2019東京モーターショーで大々的にお披露目された4代目となる新型ホンダフィット、2020年2月の発売開始に先立って行われた試乗会の模様をお届けする。
クロスオーバーSUV、“クロスター”が一番人気!?
先行試乗会が行われたのは、北海道旭川にあるホンダの鷹栖プルービンググラウンド。発売開始前とあってこのときスペックは非公開であったことをまずはお断りしておこう。しかし、スタイリングは明らかなわけで、その辺りの印象からお伝えしよう。
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ひと目見るなり、従来とは異なり欧州テイストに溢れていることがわかる。とは言うものの全体的なプロポーションはいかにもフィットで、外観からでもキャビンのスペース効率が良さそうなイメージを受ける。
これまでとひと味違うと思わせるポイントはフロント部分だろう。グリルまわりが何やらフランス車風だ。またAピラーが細く、そこからフロントドアにかけてのグラスエリアが広い。これは前方視界の良さに貢献するともに、スタイリングの上でもいいアクセントになっている。
さらに試乗会場で個性をアピールしていたのが、クロスオーバーSUV風のモデルだ。これは「CROSSTAR(クロスター)」と名付けられたもので全高を30mm上げてホイールアーチをオーバーフェンダー風にブラックアウトしている。そしてルーフレール(オプション)を装着、そのルーフ部もブラックに仕立てられている。いまやコンパクトカーと言えどもこの手のクロスオーバーSUVは大ハヤリ、クロスターはスタイリング全体のまとまりもいいので、ニューフィットの販促に大いに貢献することは間違いなさそうだ。
さて、まずは「NESS」というグレードの1.3Lガソリンエンジン搭載車に試乗した。グレード展開は「BASIC(ベーシック)、HOME(ホーム)、NESS(ネス)、LUXE(リュクス)、CROSSTAR(クロスター)」の5つで、NESSは中間グレードということになる。
インパネまわりのデザインは外観と同様になかなか洒落ている。かと言って造形、スペースどりに無駄が感じられず好感が持てるものだ。従来のフィットに限らずホンダ車のインパネまわりのデザインは、色使いも含めてちょっと“子供っぽい”印象を受けることが多かったが、これは違う。実にセンスよく仕上がっている。そして、Aピラーを細くした効果は明らかで、前方視界は抜群によく、安心して運転ができる。
そしてテストコースを走り出すとまず静かさに驚く。100km/hまではコンパクトカーとは思えないほどの静粛性を確保している。オーバルコースのコーナーに差しかかるとハンドルの舵角に忠実にクルマが向きを変える。ふらつきなどは一切なく、非常に安心な手応えのしっかりしたコーナリングを味わえる。ボディ剛性が高く、サスペンションがいい仕事をしているという印象。トータルな走行性能としてはこれで必要にして十分以上で大満足だ。
この後に2モーターのハイブリッドモデルに乗った。これは低中速域はモーターのみで走るタイプだが、1.3Lガソリン車よりパワフルではあるが、全体的なバランスとしてはハイブリッド車よりガソリン車が好みというのが正直なところだ。このあたりはスペックと車両価格が発表されたときに改めて吟味してみたいと思った。
4代目フィットは大きな進化を遂げた。しかし、当然のことながらライバルも黙っていないわけで、同じように新型へとバトンタッチするトヨタヤリスなどと熾烈な販売競争を繰り広げることになるだろう。ユーザーとしてはこの仕上がりのいいニューモデルによる高いレベルでの競争は歓迎したい。(文:荒川雅之)
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