現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 名ばかりのSUVはいらない! レーシングドライバーが語る災害時にも役立つ本格派SUVの条件とは

ここから本文です

名ばかりのSUVはいらない! レーシングドライバーが語る災害時にも役立つ本格派SUVの条件とは

掲載 更新 22
名ばかりのSUVはいらない! レーシングドライバーが語る災害時にも役立つ本格派SUVの条件とは

 近年増えている自然災害にも対応できる性能は魅力的

 第40回という節目を迎えた2019~2020年度の日本カー・オブ・ザ・イヤーはトヨタ自動車の「RAV4」が本賞を受賞した。世界的なSUVブームのなかで、トヨタ自動車が国内マーケットにも復活させたRAV4が大賞に輝くであろうことは多くの関係者が予想していたことだろう。

【今さら聞けない】自動車の人気ジャンル「SUV」って何?

 今回RAV4で大きく評価された点は、全車4WDモデルとして設定されていたこと。北米や中国向けなどではFF(前輪駆動)モデルも存在するようだが、国内向けは4WDであることにこだわった。しかもHVは最高速度までリヤモーターがアシストしてくれるE-Fourとし、ガソリン仕様にも2種類のリヤデファレンシャルを用意するなど、ロバスト性(屈強性)を強くアピールしている。

 僕自身もRAV4に高得点を入れたが、最高点は「ジープ・ラングラー」に配した。それはロバスト性が他を圧倒しているからで、審査要旨のコメントにも述べているが「災害の多いこの時代において、ジープ・ラングラーの悪路走破性の高さは災害時に“命を守る行動”を力強く支えてくれる」と考えたからだ。

 スポーツカーはサーキットなど特別な場所に行かなければ、日常的にその性能を役立たせることはできない。日常のなかでは気持ちのいいドライブフィールとかスポーティなスタイリングを楽しむなど、所有する歓びを享受する範囲が限定されてしまうだろう。セダンや軽自動車は日常の道具として実用的であり必要性もある。

 一方、いつ何時、家の前のいつもの道が突然洪水に見舞われ、倒木や河川の氾濫で濁流が押し寄せるとも限らない。近年多発する「過去に前例のない」レベルの災害では、自家用車で避難中に走行不能に陥り命を落としてしまうという悲しいニュースも多く報道された。もちろんジープだからどんな災害でも平気だなどと言うつもりは毛頭ないが、一般の乗用車で避難できると判断されるような状況下でわずかなことで動けなくなってしまうような事態でも、ジープ・ラングラーなら乗り切れる可能性は相当高くなる。

 世界的にSUVが支持されているのは、世界的な異常気象が増え各地でそうした災害が多発していることに対する、ユーザーの心理的選択が働いていることもあるのではないだろうか。

 待望の日本復活となったトヨタRAV4の悪路走破性は高い!

 だがSUVを名乗っていても、そうした災害状況で期待したような走破性を発揮できないものも多く存在している。SUVとして本物の機動性を与えられているかどうかを判別するための目安をここではご紹介しておきたい。

 まず駆動方式だ。これは4WDであることが必須だ。電子制御の進化により、2輪駆動でも一定以上の踏破性を備えることもできるが、4WDなら単純に2輪駆動の2倍のトラクションを得られる。

 次に最低地上高の値が200mm以上あること。RAV4は200mm。ジープ・ラングラーは最上級グレードのルビコンなら277mmもある。

 そしてアプローチアングル(1)やディパーチャーアングル(2)、ランプブレークオーバーアングル(3)が大きく取られているか。

 RAV4は(1)が18度、(2)は20.5度、(3)は17.5度となっているが、ジープ・ラングラーの数値は(1)44度、(2)37度、(3)22.6度(4ドア)~27.8度(2ドア)と圧倒的だ。加えて最深渡河性能は76.2cmもあり、腰ほどの高さの水深でも走行できる。また車体下面を保護するアンダーガード装着の有無も重要だろう。少なくともこれらに類推する装備と性能がSUVを名乗るなら必要であり、それを満たしていないモデルでは、一般ユーザーがSUVにイメージしている悪路走破性は発揮できないと考えるべきだ。

 スタイリッシュでデザイン性の高いクーペスタイルのSUVが流行の兆しを見せているが、格好だけでなくRAV4やジープ・ラングラーが示したような本格的なロバスト性と、舗装路や高速走行時の快適性と安定性さらに燃費性能も求められている。

 かつて「名ばかりのGTは道を開ける」というCMフレーズが話題となった時代(1979年)があったが、今は「名ばかりのSUVはいらない」のだ。ユーザーはSUVに対する正しい知識と見識を持って選択してもらいたいと思う。そしてメーカーにはスポーツカーに対してハイスピードドライビングスクールがあるように、SUVを使いこなすための悪路走破を体現するエクスペリエンスイベントを積極的に開催してもらいたい。とくに今回本賞を獲得したRAV4のトヨタと特別賞を受賞したジープにはそうした役目を果たしていってもらいたいと願う。

