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業界ニュース 2019.11.9

高性能なのにモータースポーツでは不発に終わった90年代の国産珍車4選

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クルマをレースとラリーでアピールした時代

 平成の幕が開けたころは、まさにバブル絶頂期。レース出場を前提として開発され、1989年に復活した日産 R32型のスカイラインGT-Rなど、高性能モデルが続出した。モータースポーツ競技の世界ラリー選手権も市販車両ベースのグループA競技車両で華々しく戦われていた時代、自動車メーカー各社は世界のクルマファンたちに優れた自社製品をアピールするために、高性能振りを表すアイテムやパーツを市販車両の随所に盛り込んでいった。

    街中を走るクルマがレーシングカーに? 海外レースで大活躍した90年代の国産車

 しかしその全てが成功したわけではない。話題を生んだもの、惜しまれるモノ、様々な名珍車を紹介しよう。

【パルサーGTI-R】WRC制覇につまずいたホットハッチ

 日産の4代目N14系パルサーのフラッグシップモデルとして、1990年8月に華々しくデビューしたのが『パルサーGTI-R』。日産の本気ぶりがうかがえるのが、ボンネット上に盛り上がった巨大なバルジだろう。

 4連スロットルバルブ搭載で230psまで絞り出した2リッターDOHCターボのSR20DET型エンジンと、ご自慢の4WDシステム”ATTESA”を搭載。1220kgの車重に対して230psだったから、パワーウエイトレシオは日産R32型スカイラインGT-Rの5.0kg/psに迫る5.3kg/psを誇った。

 エアコンやオーディオは標準グレードでもオプション。パワーウインドウまでも省いた代わりに、クロスレシオのトランスミッションや機械式LSDを標準装備とした競技ベース仕様も存在した。バケットシートやロールバーまで装着した「パルサーGTI-R NISMO」も限定ながらリリースされた。

 ところがコンパクトなボディが災いして、過酷なWRCの世界では冷却系のスペース不足という致命的なトラブルを抱える。タイヤサイズも標準仕様のままホモロゲーションを取得したため、ライバルに対してはハンデとなったのも痛恨。WRCでは1992年のスウェディッシュの3位が最高順位で一度も優勝できないまま、この年限りでワークスとしては戦列を去った。

 ちなみにWRCでのエースドライバーは、アウディでも活躍したスウェーデン出身のスティグ・ブロンキビスト。さらに日産でラリー車の開発を担当したテストドライバーが、今やジャーナリストとしても高名な木下隆之である。

【パルサーVZ-R】打倒VTECは不発に終わった「赤ヘッド」 

 4代目に続いて、5代目N15系パルサーにもホットハッチは存在した。1997年9月のマイナーチェンジのタイミングで登場したのが『パルサーVZ-R』だ。

 最大のポイントはホンダのVTECや三菱のMIVECと同様に、可変バルブタイミング機構を備えるSR16VEエンジンを搭載したこと。通称「青ヘッド」と呼ばれるエンジンは1.6リッターDOHCから175psを発揮。これはミラージュサイボーグ(CJ4A)の4G92型と同じ数値で、シビックタイプR(EK9)のB16B型の185psに迫るハイスペックだった。

 さらにVZ-R N1とそのレース仕様を200台限定でリリース。専用シリンダーヘッドの色から、こちらは「赤ヘッド」と呼ばれた。クランクシャフ2トやフライホイールのバランス取り、ポートや燃焼室などの研磨というチューニングを施して、当時クラス最強の200psまでパワーアップ。翌1998年10月にはN1バージョン2とそのレース仕様を300台限定で追加した。タイヤサイズ(195/55VR15→205/50VR15)やスタビライザー径の拡大、藤壺技研製マフラー採用など、ブラッシュアップされた。

 1999年のスーパーN1耐久(現在のスーパー耐久)には数台のパルサーが参戦。ドライバーは現在も活躍する菊地靖や高木真一、松田晃司らが務めた。タイトル争いは最終戦までもつれたが、惜しくもランキング2位と3位で終了。2輪から転じたギャザス・シビックの宮城 光が、この年のチャンピオンに輝いている。

【ファミリアGT-R】経営危機に泣いた悲運の1台 

 アクセラを経て、現在はMAZDA3という車名になったファミリアだが、マツダにとってはキャロルに次いで2番目に古いブランド。5代目のBD系からFFベースの現代的なレイアウトとなり、1985年に登場した6代目BF系には日本初となる1.6リッターDOHCターボ+フルタイム4WDのホットモデルをラインアップ。

