■じつはロービームだけの走行は法令違反の可能性が?
夜間にクルマで走行するとき、多くの人はヘッドライトをロービームにしています。とくに都市部を走行する機会が多い人はロービームがほとんどで、「ハイビームは迷惑行為なんじゃないか」とさえ思っている人もいるでしょう。
ロービームでも「対向車のライトが不快」 なぜ眩しいヘッドライトの車が増加?
しかし、「ハイビーム=迷惑行為」という認識は、じつは間違った常識のようです。夜間の正しいヘッドライトの使用法とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
道路交通法第五十二条第1項によると、「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。」とあります。
また、続く道路交通法第五十二条第2項には「車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」とあります。
このなかで、ハイビームこそが「前照灯(夜間走行するときに使うライト)」であり、ロービームはほかのクルマとすれ違う(行き違う)ときや、ほかのクルマの交通の妨げになるときは「灯火の光度を減ずる(すれ違い灯、いわゆるロービーム)」ようにすべき、という意味で明記されているのです。
ここでのポイントは、法律上は「通常はハイビームで、状況に応じてロービームを使わないといけない」という部分です。そこで、現在は企業の法務部に勤務している元弁護士のM氏に話を聞きました。
「まずヘッドライトのロービームの正式名称は『すれ違い用前照灯』で、ハイビームは『走行用前照灯』となっています。道路交通法では、ハイビームには使用を限定する状況の説明がないのですが、ロービームはすれ違いがある状況のみと表記されています。
実際には、一般道では周囲にクルマがいる状況がほとんどですし、街灯や建物からの明かりである程度明るいため、ロービーム走行で問題ないともいえますが、取り締まりの対象にならないといい切れないのが現状です」
一方、交通量が多い市街地でのハイビーム使用は「あおり運転」と間違えられる可能性も考えられます。そのため、対向車を含め周囲にクルマが多数存在する市街地では、いままで通りロービーム使用が中心となるのは致し方ないでしょう。
ただし、高速道路をはじめ、状況によってはより積極的にハイビームに切り替えたほうが良さそうです。
■「オートハイビーム」機能が進化中!? 各メーカーの最新機能とは
クルマの保安基準として、ハイビームは100m前方、ロービームは前方40mを照らす必要があるといいます。ただ、現在のヘッドライトは光度(明るさ)が上がっていることから、ハイビームでは対向車が眩しすぎるというのも事実で、ハイビームを使うことをためらう人がいるのも理解できます。
なお元弁護士M氏いわく、交通事故が起きたとき、状況によってはヘッドライトをどのように操作していたかが問われる場合もあるといいます。
「高速道路でロービームだけで走行していて、それが原因で取り締まられたという話は聞いたことがありません。しかし、例えば高速道路上での交通事故が起きた場合、ハイビームを使っていれば視認できた(事故を回避できた)可能性があるとして、論点になることがあります」(元弁護士M氏)
その一方、悪天候時や霧などが発生した場合は、光の乱反射を防ぐためにロービームを活用するのが有効だといわれています。ヘッドライトは、状況に応じて上手に使い分けるべきです。
ハイビームが夜間走行の基本だとしても、対向車や歩行者などがいる状況ではロービームに切り替える(光度を下げる)必要があります。しかし、その都度ハイビーム/ロービームを切り替えながら走行するのも運転への集中を妨げる原因にもなります。
そこで、自動車メーカー各社は「オートハイビーム」や「自動ハイビーム」などと呼ばれる機能を進化させています。これは基本的にハイビームで走行し、先行車や対向車のライトを検知した場合は瞬時にロービームに切り替える機能です。
これにより、夜間などの走行では遠くまで照らすことができ、夜間の視野拡大と歩行者などの早期発見にもつながるといわれています。
また、クルマの向きなどを検知し、進行方向にヘッドライトの灯り自体を動かす「AFS(アダプティブフロントライティングシステム)」などと呼ばれるシステムがあるほか、カメラで検知した前走車や対向車などの部分のみヘッドライトに内蔵されたシェードで遮光するシステム「アダプティブドライビングビーム」も開発されている状況です。
※ ※ ※
自動車メーカー各社もヘッドライト技術の進化を進めることで、周囲のクルマに迷惑にならない範囲でユーザーがよりハイビームを活用できるよう、積極的に推進しています。
むやみやたらにハイビームを使用すると「あおり運転」と間違われるリスクはありますが、あくまでもルール上は「基本はハイビーム」であることを念頭に走行することが必要といえます。
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