こんな記事も読まれています

全長4.4mの人気コンパクトSUV 日産・新型「キャシュカイ」欧州で登場 変更されたフロントグリルは「サムライの鎧」をイメージ!?
全長4.4mの人気コンパクトSUV 日産・新型「キャシュカイ」欧州で登場 変更されたフロントグリルは「サムライの鎧」をイメージ!?
VAGUE
マツダ「新型“最上級”ステーションワゴン」!? まさかの「復活」に期待の声も! 次期「MAZDA6“ワゴン”」予想CGが「カッコイイ」と反響集まる
マツダ「新型“最上級”ステーションワゴン」!? まさかの「復活」に期待の声も! 次期「MAZDA6“ワゴン”」予想CGが「カッコイイ」と反響集まる
くるまのニュース
【MotoGP】ホンダは苦境でも、ザルコは「悲観的になる必要はない」と前向き。改革の効果出るのはまだ先?
【MotoGP】ホンダは苦境でも、ザルコは「悲観的になる必要はない」と前向き。改革の効果出るのはまだ先?
motorsport.com 日本版
マットモーターサイクル、新モデル『DRK-01』受注開始
マットモーターサイクル、新モデル『DRK-01』受注開始
レスポンス
2024スーパーGT第2戦『FUJI GT 3 Hours RACE』参加条件
2024スーパーGT第2戦『FUJI GT 3 Hours RACE』参加条件
AUTOSPORT web
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
Auto Messe Web
WEC第2戦、7号車トヨタが今季初勝利、巧みな戦略でポルシェの追い上げを退ける。8号車トヨタも5位入賞 【イモラ6時間決勝】
WEC第2戦、7号車トヨタが今季初勝利、巧みな戦略でポルシェの追い上げを退ける。8号車トヨタも5位入賞 【イモラ6時間決勝】
Webモーターマガジン
たった9台の激レアなアルファロメオTZ3! V10 OHVエンジン搭載のその中身はなんと「ダッジバイパー」だった!!
たった9台の激レアなアルファロメオTZ3! V10 OHVエンジン搭載のその中身はなんと「ダッジバイパー」だった!!
WEB CARTOP
ブラックのベントレーウイングが印象的なベントレー・ベンテイガの特別仕様車が登場
ブラックのベントレーウイングが印象的なベントレー・ベンテイガの特別仕様車が登場
カー・アンド・ドライバー
ロイヤルエンフィールド INT 650 発売、価格は94万7100円より…ブラックアウトの「DARK」を新設定
ロイヤルエンフィールド INT 650 発売、価格は94万7100円より…ブラックアウトの「DARK」を新設定
レスポンス
いまの若者にも「パブリカ」の偉大さを伝えたい! いまの大ヒット車「ヤリス」に繋がるご先祖が「超国民思い」のクルマだった
いまの若者にも「パブリカ」の偉大さを伝えたい! いまの大ヒット車「ヤリス」に繋がるご先祖が「超国民思い」のクルマだった
WEB CARTOP
写真の中のセナが蘇る? アイルトン・セナ没後30年を偲ぶ【オートモビルカウンシル2024】
写真の中のセナが蘇る? アイルトン・セナ没後30年を偲ぶ【オートモビルカウンシル2024】
くるくら
”宙ぶらりん”の来季WRCレギュレーション。変更望むFIAにマニュファクチャラーが反発か
”宙ぶらりん”の来季WRCレギュレーション。変更望むFIAにマニュファクチャラーが反発か
motorsport.com 日本版
スズキ新型「高級SUV」発表! 「絶対“スピード違反”させないマシン」搭載! 900万円超えの「アクロス」伊に登場
スズキ新型「高級SUV」発表! 「絶対“スピード違反”させないマシン」搭載! 900万円超えの「アクロス」伊に登場
くるまのニュース
驚くほど快適になった!──新型ランドクルーザー250シリーズ試乗記(速報)
驚くほど快適になった!──新型ランドクルーザー250シリーズ試乗記(速報)
GQ JAPAN
先端を交換できる「差し替え式ピックツール」が発売!
先端を交換できる「差し替え式ピックツール」が発売!
バイクブロス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「CES2024などに見るSDV・HMIやAI統合に向けたグローバルトレンド」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「CES2024などに見るSDV・HMIやAI統合に向けたグローバルトレンド」
レスポンス
スーパーGT第2戦富士のエントリーリストが発表。GT300の12チームが第3ドライバーを登録
スーパーGT第2戦富士のエントリーリストが発表。GT300の12チームが第3ドライバーを登録
AUTOSPORT web

みんなのコメント

22件
  • どこのレーシングドライバーが書いたか知らないが、SUVの本質って多少走りが良くて荷物が積める事じゃないの?? SUVとクロカン4WDを同じ路線で捉えるのはそろそろ止めた方がいいと思うけど。
    そもそも最低地上高と3アングルは比例しないよ。初代のフォレスターとかも最低地上高が200mmでゲレンデとそんなに変わらず走破性も匹敵するとか書いてる人多かったけど、3アングルや渡河性能、ローレンジや3デフロックのゲレンデに匹敵する訳無いじゃんって思ってた。
    「名ばかりのSUV」って何や?? 荷物が積めりゃユーティリティの分野は満たしてるから別に問題ないだろ。
    SUVとクロカン4WDは違う。
  • マジレスするならジムニー一択。
    車幅の広い車は災害時は役に立たない。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293.8388.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

58.9590.0万円

中古車を検索
RAV4の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293.8388.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

58.9590.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村