■多くのVIPを乗せて歩んだ50年以上の歴史
1960年代、日本を代表する自動車メーカーとなっていたトヨタは、国内最高のプレステージサルーンとして「センチュリー」を1967年に発売しました。
自衛隊のクルマ、じつはトヨタ製!? どんなクルマが活躍しているのか
トヨタ自らショーファードリブンカーと呼んでおり、皇室や政府関係者、大企業の社長や役員など、VIPの安全かつ快適な移動を目的として開発・設計・生産されました。
トヨタの技術の結晶でもあるセンチュリーは多くのVIPたちに愛され、日本を代表する高級車となり、現在では環境性能なども考慮しながら進化しています。
そこで、50年以上の歴史を持つセンチュリーの初代と最新型について紹介します。
●初代「プレジデント」の対抗馬として登場した「センチュリー」
1965年に日産が初代「プレジデント」を発売すると、その名前のとおり大企業の社長用社用車や政府要人の公用車として利用されるようになりました。
トヨタも国産車で初となる2.6リッターV型8気筒エンジンを搭載した「クラウンエイト」を1964年に発売しましたが、プレジデントの対抗馬として、さらに1クラス上の車格が必要と判断され、1967年に初代センチュリーがデビューしました。
センチュリーと命名されたのは、1967年が明治100年、そしてトヨタの源流である織機事業を興した豊田佐吉氏生誕100年を記念したのが由来です。
プレジデントが海外の大型セダンを模したようなデザインだったのに対し、センチュリーは伝統的な日本の美をクルマで表現する重厚なデザインとされました。
全長5120mm×全幅1890mm×全高1450mmの堂々としたボディは、後席の広さと乗降のしやすさ、快適性が重視されていて、すべての製造工程で熟練工員が作業にあたる特別なクルマになっていました。
搭載されたエンジンは、クラウンエイトの2.6リッターから拡大された3リッターV型8気筒OHVエンジンで、その後のマイナーチェンジでは3.4リッター、4リッターへとプレステージ性の維持のために排気量を拡大。
初代センチュリーは1997年までの30年間に渡り販売されました。
●21年ぶりの新型は贅の限りを尽くした「おもてなし」を表現
1997年に2代目がデビューしてから21年が過ぎた2018年に、センチュリーは3代目へと進化しました。
2代目に比べて排気量はダウンサイジングされましたが、5リッターV型8気筒エンジンと電気モーターによるハイブリッドシステムにより、システムが発生できる最高出力は431馬力とVIPカーらしい出力を誇ります。
デザインは2代目と比べてだいぶモダンになりましたが、全体のイメージを踏襲していたので、ひと目でセンチュリーとわかる外観です。
ボディサイズは全長5335mm×全幅1930mm×全高1505mmと、2代目に比べて全長が+65mm、全幅が+40mm、全高が+30mm拡大され、車内の居住性を向上させています。
また、手彫りの金型から作り出す鳳凰のエンブレムと七宝文様のフロントグリルで構成されるフロントマスクや、7層に渡る塗装、柾目(まさめ)の本杢パネルなど、「匠」と呼ばれる熟練の専任作業者たちが、感覚を研ぎ澄ませて手作業で組み立て、最終検査までをおこなっています。
センチュリーの価格(消費税込)は1996万2963円と、先代にくらべて大幅にアップしましたが、「後席は上座」と、おもてなしを具現化した内装などを考えると、海外の高級サルーンに比べて割安に感じてしまいます。
※ ※ ※
2019年には天皇陛下の即位パレードでも注目されたセンチュリーは、初代から続く「おもてなし」の精神はそのままに、環境性能や快適性、安全性が飛躍的に向上しています。
では、3代目はこのまま20年ほどはフルモデルチェンジをおこなうことなく、販売されるのでしょうか。
もしかしたら、もっと早くに革新的な電気自動車として、変貌を遂げるかもしれません。なぜなら、静粛性やなめらかな加速というVIPのクルマに求められる性能の究極の姿は、電気自動車にあるからです。
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みんなのコメント
今は、どれもこれも曲線多用で似たようなデザインばかり。
スポーツカーに寄せすぎだと思う。
セダンは、セダンとしてのあるべき形を原点に戻って考えて欲しい。