グランツーリスモアルティマという名を聞いたことはあるだろうか。
日産自動車のY32型とY33型、そしてY34型の3世代にわたり、グロリアに設定されていた最上級グレードの名称であり、アルティマ=究極という名に恥じないパフォーマンスを誇った国産パーソナルセダンだ。
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開発された時代が90年代初頭のバブル真っただ中ということもあり、贅を尽くされた、非常に個性の強い一台だった。
2019年は令和という新しい時代に突入した。この機会に昭和に輝いた伝説のクルマ、グロリアグランツーリスモアルティマについて振りかえってみようと思う。
文:吉川賢一、写真:日産
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グランツーリスモアルティマとはどういったクルマだったのか?
今から28年前の1991年6月、若年向けのスポーティなボディスタイリングをしたグロリアは9代目へとモデルチェンジを果たした。
9代目(Y32型)グロリア
9代目グロリアは、快適性を重視したブロアム系と、走行性能を重視したグランツーリスモ系に分けたキャラクタ作りがなされた。
ブロアム系は角型を生かした落ち着いたデザイン、グランツーリスモ系は丸目4灯のヘッドランプを特徴としたクールなデザインをしていた。
なおエンジンは、排気量3LのV6ターボ、3LのDOHC、3LのSOHC、さらには2LのV6 SOHC、2.8Lの直6デーゼルと合計5種類。ミッションは4ATと5ATで駆動方式はFRだった。
そして、Y32型グロリア登場の約一年後、グランツーリスモ系のTOPグレードにグランツーリスモアルティマが追加された。
9代目(Y32型)グロリアグランツーリスモアルティマ
255ps/6,000rpm、35.0kgm/3,200rpmを発生するVG30DET型エンジンを搭載し、怒涛の加速を味わえたのだが、聞くところによると、リッターあたり5kmや6kmという燃費の悪さも圧倒的だったようだ。
スポーティな高級パーソナルセダンに、更に色濃く走りのイメージを根付かせることに成功したグランツーリスモアルティマは一躍人気グレードとなり、
若者から年配の方までが、このクルマが放つワイド&ローでちょい悪イメージに夢中となった。
Y32型グロリアは、今のクルマと比べても大きいのか?
Y32型がデビューした1991年当時、3ナンバー化の波が来ており、Y32型グロリアもまた、先代まで5ナンバーだったボディサイズを初めて超え、3ナンバーサイズへと成長した。
先代Y31型のサイズは全長4,690mm×全幅1,695mm×全高1,445mmに対し、Y32型では全長4,780×全幅1,745mm×全高1,405mm。全長は90ミリ伸び、車幅は50ミリ広がり、全高は40ミリ下がった。
5ナンバーサイズ、という制限がなくなったことでワイド&ローが強調されたスタイルは、今見てもなかなかにカッコよく感じる。
2019年マイナーチェンジした現行型(V37型)スカイライン
ちなみに、現行のスカイラインV37型は全長4,815mm×全幅1,820mm×全高1,440mm。
あれ? と感じるかもしれないが、V37スカイラインと比べるとはるかに小さく、当時のクルマがいかにグラマラスで大きなセダンに見える秀逸なデザインをしていたかが分かる。
Y33型にも設定されたグランツーリスモアルティマ
1995年6月まで販売されたY32型の後継車として登場したY33型グロリアにも、TOPグレードとしてグランツーリスモアルティマが設定された。
10代目(Y33型)グロリアグランツーリスモアルティマ
グランツーリスモ系の特徴である丸目4灯のヘッドライトも継承され、流麗なラージセダンとしてデビューをした。
また、エンジンが新世代のVQ型へと進化し、TOPグレードのグランツーリスモアルティマには、270ps/6,000rpm、37.5kgm/3,600rpmを発生する3リットルターボエンジンのVQ30DET型が搭載された。
ボディサイズは、全長4,875mm×全幅1,765mm×全高1,425mmと全長が60ミリも伸び、より一層、グラマラスなデザインへとなった。
BMWといった欧州車の様な雰囲気を感じさせてくれる低く構えたボディ、丸目のヘッドライト、未来を感じさせてくれるメーターやインテリアの質感など、先代のイメージを引き継いだY33型グロリアグランツーリスモアルティマもまた人気グレードとなった。
なお、VIP系カスタムカーのベース車両として、長らく愛されたモデルでもあった。
まとめ
11代目(Y34型)グロリア グランツーリスモ300アルティマ
グロリアはY34型を最後にその生涯を終え、グランツーリスモアルティマも、Y34型に設定された「グランツーリスモ300アルティマ」を最後に、たった3世代で終わってしまった。
ただ、1990年代の日産車には(良い意味で)癖の強いものが多くあった。
901活動による走りへの強いこだわりにより、P10プリメーラやR32型スカイラインなど、数々の名車も誕生した。
もう一度、あの頃のようなクルマ達が登場するとは思えないが、後世に名車と言われるようなクルマが登場してほしいと願っている。
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