現代に蘇ったトライアンフは並列3気筒というエンジン形式を選んだ。それを筆者のような口の悪いジャーナリストは「強力なライバル陣を前にしたときに、異端を選ぶことで生き延びる方法を見出したのでは?」と考えてしまったりもするのだが、そんな我らの勘ぐりをよそに、トライアンフは独自の世界観を作り上げることに成功した。現在ではいくつものバリエーションのトリプルエンジンを持ち、ライバルメーカーもそれに追従するようになっているのだから恐れ入る。
今回先んじて改良が行われた最上位グレードのRS。エンジン出力や、スロットルレスポンスが大きく向上した。価格は143万7000円。そしてさらに2019年度からは世界グランプリにおけるMoto2クラスにおいて、オフィシャルエンジンサプライヤーとなるまでになっているのだから驚く。
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状況に合わせて、ロード、レイン、スポーツ、トラック、ライダーという5種類の走行モードを選択可能。また二輪車排出ガス規制のEURO5にも適応している。@ulaserraMoto2クラスに参戦するチーム&ライダーはすべてトライアンフから供給される765ccエンジンをそれぞれ搭載する。イコールコンディションによる熾烈な争いが観る者を魅了し、ライダーのスキルアップにも繋がるというワンメイク制度では、パワーのばらつきやエンジントラブルなどが絶対許されないという過酷な条件下でたたかいが行われる。そして初年度である今年の第15戦終了時まで、エンジントラブルは皆無というから信頼性は非常に高いといえ、またライダー達からの評価もじつに高いのだという。
エンジンは水冷並列3気筒のDOHC12バルブ。最高出力は123ps、最大トルクは79Nmを誇っている。トランスミッションはアシスト付きの6速。@ulaserraそのMoto2と基本的には同じエンジンを搭載するマシンがストリートトリプルである。
スーパースポーツマシン、デイトナ675から多くのパーツを共有としたスポーツネイキッドマシンとして2007年にデビューした同車は、扱いやすさとスポーツ性を見事に融合したモデルだ。デイトナがラインナップ落ちした後も販売は継続され、2017年には765ccに排気量アップ。このエンジンがMoto2エンジンのベースとなったのである。
新開発のサイレンサーとツインキャタライザーを組み合わせ、テール部分はカーボンを使ったフィニッシャーを装着。@ulaserraレース開発陣が携わったエンジン改良さて、ストリートトリプルには現在、スタンダードのS、よりスポーティなR、そして最上グレードとなるRSと装備もパワーも異なる3モデルがあり、今回はRSのみがいち早く刷新されることとなった。
ねじれ剛性や高速安定性を向上させるガルウイングスイングアームを装着。リアブレーキは1ピストンタイプのキャリパーを備えている。@ulaserraスタイリングはカウリング類がよりシャープな造形となり、アイデンティティである2眼ヘッドライトもより小振りでスタイリッシュに。個人的にはあのギョロ目がちょっと苦手であったので、これは歓迎すべき点である。
しかし、最も力を入れたのはMoto2エンジンの開発陣が携わったというそのエンジンであろう。
リアサスペンションはオーリンズ製。ホイールトラベル(最大移動量)は131mmが確保されている。@ulaserraもちろんレースエンジンよりもピークパワーは抑えられ、低中回転よりの設定となっている。従来モデルに対しては、ピークパワーは変わらないものの、ミッドレンジではトルクもパワーも9%増に。ストリートという名前が付いてはいるが、心臓部はレーシングモデルの血を濃く継承していることになる。
スペイン・カルタヘナにて行われた試乗会では、午前中にワインディングを中心に公道を走行した。
もともとがトルク不足を感じるようなエンジン特性ではなかったが、常用回転域がよりトルキーになり、その走りに磨きがかけられた。
@ulaserraハンドリングは「意のままに」と形容されるべき、自由度の高いもの。装着されるピレリ製タイヤの特性によるところも大きいと思うが、乱暴にマシンを振り回したとしても、それを許容できるフィードバックがあり、その接地感、安心感がすこぶる高い。それ故、市街地ではその軽さ、そしてコンパクトさが威力を発揮し、身長165cmでも億劫にならない取り回し性能を得ている。
個性的なルックスを印象づけるLEDツインヘッドライト。ポジションライトはヘッドライトの上部部分となる。@ulaserra乗ってこそ理解できるモデル特性そして午後にはサーキットで全開走行を楽しむ。
頭打ちが早いといった不満はなく、レーシングエンジンを感じさせるしっかりとした加速感がこのトリプルエンジンの特徴だ。コーナーで高回転域を使うもよし、1速でトルクを味わうもよし、どちらも楽しめる許容範囲の広さが光る。
@ulaserraこの軽さを前にすると、やや落ち着きがないと評される可能性があるかもしれない。しかし、多くのライダーにとっては「意のまま」感の優位性がそれを凌ぐはずである。
エキサイティングな加速感を軽やかに操れる。それこそがこのモデルの魅力といえるだろう。個性的な見た目で敬遠するのは非常にもったいない。きっとその魅力は「乗ればわかる」はずである。
文・鈴木大五朗 写真・トライアンフモーターサイクルズジャパン 編集・iconic
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