現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 最新レッカー車の驚きの機能とは? いざという時に頼もしい「働くクルマ」が抱える問題

ここから本文です

最新レッカー車の驚きの機能とは? いざという時に頼もしい「働くクルマ」が抱える問題

掲載 更新
最新レッカー車の驚きの機能とは? いざという時に頼もしい「働くクルマ」が抱える問題

■オーダーメードが多いレッカー車はなんと6000万円オーバーの車両も!

 クルマで出かけてトラブルに見まわれたとき、お世話になるのがロードサービスです。

トヨタ「ランクル70」復活? ファン待望のディーゼル仕様で2020年に登場か

 そんなトラブルの最前線で活躍するレッカー車(ロードサービス)のイベントが山梨県で開催されました。

 日本でのレッカー車の元祖というのは、もともとは軍用から発想されたそうです。

 元になったといわれるのが、米軍基地内で爆弾を運ぶトラック「BombTruck」と呼ばれる車両で、後部に爆弾を吊り上げて運ぶためのブームやウインチなどを搭載。「そうした米軍のトラックからインスピレーションを得て、日本のレッカー車が産み出された」そうです。

 レッカー車というと、後方まで伸びたウインチブームを覚えている人も多いと思います。今ではそのスタイルのレッカー車はほぼ見かけませんが、故障車をリアから伸びたブームとウインチでフロントを吊り上げたまま固定して走行してました。

 そんなレッカー車ですが、大型から中型(8t限定)、それに準中型の免許で乗れる車両があります。

 レッカー車は、標準タイプ(カタログモデル)は用意されますが「そこから細かい仕様が入ることが多いです。とくに大型レッカー車に関してはほぼオーダーメードなので、これも価格については個別となるケースが多いですね」(関係者)とのこと。

 参考までにとレッカー車メーカーが教えてくれたのが、標準タイプだと車両価格は1430万円から。大型レッカー車になると約4500万円。そして、今回紹介する日本初上陸となるモデルは、6000万円オーバーというから驚きです。

※ ※ ※

 レッカー車で一番威力を発揮する装備は、それはレッカーブーム、またはクレーンブームと呼ばれるアームです。

 クレーンブームは、建築・建設現場で使われる自走式のクレーン車と同様、「吊り上げる、あるいは吊り上げて旋回する」という機能があります。3段から4段のブームで伸縮するようになっています。

 一方、レッカーブームも3段(あるいは4段)の伸縮式となっていますが、先端にはウインチ機能がついたふたつのフックが備わっています。この機能は「吊り上げる、引っ張る」のほか「引っ張りながら、吊り上げる」という事もこなせます。

 レッカーブームは用途が幅広いことで、一見万能タイプに見えますが、ブーム自体もクレーンのそれと比べて強固に製作されており、装置自体も大型で重量のあるタイプがほとんどです。クレーンブームだと装置も小型で、搭載できる車両も小型から大型までサイズを選ばないという利点があります。

 レッカー車を所有するロードサービス会社も、小型のレッカー車ではクレーンブームで統一し、大型モデルだとレッカーブームを装備と、地域性やトラブルの案件に応じた車両を用意しています。

 今回、このイベントで日本初のお披露目となったレッカー車がありました。

 この車両は、トルコ製の「WorldPower Erkin」ブランドによるレッカーブームを搭載。アンダーリフトと一体化した装置で、最大の特徴はレッカーブームの起伏角度が変えられることです。今までのレッカーブームだと直線にしか伸びなかったのが、3本の油圧シリンダーで0~89°まで自在に変えられます。旋回することも可能です。

 もうひとつポイントがあり、それは安全装置が組み込まれていることです。吊り上げ能力が設定以上の重さや、旋回させたときに負荷が大きかったりすると装置が働き、作業がストップするようになっております。

 この装置について、日本でもトップクラスのレッカー車の製造・販売を誇る、城南ホールディングスの中村貞明会長は「この装置があることで、無理をしない作業ができるようになった。これでロードサービスの現場において、安全で確実な作業が普及するようになる」と、コメントしました。

■けん引ではなく「積載」することで高速道路も走れるように

 最近では、バイクにも対応したロードサービス車もあります。1BOXタイプの荷室にそのままバイクを積載できるタイプや、車幅が広い大型バイクにも対応したトラックタイプまでラインナップしています。

 また、荷台が後方にスライド・地面に設置して故障車を積載できる「セーフティローダー」もありました。

 最近ではロードサービスの依頼に「フロント部分をアンダーリフトで持ち上げてけん引するタイプのレッカー車と比べると、クルマをそのまま積むので安心感があるのか、ローダーでの要請が多い」(ロードサービス関係者)そうです。

 今後のレッカー車の製作や装備内容について、城南ホールディングスの中村会長に聞いてみました。

「今、アンダーリフトはリアからアームが伸びた状態で運用していますが、今後はそうしたアンダーリフトも全長サイズからなるべく飛び出さないように、折りたたまなければいけないようになるでしょう。恐らく1年から2年先には、そうした法整備がおこなわれるはずです。弊社では折りたたみタイプのアンダーリフトをラインナップしております」。

 ロードサービスの今後についても聞いてみました。

 じつは、これからのロードサービスに非常に強い危機感を抱いているそうです。というのも、経験がモノをいう職場でもあるにも関わらず、そうした人たちが減っているというのです。

「現場ではベテラン勢が少なくなって困っています。いったん現場に出ると、そのまま長時間対応する場面も多く、労働時間も不規則になってしまうという現状があります。それでは働く人たちがいなくなってしまいます。弊社では、レッカー業務そのものを見直すために『けん引陸送』という新しいコンセプトの車両を開発しました」(中村会長)とのことです。

