日本を代表する乗用車といえば、まずトヨタ クラウンの名が思い浮かぶのではないだろうか。初代が登場してから、2020年の1月で65年になる。そこで、初代から現行型まで歴代のクラウンの軌跡を振りかえってみよう。最終回となる今回は、現行型15代目のARS220/GWS220/AZSH20系を紹介する。
車種体系を一新。マジェスタはラインアップから消滅
■ARS220/GWS220/AZSH20系(2018年6月~)
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個性的な面構えで登場した先代14代目はセダン離れが進む中、順調な販売を見せ、日本の高級車を代表するクラウンの存在感を見せつけた。その後を受けた15代目は2018年(平成30年)6月に登場。このときチーフエンジニアの秋山晃は「初代クラウンが誕生した創業期の意志を継承し“日本人の頭と腕”でもう一度世界を驚かせたい。そんな気概で開発を進めてきた」と語り、デザインや走り、コネクティッド、すべての面での進化をアピールした。
まず、ロイヤル/アスリート/マジェスタという従来の車種体系を一新。ロイヤル系は標準モデルに、アスリートはRSに代わり、マジェスタはラインアップから消滅した。
デザインも大きく変わり、その特徴はサイドビューだ。クラウンといえば太めのCピラーが特徴的だったが、14代目は4ドアクーペ風のプロポーションにクラウンとしては初めて6ライトウインドーを採用して、高級車の落ち着きとスピード感の融合を図っている。サイズは全長4910×全幅1800×全高1455mm。Cセグメントながら全幅を1800mmに納めているのが、日本に軸足を置くクラウンの見識だろう。
一方、動的性能を高めた最大のポイントは、次世代のTNGA FRプラットフォームを採用して低重心パッケージを実現したことだ。これに架装されるボディは、エンジンフード/フロントフェンダー/フロントサスタワーにアルミを採用して重量配分の最適化と慣性質量の低下を図り、環状骨格構造やレーザースクリューウェルディング、構造用接着材の採用で高剛性化を達成した。サスペンションは、前:ハイマウント式マルチリンク/後:マルチリンクで、RSには専用フロントスタビライザーとリニアソレノイド式AVS(アダプティブ バリアブル サスペンション)を採用して高速走行に対応している。
驚くべきは、操縦安定性と乗り味を徹底検証するためドイツのニュルブルクリンク サーキットで徹底的に走り込み、さらに世界中の一般道で走行テストを繰り返すという、スポーツカーさながらの開発が行われたことだ。「もう一度世界を驚かせたい」というチーフエンジニアの意志が垣間見える。パワートレーンは、240psに強化された2L 直4ターボ+8速AT、システム総出力226psの2.5L 直4ハイブリッド+電気式無段変速機、トヨタブランドとしては初採用となる2モーター式3.5L V6ハイブリッド(システム総出力359ps)+10段制御のパドル付きマルチステージハイブリッドトランスミッションという、3機種に絞られた。
駆動はFRが基本だが、2.5L 直4ハイブリッドにはセンターデフ式フルタイム4WDが設定されている。簡易型でなく、前後輪に動力を配分するトランスファーにトルセンLSDを採用。通常は前後輪のトルクを40:60で配分し、走行条件に応じて前後輪に30:70から50:50の間で瞬時にトルク配分する本格派だ。
こうした走りとは別のもうひとつの軸が「挑戦と革新を続ける初代コネクティッドカー」の開発だった。トヨタは「車載通信機DCMを全車に標準搭載した初代コネクティッドカーとして誕生。24時間365日、お客様のクルマとつながることで、人とクルマ、そして社会との全く新しい関係が始まります」と謳う。ヘルプネットやeケアといった安全・安心サポートサービスやオペレーターサービスなど加え、街全体で安全を守っていくことを目指し、ITS専用周波数(760MHz)を活用したITS コネクトをオプション設定するなど、一歩先を行く安全・快適思想を具体化して見せたのが、この15代目クラウンといえるだろう。
クラウン 2.0RS(2018年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4910×1800×1455mm
●ホイールベース:2920mm
●重量:1730kg
●エンジン型式・種類:8AR-FTS型・直4 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:180kW<245ps>/5200-5800rpm
●最大トルク:350Nm<35.7kgm>/1650-4400rpm
●トランスミッション:8速フロアAT
●タイヤサイズ:225/45R18
●価格:541万6200円
[ アルバム : 15代目クラウン はオリジナルサイトでご覧ください ]
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