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走りに注目が集まる前輪駆動化された1シリーズ、その味は?

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走りに注目が集まる前輪駆動化された1シリーズ、その味は?

変革期を迎えたBMWのエントリーモデル

BMWが自社最小の乗用車ラインナップに大きな舵を切った。2004年に初代を世に出し、2011年に新シリーズにフェイスリフトしたものの、基本設計を初代からキープしたまま今年まで販売し続けてきたRWD=後輪駆動ハッチバックの1シリーズをフルモデルチェンジして、ついにFWD=前輪駆動へと大変更したのだ。

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BMW 118i Play|BMW 118i Play

2004年に初代が登場した1シリーズ。2011年に2代目へと進化し、今年3世代目に。他車種同様ボディサイズは拡大されているが、全長はほぼ同じサイズとなっている。

1シリーズが属するいわゆるCセグメントは、ベンチマーク的存在とされるフォルクスワーゲンゴルフをはじめ、その姉妹車たるアウディA3、メルセデスベンツAクラス、あるいはトヨタカローラと、1シリーズ以外のモデルはずっと前からFWD方式を採ってきたが、ついにBMWもその列に並んだというわけだ。

BMW 118i Play|BMW 118i Play

発売グレードは118i、118i PLAY、118i Mスポーツに加えて最上位グレードに唯一の4WDモデルであるM135i xDriveが設定されている。

もちろんBMWにとってFWDは初めての経験ではない。ミニではもう20年近い経験をしているし、ここ数年では2シリーズというピープルムーバー系のFWDもある。だから、それらの経験をベースに持つBMWがブランニュー1シリーズをいかに仕上げたか、興味津々というところだ。

そこでまずはボディ、しかもそのサイズだが、試乗したベーシックモデル、118iの数値で、全長4335×全幅1800×全高1465mm、ホイールベース2670mmと、当然予想されるとおり、RWDの先代1シリーズより大きくなっている。なかでも特に、幅が広くなっているのと背が高くなっているのが目につく。

BMW 118i Play|BMW 118i Play

先代よりホイールベースは20mmほど短くなっているが、車内スペースはFWDとなったことで拡大。前席足元のスペースも約42mmほど広くなっている。

フロントオーバーハングが長く、その先端に新タイプのキドニーグリルと切れ長のヘッドライトが睨みを利かせるスタイリングは、ウェッジシェイプを強調したウエストラインの影響もあって、先代の後輪駆動モデルと比べるとやや落ち着きに欠ける雰囲気を持つが、写真で見るよりも現物の方が印象はいい。

今日的BMWスタイルのインテリアは、試乗した118i Playの場合、ハイラインパッケージオプションのダコタレザーシートを備えていたこともあって、BMWらしいクオリティ感を満たしていたといえる。ドライビングポジションはシートが高すぎることもなく、不自然な印象は感じられなかった。

BMW 118i Play|BMW 118i Play

8.8インチのメインモニターと5.1インチのメーターパネルを組み合わせたインテリア。車内デザインは他のラインナップの流れを踏襲している。

身長170cmの当方の運転姿勢を採ったところでリアシートに座ってみると、前席バックレストと膝の間に空間は不足なく確保されているが、RWDからFWDに変わったことで期待するほど劇的には広くなっていない、というのが正直な印象だった。

BMW 118i Play|BMW 118i Play

トランスミッションは7段DCTを採用。上位のM135iは8速ATを採用し、差別化が図られている。

走りの良さは変わらず、完成度も高いそれはそれとして、走り出してみると、118iはなかなか好ましい印象を与えてくれるクルマだった。まず、1.5L 3気筒ターボエンジンが想像以上にいい。掛かった直後こそ独特の振動をちょっとだけ感じさせるが、走り出してしまえば回転感はすこぶるスムーズ、3気筒であることを忘れさせる勢いで、6500rpmを超えるトップエンドまで軽々と回る。

BMW 118i Play|BMW 118i Play

前後スペースだけでなく全高が高くなったことでヘッドクリアランスも19mmほど拡大。快適性は大きく向上している。

しかも、140ps/4600rpmのパワーも、22.4kgm/14580-4200rpmのトルクも、1390kgという決して軽くない重量に対してまったく充分な印象で、スロットルを深めに踏み込めば気持ちのいいペースでスピードを上げていく。その際、音質に濁りがないこともあって、エンジン音がほとんど気にならないのも好ましい。7段DCTの変速もスムーズで、総じてパワートレーンの出来は上々という印象だった。

ミニクラブマンと同じ2670mmのホイールベースを持つシャシーの印象も、好ましいものだった。乗り心地は路面によってはロードノイズが耳につくと同時に、多少ザラついた感触を伝えてくるものの、フロントがストラット、リアがマルチリンクというサスペンションのストロークは不足なく確保されていて、凹凸のある路面でもボディをフラットな姿勢に保つ。

BMW 118i Play|BMW 118i Playと同時にこのシャシーは、ワインディングロードも気持ちよくこなしていく。ステアリングの反応は確実で素早く、切り込むと同時にノーズがスーッと向きを変えるし、全幅1800mmのボディを駆使した広いトレッドの効果もあって、必要とあれば速いコーナリングスピードを保つことも容易にできる。

BMW 118i Play|BMW 118i Play

エンジンは140psを発生する1.5L 直3ターボエンジンを採用。出力はやや控え目だがレスポンスも良く、BMWらしい乗り味に仕上げられている。

いわゆるアンダーステアはほとんど意識されず、速いペースでも狙ったとおりのラインを辿っていく、オンザレール感の明確なコーナリングだといっていい。ただし、RWDを採用していたこれまでの1シリーズのような、しっとりとしたステアリングフィールが希薄になったように思えたのが、少々残念なところではある。

BMW 118i Play|BMW 118i Play

荷室は先代比で20L分の積載量アップとなり容量は380Lに。シートを全て倒した場合の積載量は1200Lとコンパクトモデルとしては優秀な数字となっている。

日本で買えるニュー1シリーズには現在、118iスタンダード=334万円、118i Play=375万円、118i M-Sport=413万円、それに306psを発生する2L 直4ターボに4WDを組み合わせたM135i xDrive=630万円の、合計4モデルがラインアップされている。そのなかで今回乗った118i Playは、日常の足やファミリーカーとして使うのに最適なモデルだろうと思った。

今回、高性能版のM135i xDriveに乗れなかったのは残念だったが、試乗した118i Playから判断する限り、新型1シリーズはBMWブランド初のCセグメントハッチバックのイメージに恥じない、機械としての完成度の高いクルマに仕上がっていると実感した。ま、スタイリングは少々好みの分かれるところではあるが。

BMW 118i Play|BMW 118i Play文・吉田 匠 写真・柳田由人 編集・iconic

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