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復活した伝説のカタナは現代に何をもたらすのか?

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復活した伝説のカタナは現代に何をもたらすのか?

1980年に発表され、翌年から欧州で発売がスタートした初代のGSX1100S、通称カタナはたとえるなら名匠が手にかけた国宝級の名刀であった。全てが研ぎ澄まされ、その後に手を入れる余地など残されていない完成度の高さを誇っていた。

では、2018年に登場した新型のカタナはどうなのだろうか。

EVというよりEV含むハイパフォ・カーで盛り上がった2019年のLAオートショー

スズキ カタナ|SUZUKI KATANA

2018年に復活したカタナ。正式車名も「KATANA」となり、グレードも1つ。カラーはミスティックシルバーメタリックとグラススパークルブラックの2種類で、価格は154万円。

工業製品としての完成度としては、当然合格点を与えられる。しかし、こんな言い方をするのは失礼かもしれないが、芸術点を評価すれば、ここからまだまだ手を入れられる余地を感じさせる。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANAはじめて新型を見た時の心境は複雑なものであった。名刀とはあきらかに毛色の異なるデザイン。とくに初代「カタナ」に思い入れのある世代のライダーにとっては微妙なデザインでもあったといえる。

しかし、ここにきてその見え方に変化が出てきた。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANA

日本刀をモチーフにしたデザインを採用し、1981年から発売された初代カタナ(GSX1100S)。そのデザインは「ケルンの衝撃」と絶賛された。発売当時は規制の影響で国内では販売されず、1994年から日本国内で正式に販売されることになった。

それは先代が下手に手を出せない完成度だったのに対し、新型は端々に隙があり、例えばカスタムなどをするアフターマーケットやそういった楽しみを重視するユーザー目線で見ると様々な可能性を感じることができるのだ。これを褒めているのか、否かと問い詰められると困るのであるが、カタナを研ぎ澄ましていく過程を楽しめるという、最近では珍しいマシンとなりうる可能性がある。そしてこれはマシンを長く愛し、そしてバイクライフを豊かにする実は有効な方法である。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANA

新型になって大きく進化した点が取り回しの良さと扱い易さ。シートの高さは825mmとし、よりリラックスしたポジションでの運転が可能になっている。

そしてもうひとつ重要なこと。それはベースマシンの完成度が極めて高いということ。カタナのベースは速さと扱い易さを武器にするスポーツネイキッドマシンのGXS-S1000である。その素性の良さをしっかりと流用した点が良かった。

じつは元祖カタナは、スタイリングを最優先したためと思われる性能の妥協があったと感じられる面が若干ながらあった。ライディングポジションもそうであり、取り回し性能も決して良いとは言えなかった。対して新型カタナはよりフレンドリーで普段使いに億劫さやストレスが殆んどない。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANA

車体は軽さと剛性の高さを兼ね揃えたアルミ製のツインスパーフレームを採用。様々な条件下で堪能できる高い走行性能を支える源となっている。

アップライトなライディングポジションは刀らしさをそこなうものだったかもしれないが、乗ることを主眼とすれば正しい選択だ。Uターン等の取り回しもストレスがない。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANA

エンジンはスズキのフラッグシップモデルである「GSX-R1000」が搭載する水冷並列4気筒の998ccエンジンをベースに最適化。出力は148ps/10000rpmとなっている。

初代にはなかった「使いやすさ」という武器エンジンは非常にフレキシブルかつトルキー。歴代GSX-R1000のなかでもとくに人気の高かったK5のものをベースとしている。いまでこそ、パワー的にはたいしたものではないように思われるが、公道であれば…いやサーキットであってもいまだ十分過ぎるほどパワフルである。そんなエンジンをより低中速重視にセットアップして搭載しているのだ。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANAまた、当時と違ってしっかりトラクションコントロールを装備しており、安全対策にも抜かりはない。ABSやトラクションコントロールといった電子制御は、例えば最新のGSX-R1000R等に搭載されているものと比べると安全対策重視で、介入の滑らかさなどにも差はあるものの、十分な性能といえよう。

そして、排気音もなかなかに勇ましく、その気にさせる良い音をしている。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANA

フル液晶のディスプレイは専用設計となり、未来的なデザインで速度計、タコメーターなどを表示。

車体に関しては、サスペンション自体にさほど高級感があるとはいえず、しかもある程度荷重設定が高めとなっているため、低速域ではゴツゴツとした乗り心地や反応を与える。しかし、ペースが上がるにつれ、一体感を強く感じさせ、スーパースポーツマシンらしさを感じさせるあたり、懐の深さもある。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANAそして前述した通り、サスペンションやタイヤを変更することで、より走りの味わいや質感をグレードアップさせ、好みに合わせてカスタムを楽しむ余地もある。

現代に蘇ったカタナ。初代の良さを継承しつつ、新しい可能性を感じさせてくれるこのモデルは、バイク好き以外にもぜひ知っておいてもらいたい1台である。

スズキ カタナ|SUZUKI KATANA

高い走行性能だけでなく快適性を高めるトラクションコントロール機能、スムーズな加速を補助するローRPMアシスト機能など、最新デバイスも多数採用されている。

文・鈴木大五朗 写真・スズキ二輪 編集・iconic

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