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業界ニュース 2019.11.19

フェラーリのV8スポーツはここまで進化した! F8 トリブート試乗記

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フェラーリの最新モデル「F8トリブート」は“40年間におよぶフェラーリV8の歴史をトリビュートする”というのがテーマのミドシップ・スポーツカー。ところがトリビュートといっても懐古的なところはまるでなく、最新テクノロジーを駆使して未来のフェラーリ像を描き出してみせたところが実に“跳ね馬”らしい。

では、フェラーリが描く“未来像”とはどんなものだったのか? フィオラノ・サーキットとマラネロ周辺の一般道でたっぷり味わってきたので、順に紹介しよう。

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【主要諸元】全長×全幅×全高:4611mm×1979mm×1206mm、ホイールベース:2650mm、車両重量:1435kg、乗車定員:2名、エンジン:3902ccV型8気筒DOHCツインターボ(720ps/7000rpm、770Nm/3000rpm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:MR、タイヤサイズ:フロント245/35ZR20、リア305/30ZR20、価格:3425万円(OP含まず)。F8トリブートは「488GTB」の進化版といって間違いない。ボディ構造が488をもとにしているのは、技術部門のトップであるミハエル・ライタス自身が認めているし、エンジンは488GTBのリミテッドエディションである「488ピスタ」と多くを共用している。

ところが、さまざまな改良を施した結果、488とは別物のスーパースポーツカーに仕上がったのである。

F8シリーズは、2ドアクーペの「F8 トリブート」のほか、オープンモデルの「F8 スパイダー」もある。そもそも、そういった作業を“改良”というひと言で片付けるには無理があるくらい、フェラーリは手間ひまを惜しまずF8トリブートを開発したというべきだろう。

たとえば488GTBに比べると車重は40kgも軽量化され、エアロダイナミクスの効率は10%も向上し「操る楽しさ」を強化。さらに、クルマがスピンしないよう助けてくれる電子デバイスが進化し、「限界領域でのコントロール性がより向上した」と、フェラーリは述べる。

ボディサイズは全長×全幅×全高:4611mm×1979mm×1206mm。パワーアップの秘密最高出力720ps、最大トルク770Nmを発揮するV型8気筒ガソリンターボ・エンジンは前述のとおり488ピスタと共通な部分が少なくないが、興味深いのは670ps/760Nmの488GTBからいかにしてパワーアップを果たしたかという点にある。

というのも、この種のモデルチェンジでありがちな大径ターボを装着して、過給圧を高めるのではなく、まるで自然吸気エンジンのように吸排気効率を高め、出力向上を実現した。

搭載するエンジンは3902ccV型8気筒DOHCツインターボ(720ps/7000rpm、770Nm/3000rpm)。具体的には、インテークマニフォールドとエグゾーストマニフォールドの形状を見直したうえで、吸排気系バルブの両方を中空構造にするとともに新設計のバルブスプリングを採用。結果、これまでよりも長いあいだバルブを開けておくことが可能になったほか、バルブリフト量(つまりバルブが開く量)も大きくなって、より多くの空気を吸い込み、そして燃焼後の排ガスをスムーズにはき出せるようになったのだ。

おかげで、エンジン・レスポンスを損ねずパワーアップを達成。手間とコストはかかるが、いかにもフェラーリらしい手法といえる。

トランスミッションはデュアル・クラッチの7ATのみ。マニュアル・トランスミッションは選べない。従来モデルとおなじく、素早いゼロ発進を実現する「ローンチ コントロール」機能付き。ウェットでも驚くほど安心!では、そろそろ試乗した印象を報告しよう。今回は前述のとおりサーキット走行&公道走行というふたつのメニューが用意されていたが、私はまずサーキット走行、続いて公道走行の順に試乗した。しかも、当日は朝から雨模様。試乗が始まる頃には雨も止みかけていたが、それでもコースは完全なウェットコンディションである。つまり、初めて触れるスーパースポーツカーに、いきなり濡れた路面のサーキットで試乗しろといわれたわけだ。

最高速度は340km/h。LORENZO MARCINNOさて、困った。もっとも、困っているだけでは始まらない。そこでフェラーリの“お作法”どおり、まずはテスト・ドライバーの隣に腰掛けてF8トリブートの同乗走行に臨むことにした。

もうフィオラノを何百周としているはずのファブリツィオ・トスキは、それでもドライブモード切り替えの“マニエッティーノ”でウェットを選んでからコースを走り始めた。

ステアリング・ホイールにあるドライブモード“マニエッティーノ”の切り替えスウィッチ(ダイヤル式)。それだけコースが滑りやすいということなのだろうが、私はここで思わぬ発見をした。フェラーリの電子デバイスは高度に洗練されているため、リアタイヤが滑り始めたことやシステムが介入したことをドライバーにまったく意識させないのがこれまでの常だったが、F8トリブートの電子デバイスはウェット・モードでもリアタイヤがかすかに滑り出す感触を伝えてくる。実際には、リアが外側に振り出されるわけではないものの、その予兆を教えてくれるのだ。