 翌1986年からWRCにも参戦を開始。ドライバーにはハンヌ・ミッコラやティモ・サロネンという元WRC王者や、後にパイクスピークでも活躍するロッド・ミレンらビッグネームを起用した。

 1989年に世代交代した7代目にも、180psを発生する1.8リッター直4DOHC16バルブターボエンジンとフルタイム4WDを搭載したGT-Xを設定。

 そしてWRCにおける戦闘力不足を解消すべく、ターボの大型化やチタン製コンロッドの採用、インタークーラーを横置きから前置きに改めるなどして210psまでパワーアップした『ファミリアGT-R』を投入する。

 大型フォグランプを内蔵したバンパーやエアアウトレットが開けられたボンネットなど、外観でもアピールして1992年1月にデビュー。快適装備を省いて軽量化したボディにクロスミッションを備えた、限定300台の競技用ベース車「GT-Ae」も用意された。

 しかしバブル崩壊で、マツダは5チャンネルへの拡大路線が裏目に出て急速に業績が悪化した時期。結局、GT-RでのWRCワークス参戦は実現せずに撤退することになった。ただし、プライベーターによるグループNへの参戦は継続され、1993年にはチャンピオンにも輝いている。

【セリカGT-FOUR】わずか1勝に終わった3代目 

 今年はオット・タナクがドライバーズチャンピオンに輝くなど、トヨタのWRCでの活躍は栄光に満ちている。中でも1980年代後半から1990年代前半の3世代にわたるセリカGT-FOURでの輝きはハイライトだ。当時のWRCはアウディ・クワトロ、プジョー205ターボ16、ランチア・デルタS4に代表されるグループBマシンの重大事故多発から、1987年以降は市販車よりのグループAによる戦いに変更された。

 それがジャストのタイミングとなったのが、トヨタのセリカ。FR車だった3代目にはグループBでWRCに参戦し、サファリラリーで3連覇も果たしたが、5000台の販売が必要なグループA規定(グループBは200台)のほうがトヨタにはウエルカムだった。

 折しもセリカは1985年デビューの4代目(T160系)でFFベースとなり、それを4WD化した初代GT-FOUR(ST165)へマシンを1988年からスイッチ。市販車のエンジンは2.0リッターDOHCターボで185psを発生していた。当初はいち早く熟成していたランチア・デルタに苦杯をなめる展開が多かったが、1990年にカルロス・サインツが日本車による初のドライバーズチャンピオンを獲得するのである。

 さらにGT-FOURとしては2代目のST185は1992年からWRCに参戦。同年にサインツが2度目のドライバー王者となり、1993年はユハ・カンクネンが続いてマニュファクチャラーズとの2冠も獲得。まさにセリカの黄金時代を築いた。

 前置きが長くなってしまったが、ここからが本題。セリカは1993年10月から6代目(T200系)となり、シャーシを一新してカリーナED/コロナEXiVと共用し、全車3ナンバー化された。GT-FOURとしては3代目となるST205は、少し遅れて94年2月にデビュー。ST185時代に235psまでパワーアップした3S-GTEエンジンは、インジェクター容量の拡大や水冷式インタークーラーの採用で255psまで進化。初代ST165時代に対しては70psのパワーアップになった。

 そんな3代目『セリカGT-FOUR』は、WRCに1994年シーズンの途中から参戦。前半戦を成熟されたST185で戦ったこともあり、ディディエ・オリオールがドライバー王者となってマニュファクチャラーズとの2年連続ダブルタイトルを獲得した。

 ところが1995年には極端な不振に陥る。前述の大きくなったボディと、この代から採用されたスーパーストラットサスペンションがラリーには大きなハンデとなったと言われている。

 第4戦のツール・ド・コルスでオリオールが初優勝を果たしたが、第7戦のラリー・カタルニアでターボリストリクターへの違法改造が発覚。これでFIAから95年シーズンの全ポイント抹消と1年間の出場停止処分を受けて、トヨタはセリカでのWRCから撤退した。

 ちなみに1995年のWRCは第4戦を除くと、スバル・インプレッサと三菱のランサーエボリューションの一騎打ち状態。さらにFIAがWRCの主役をグループAからWRカーに移行する動きを見せていた。まさにひとつの時代が終わったと言えるセリカのエピソードだ。(文中敬称略)

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(Auto Messe Web 『Auto Messe Web編集部 米澤』)

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