 故障したクルマを積載するために生み出したのが「けん引陸送」というコンセプトです。

 クルマを積載するのはセーフティローダーがありますが、それは普通~中型車両に限ってのこと。大型車両にあたってはそもそも、積載できる車両も限られております。

 また、積載ではなくレッカー車でけん引すればよいのでは思われますが、現在の法律では故障したクルマをレッカー車でけん引する時は、高速道路(自動車道)走行が禁止となっています。これは高速道路は最低速度が定められており、けん引時だと基準速度に達することができないためです。

 一般道ならOKですが、遠方からの車両回送も多く、その場合は現場で働く人たちの拘束時間も長くなってしまいます。

 しかし、けん引ではなく車両を積載することで、高速道路を使用して労働時間を短縮。一方で4.1mという高さ制限もクリアしております。

 今後は、こうしたけん引陸送のコンセプトの車両がロードサービスの現場に増えていくことになりそうです。

こんな記事も読まれています

メルセデスF1、2023年度の収益は増加するも利益が減少。増加した支出の大部分は2024年型マシンの開発資産に
メルセデスF1、2023年度の収益は増加するも利益が減少。増加した支出の大部分は2024年型マシンの開発資産に
AUTOSPORT web
“ネットゼロ”を目指すF1が持続可能性への取り組みをまとめたレポートを発表。二酸化炭素の排出量を5年で13%削減
“ネットゼロ”を目指すF1が持続可能性への取り組みをまとめたレポートを発表。二酸化炭素の排出量を5年で13%削減
AUTOSPORT web
アロンソには“敏感”なストロールが相棒に必要?「僕はいつも90%で走れるけど、100%を引き出すには助けがないと……」
アロンソには“敏感”なストロールが相棒に必要?「僕はいつも90%で走れるけど、100%を引き出すには助けがないと……」
motorsport.com 日本版
マツダ新型「“3列”SUV」世界初公開へ! 全長5mの「FRマシン」は日本導入へ! 直6採用? 価格は340万円? 新型「CX-80」どんなモデルとなるのか
マツダ新型「“3列”SUV」世界初公開へ! 全長5mの「FRマシン」は日本導入へ! 直6採用? 価格は340万円? 新型「CX-80」どんなモデルとなるのか
くるまのニュース
アウディ Q8、e-tron史上最長の一充電航続距離619kmを実現…オプションパッケージ発売
アウディ Q8、e-tron史上最長の一充電航続距離619kmを実現…オプションパッケージ発売
レスポンス
CAMSHOP.JP からスズキ「HAYABUSA」Tシャツが発売!
CAMSHOP.JP からスズキ「HAYABUSA」Tシャツが発売!
バイクブロス
マツダが新型クロスオーバーSUV「 CX-80」を欧州で世界初公開
マツダが新型クロスオーバーSUV「 CX-80」を欧州で世界初公開
Webモーターマガジン
ホンダ「オデッセイSUV」あった!? 車高アップ×タフデザインが超カッコイイ! 上質内装も採用した「オデッセイ “クロス”」とは
ホンダ「オデッセイSUV」あった!? 車高アップ×タフデザインが超カッコイイ! 上質内装も採用した「オデッセイ “クロス”」とは
くるまのニュース
テーマは「限定回帰」! トヨタが「ランドクルーザー 250」の2024年モデルを英国で公開
テーマは「限定回帰」! トヨタが「ランドクルーザー 250」の2024年モデルを英国で公開
バイクのニュース
新事実[ロードスターは世界一] ナンバーワンのスポーツカーである8つの理由
新事実[ロードスターは世界一] ナンバーワンのスポーツカーである8つの理由
ベストカーWeb
日本に1台のアルティマ「カンナム スパイダー」とFSWで遭遇! 超希少車でサーキットを全開走行する正当な理由とは
日本に1台のアルティマ「カンナム スパイダー」とFSWで遭遇! 超希少車でサーキットを全開走行する正当な理由とは
Auto Messe Web
マツダ全幅1.9mの「オフロードSUV」 デザインが良い! 並行輸入で約1000万円!? 「CX-50」欲しい?
マツダ全幅1.9mの「オフロードSUV」 デザインが良い! 並行輸入で約1000万円!? 「CX-50」欲しい?
くるまのニュース
日産歴代最強のSRターボ [SR20VET]搭載車は初代エクストレイルGTだった……なぜS15シルビアや初代シルフィに積まれなかった?
日産歴代最強のSRターボ [SR20VET]搭載車は初代エクストレイルGTだった……なぜS15シルビアや初代シルフィに積まれなかった?
ベストカーWeb
新店舗「レンタル819府中」が4/19オープン!
新店舗「レンタル819府中」が4/19オープン!
バイクブロス
開発テーマは原点回帰──トヨタ ランドクルーザー 250が発売|TOYOTA
開発テーマは原点回帰──トヨタ ランドクルーザー 250が発売|TOYOTA
OPENERS
自動車業界に相次ぐ不祥事……日産が約30億円不当減額!! 公取委が下請法違反で勧告
自動車業界に相次ぐ不祥事……日産が約30億円不当減額!! 公取委が下請法違反で勧告
ベストカーWeb
隣のレーンなら空きがあるのに周回できない! EVを充電したあと休憩できない! 「SA・PA」頼むから改善してくれませんポイント5つ
隣のレーンなら空きがあるのに周回できない! EVを充電したあと休憩できない! 「SA・PA」頼むから改善してくれませんポイント5つ
WEB CARTOP
5年ぶりF1中国GPが復活! FP1はストロール最速。角田裕毅12番手……スプリント開催もコース炎上の珍トラブルも発生
5年ぶりF1中国GPが復活! FP1はストロール最速。角田裕毅12番手……スプリント開催もコース炎上の珍トラブルも発生
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村