さらにスポルト・モードに切り替えれば角度は小さいながらもテールがアウトに流れるのを許してくれるし、ここからさらにスライド量が増えると「エレクトロニクスの力」で、安定した姿勢を自動的に取り戻してくれる。

静止状態から100km/hまでに要する時間はわずか2.9秒。LORENZO MARCINNOレース・モードではシステムが許容する角度がさらに大きくなるが、万一のことを考えるとここまで試すのはリスクが大きすぎる。ウェット・モードもしくはスポルト・モードで「リアが滑る感触」を確認できれば私にとっては十分以上。そんな心づもりで、私はトスキからステアリングを譲り受けた。

“ウェットコンディションのサーキットでも驚くほど安心して操れる初めてのフェラーリ”

それがF8トリブートをドライブして最初に感じたことだった。とにかくボディがしっかりしていて、4本のタイヤが発する情報がドライバーに確実に届けられる。

インテリアは、最新のインフォテインメントシステムを標準搭載。快適性も高い。ステアリングを通じて感じられるフロント・タイヤの接地感もミドシップ・スポーツカーとしては最上の部類だし、リアがいつ流れ出すかわからない不安感にさいなまれることは皆無だった。だから、タイヤが滑り始める一歩手前のスピードまで一気にペースをあげていける。こんなミドシップ・フェラーリは、私にとって初めてである。

すべての面で洗練された話の順番が逆になったが、私はまずウェット・モードで走行を開始。安心感が強いこともあって最初からそれなりのペースで走れたものの、トスキのときと違ってタイヤが滑り始める気配はいっこうにあらわれない。このままでは指定された4周が“なにごともなく”終わってしまう。そう思った私は、2周目の途中でスポルト・モードに切り替えることにした。テール・スライドの感触をなんとしてでも掴みたかったからだ。

LORENZO MARCINNO大胆にスロットル・ペダルを踏み始めると、立体交差のブリッジに登り詰める手前のギャップでリアタイヤが空転し、エンジン回転数が「ギュイーン!」と急上昇するようになった。コーナーではまだタイヤのグリップ限界に到達しないが、加速方向ではタイヤのグリップ力を打ち負かすほどの負荷を掛けられたことになる。

さらに低速コーナーの立ち上がりで右足をより強く踏み込めば、やがてリアタイヤが明確に横滑りするようになった。ただし、流れ始めが唐突ではないため、タイミングよくカウンターステアをあてるのは難しくない。2、3回これを試すうち、低速コーナーであればテールスライドさせるコツが呑み込めるようになった。

シートはヘッドレスト一体型のバケットタイプ。ドアライニングの素材はカーボンパーツや人工皮革(アルカンターラ)などを使う。もっとも、高速コーナーでおなじことをチャレンジできるほど私の技量は高くないし、そこまでのリスクを冒すこともない。まずはウェットのサーキットでも安心して操れることと、低速コーナーであればスポルト・モードでもテールスライドを味わえることを確認して、私のサーキット走行は幕を閉じた。

フィオラノで得た安心感は、公道を走り始めてからも変わらなかった。狭いワインディングロードを飛ばしても、ステアリングからは相変わらずしっかりした接地感が伝わってくるし、リアタイヤも路面を捉えて放さない。これほどリラックスしたままコーナーを攻められるミドシップ・フェラーリは、やはりF8トリブートが初めて。

人によってはそれを“退屈”と話す同業者もいたが、タイヤと対話することに無上の喜びを見いだす私にとって、488GTBからF8トリブートへの変貌は進化以外のなにものでもなかった。

一般道での乗り心地がいい点もF8トリブートの魅力のひとつ。当初は道が湿っていたためにウェット・モードを選んでいたが、ダンパーの設定がもっともソフトになるウェット・モードは乗り心地の面でも最良の設定で、しかも荒れた路面を通過してもダンピング不足でタイヤがばたくつくことがない。まさに万能のドライビング・モードである。

つまり、F8トリブートはすべての面で洗練されたミドシップ・フェラーリといえる。ステアリングを通じて得られる安心感、限界領域でのコントロール性、一般道での快適性などが、いずれもこれまでになかった領域に到達している。そして思う。「40年をかけて、フェラーリのV8スポーツはここまで進化したのか……」と。

次に登場するフェラーリのミドシップ・スポーツがV6エンジン搭載になるのか、それともハイブリッドになるのかはまだわからない。いずれにしても、F8トリブートでここまで完成度を高めたのだから、次期型モデルの登場がより楽しみになったのは間違いのないところだ。

文・大谷達也

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