃に設計された車」は、さすがに各部の古さを隠せません。

 「じゃあフルモデルチェンジするか?」といっても、軽オフローダーというジャンル自体が衰退していましたし、そもそも数が売れる分野でもないため、企業としては次期型の開発に簡単にゴーサインを出すわけにもいきません。

 それゆえテリオスキッドの生産終了は「まあ仕方なかった」という結論になります。

2000年1月にはFR(2WD)車を設定。4年でフルモデルチェンジするサイクルが通常されるクルマのモデルサイクルにあって、14年はそれこそジムニーにも引けをとらない異例の長さだ

 しかしここで考えるべきは生産終了の理由ではなく、「そもそもなぜ、テリオスキッドはそんなに長く作り続けられたのか?」ということでしょう。

 それは結局、テリオスキッドが「他にもありそうだけど、よく考えると似たような車はない唯一無二の存在で、なおかついろいろよく出来た佳作だったから」ということになるはずです。

 「本格的な悪路走破性能を有していて、なおかつオンロードでもよく走る軽自動車」というのは、テリオスキッドだけでなくスズキ ジムニーや三菱パジェロミニあたりも該当するでしょう。

 しかし「それでいて5ドアでもある」という軽自動車は、1998年から2000年代あたりの時代はテリオスキッド以外に存在していなかったのです。

 しかもテリオスキッドの5ドアは決して「無理やり5ドアにしました」という感じではなく、特に後席の居住性は、当時の軽SUVとしては抜群とすら言えるものでした。

ホイールベースとトレッドが拡大され、より安定した走りと快適な乗り心地とを確保

 オンロードではキビキビとよく走り、雪深い道なども平気な顔して悠々クリアでき、なおかつ5枚のドアと広い後席を備えた実用的な軽自動車として、テリオスキッドは一部の「それを必要とする人々」に愛されました。

 結果として1代限りで終わってしまいましたが、しかしそれは「悲運」とか「不遇」とかそういったものではなく、車としてけっこう幸せなモデルライフだったような気がします。

■ダイハツ テリオスキッド 主要諸元
・全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1695mm
・ホイールベース:2420mm
・車重:990kg
・エンジン:直列3気筒DOHCターボ、659cc 
・最高出力:64ps/6400rpm
・最大トルク:10.9kg-m/3600rpm
・燃費:16.8km/L(10・15モード)
・価格:127万500円(2006年式L 4WD 5MT)


●【画像ギャラリー】 一代限りながら14年に渡り愛された名車 ダイハツ テリオスキッドの姿をギャラリーでチェック!!

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みんなのコメント

16件
  • 実は結構良い車なんですよ。
    クロカン四駆とクロスオーバーSUVのまさに中間。
    テリオスキッドには4Lはありませんが、実際に必要な人は少数ですし、圧雪路ではフルタイム四駆の方が扱いやすいことも。
    しかも4枚ドアだし、最低地上高も高い。
    豪雪まではいかないが毎年雪が積もるような地域ではうってつけだったのです。
  • 北海道ではこれがかなり普及していた。
    GGE御用達の感もあるけどまだまだ大事に乗っている人たちがいる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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