■元祖小型4WD「タフト」ってどんなクルマ?
5ナンバーサイズというニッチなカテゴリーでの登場で話題の、ダイハツ「ロッキー」とトヨタ「ライズ」。すでにロッキーで3500台、ライズで6500台もの予約受注が入っており、滑り出しとしては順調といえるのではないでしょうか。
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この2モデルの特徴は、国内市場になかったサイズと手頃な価格。「実にうまい所に目をつけた」という市場の声が聞こえてきていますが、この2モデルの開発を主導したダイハツには、伝統としてニッチなサイズのオフロード4WDとSUVをつくってきたという歴史があるのです。
ダイハツが、新型ロッキーの祖である「タフト」を発売したのは1974年のこと。この年は、カローラ「カローラ」が乗用車のブランド別生産台数で世界一になり、いすゞ「ジェミニ」やフォルクスワーゲン「ゴルフ」が初めて市場にお目見えしています。前年の1973年にはオイルショックが起こり、経済的に冷え込んでいた時期でした。
初代タフトは、ラダーフレームに4輪リーフリジッドアクスル式サスペンション、パートタイム4WDという本格オフロード4WDとして生まれました。当時、市場にはトヨタ「ランドクルーザー(40系)」や日産「パトロール(60型)」、三菱「ジープ」、そしてスズキ「ジムニー(LJ20型)」というそうそうたるモデルが名を連ねていたのです。
そこでダイハツは、タフトをランドクルーザーとジムニーの間を狙うモデルとして開発。1リッター直列4気筒ガソリンエンジン(デビュー当時)を搭載し、ジムニーよりはパワフル、それでいて大きな4WD車よりも低燃費という商品特性を武器にして売り出しました。
さらにボディサイズも、大きすぎず小さすぎないという不景気時代にマッチしたものでした。またアジアや欧州などでも好評を博し、海外ではジムニー8(SJ20型)の好敵手となります。
その後、エンジンは自社製2.5リッターディーゼルエンジンとトヨタ製の1.6リッターガソリンエンジンに換えて商品力アップし、1980年には「ブリザード」の名前で、トヨタにOEM供給を開始しました。
当時から、ダイハツがつくったニッチなサイズのオフロード4WDやSUVを、トヨタにモデル名を変えてOEM供給するという関係が始まったのです。
1984年にタフトはフルモデルチェンジをおこない、車名を「ラガー」に変更(国内)。トヨタには引き続き、ブリザードの名前でOEM供給されました。
さらに1990年にはラガーは「ロッキー」へと名前もデザインも一新しますが、トヨタへはOEM供給されませんでした。というのも、市場にはクロスオーバーやライトクロカンという新しい風が吹き始めていたこともあり、スズキ「エスクード」がヒットを飛ばし、さらに盟友だったトヨタが「RAV4」で大ヒットすると、ロッキーの人気は完全に奪われてしまった形となるのです。
その後、ダイハツがSUV市場に参入してきたのは、1997年のこと。ボディ構造をモノコックに変え、名前も新たに「テリオス」と改名。トヨタにも「キャミ」として再びOEM供給されます。
このテリオスもRAV4より一回り小さいボディサイズで設計され、巷のSUVとは異なるニッチな商品力で勝負しました。
2006年には後継車の車名を再び「ビーゴ」に変更し、トヨタはOEMモデルを「ラッシュ」の名前で販売。丸みを帯びたコンパクトボディは好評を博し、デビュー当時は好調な売れ行きを見せます。
しかし、モデル後期になると徐々に陰りを見せはじめ、2016年に10年間という長いモデルサイクルを終えることになりました。
そして2019年11月5日に、約3年という空白を経て、ロッキーとライズという一卵性のSUVが復活しました。開発担当者によれば、「ビーゴ&ラッシュのコンセプトは受け継いでいない」ということですが、タフト&ブリザードから代々引き継がれてきたニッチなサイズという伝統は健在です。
都市部で使いやすいジャストなサイズと高い実用性、そして税制上の負担を軽くする5ナンバー枠&1リッターという排気量。45年前に生まれたタフトとはデザインも技術も大きく様変わりしましたが、ユーザーフレンドリーという点はいまも不変なのです。
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