「VT250Fで僕のバイクライフは上がり」。それでもいいと思っていたが、瑞々しい感覚で「今」のバイクを描く「バリバリ伝説」が強烈なインパクトを楠先生に与えた。研二とZ2の「今」を描くため、「もう一回、Z2に乗ろう。そしてバイク漫画をちゃんと描こう」。
©楠みちはる/講談社 ※全ての写真及び記事の無断転載を硬く禁じます。
第19回「やっぱりイイ、Z2サイコー(FXですが)」
「Z2の中古を探します。ところがイイのが全然ない。まず売りがないし、あってもボロ。検切れで10万円。そんな世界です。付き合っていた彼女が落ちぶれて場末のスナックにいた。そんな感じです」。
1983年の春、Z2は70年代に発売された1台の旧車に過ぎない。人気もなければタマ数も少ない。
「春の連休に3日ほど実家(高知)に帰ります。何気なく入った中古屋にZ750FXがありました。最後の80年式だから3年落ち。試乗させてもらうとシャキッとしてて程度がイイ。『ああZ2だあ、何も変ってない』と思いました。本当は結構変っているんですけど、やっぱり変ってない、Z2のままだと」。
「コレでZ2仕様を作ろうと思いました。僕のZ2は75年前期の青玉カラーだったので初期の火の玉カラーにしました。部品を揃え、一度東京に帰り、1カ月後、東京まで走ってきました。高知から800km以上。東京に着いた時には完全に『あの頃』の感覚を取り戻しましたね」。
「東京でZ2(FXですけど)に乗るようになった頃から全体的に調子が上向きになったと感じましたね。
とにかく楽しい。再確認したのは流して良し、です。3千から5千回転あたりで(ちょっとトバし気味で)乗るとめちゃくちゃ良かったですね。84年、レーサーレプリカブームに逆行する形でZ2を走らす。『いけるんじゃないか』と自信も出てきました。80年代バイクブームの申し子『バリ伝』とガチバトルができるのではないか、と。
(以下、第20回「火花散る『バリ伝』とのガチバトル」をお楽しみに!)
過去の回はこちらからご覧いただけます。
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